パラレル・使わなかったハズレシリーズ③
「異常はありませんか」
デスゲームからリタイアして、先に死の訓練場へ戻ってきた斎はすぐに確認の言葉をかけられた。
「体感では、特に何も」
「加藤。阿部は……大丈夫か」
「ゲームの感覚と、現実はちょっと違うって相沢さんが言っとったじゃろ」
「ワシの勝手な憶測じゃけど、大学のにぃちゃんは頭を直接潰されたから即死。阿部は、頸動脈じゃったから……少しだけ、ゲーム内で体力がゼロになっても現実ではもう少し耐えられてたんじゃと思う」
体力もう少しあるんじゃないかと未来は言っていた。
「阿部。お前の力を借りたいんだ」
死人が現れる。
『逃がさないよ、天才少年。邪魔しないで』
「わたしを舐めてはいけませんよ、ヘンメイ。あなたのしそうなことくらいお見通しです」
「谷川、あぶねぇ!」
柔道
「加藤、後ろ!」
「……ケト」
ケトの黒くて細い両腕が、ーーのようになって二人を守った。
『スグル、けが?』
「え、あ……ない。お主が守ってくれたから」
「けど……なんで」
『ケト、かぞク、まもル。リュウ、やクそクした』
『ミク、だいじすルひと、みんなかぞク』
『ありがとウ、スグル』
「また……喋れるようになって。お主は成長が早いのう」
「先生、戦えんの?」
「ふふ。本部に身を置いている人間ですもの、多少は……ね。ふふっ」
(頼む、キューブ。どうか……)
「──【解熱】」
空間へ。
熱の下がる空間へと変える。
「俺が作ってる新しいキューブは、前に作った赤いキューブと似たもの……他人に能力を付与できるタイプの物です」
「狙いは未来さん……ですものね」
あいかが
ちらりと、眠ったケトとおキクを抱え、加奈子の横に佇む優をあいかは見る。
「撤退させた模擬大会の参加者たちは、どこへ?」
「帰らせました。殺されてしまっては夜の討伐に多大な影響が出るので」
「……よくこの状況で、帰りましたね」
「上からの命令なら、よっぽどの理由がない限り聞くものですよ。誰も……死にたくはないでしょうから」
「今戦ってくださっているみなさんを除いて、その辺のマダーがヘンメイに勝てるとはわたしは思えないのですよ。能力で生み出した死人も、かなりの力を持ちますから」
「感覚は掴めた?」
「は、はい」
「うん。じゃあゆっくりでいいからやっていこう」
「八割は私が請け負う。残りの二割、心を壊されないように気をつけて」
文字は、『知』。
「【哀しみを知る】」
死人元に戻す
「【お清め】」
「ほらね、未来さん。哀しいだけの死人なんて、ひと握りしかいないんですよ」
「だからわたしは、反対しているのですよ」
(なあ、キューブ。なんだかんだで付き合い長いんだよな、俺ら)
キューブに語りかけた
「力貸してくれよ。みんなを守れるようにさ」




