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パラレル・使わなかったハズレシリーズ②

 神の名から取った炎最強の盾、【回禄(かいろく)】。それでもほぼーー

 秀と長谷川が倒れていた。


(体力……全員、体力は!?)


 急いで周囲を見る。全員が1と表示されていた。


『ああ、さっき相沢未来が使ってたの……そういうやつか。ふーん……』

『やっぱりさぁ。誰のことも信用してないんだね、ユー』

「う……」


 前髪を掴まれて、顔を上げさせられる。

 熱で赤い頬がよく見えた。


「やめ、ろ!」

「動かない方がいいよぉナイト君。せっかく止血したのに、また血が出ちゃうから」


足を動かし立ち上がる。

奴の予想通り、無理に力を入れて腕から血が流れ落ちた。


「質問に答えろ。お前はどうして」

「契約している死人だっていうなら、勝手に出歩いたりしちゃダメなんじゃねぇのか! お前の主は今どこで何をしてる!?」


『知らないなぁ。知ってても教えないけどねぇ』


 まとわりつく、ぺっとりくっついてくる


「【爆破(ボム)】」


『あーびっくりした。急に爆発だなんて怖いなぁ』


『だけど、不思議。他のやつは技を生み出すのに何か動き(モーション)を使うのに、ナイト君にはあんまり無いんだね?』


『なんだっけ。想像しやすくするために固定の動きをしてるんだっけ? ()()が教えてくれた気がするよ』

「……主君?」



『疲れないの? ナイト君もさっきまでゲームをしてたんでしょ?』


「俺さ、最近よく洗面所にいたんだけど、知ってるか? 母さんに怒られる覚悟で、水量の調節と、触れたら水がどんな動きの変化をするか観察してたんだ」


 未来に【蒸散(じょうさん)】で作り出してもらっても良かった。だけど随分時間がかかりそうだったし、今回は水道を使わせてもらったのだ。


「けどな。いくらやっても水って外側には飛ばないんだよ。吸い付いてくるんだ、手の方に」


 斎の【ジェット】を手のひら一つでどうにかしちまったあれが、どういう原理だったのか、ずっと考えていた。


「お前あの時さ。髪、綺麗だったよな」


 無意識に未来の髪を撫でてしまった俺。手入れされている髪は元からすごく綺麗だけど、あの日は特にさらさらとしていた。しかも、鍛錬の後だったのにだ。


「どうせ、いつもみたいに付けてたんだろ? あれを」


 服に拘りはないが、ケアはきちんとしている未来。こいつがいつもつけているヘアオイルは、未来が技で作り出した植物オイル。戦いで水を頭から被っても全て弾く撥水性に富む未来オリジナルだ。

 わざわざ髪をまとめ上げたのは、戦いに本気になろうとしたわけじゃない。

 髪についていたヘアオイルの効果を、自分の手にも施すため。



「【オイル】!」


「【オイル】」

 油

 水の中自由になる

「なにから!?」

「油があると火は一気に燃えるんだよな」

「火事と言えば、油……ってな?」


そう気付くのにかかった時間は、命取りとなる

「よし、行くぞ……って何してんだよ!?」

「だってベタベタして気持ち悪いんだもん! 脂ギッシュ!!」

「アブラ違いだよそれ……」

「一緒よ。脂も油も」



「まあ何にしろ。反撃のチャンスね!」


「くそ……見つかるのも時間の問題だな」

「違うと思うよ」

「あの死人、このゲームの全てを支配できるんでしょ。だったらあんなふうにキョロキョロしなくたって、何かしらでアタシらを見つけられるはずじゃない」

「ようはさ、遊んでるわけよ。隠れてビビってるアタシらを見て、敢えてそのままにさせてんの」

「楽しんでるってことか」

「そ。嫌いだわアタシ。ああいうヤツ」


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