パラレル・ヘンメイの説明を加藤が聞いていた場合(阿部ちゃん重傷版)
「……もう一度、説明していただけますか。何があったか」
あいかへは優へ
「唐突すぎて、ワシも詳しくはわからん。中の様子は観れんし、阿部の治療して帰ってきたら、声は聞こえるがこっちからは通信できんようになってたんじゃ」
優は説明する。
「阿部さんは……」
「重症じゃって、来てくれた医者が言うとった」
「マダーがたくさん集まるところじゃから、争いが起きた時ように完治薬を置いてくれてたんじゃ。それを使って傷はすぐ塞がったけど……何せ、切られたのは頸動脈じゃったから」
「キューブの スペースに保存している輸血パックで、血を送ってはいるが、結局阿部の体力が持たんかったらそれじゃって意味はない」
「意識が戻るまでは油断できません……じゃと」
そっと頭を撫でる。
「よく、冷静に判断してくださいましたね」
「……大したことじゃない。妹と弟を守れるだけの知識と武術を、身に付けてただけじゃ。ワシは、それ以外なにもできんから」
「そんなことはありません。あなたのおかげで阿部さんは今、生きているのですよ? 十分にーーです」
「のお、国生センセ。そっちの怖そうなーーは……」
「司令官です。マダーの最高責任者の」
「現場、来るんですか」
「……来るなと言われているんだがな」
そもそも本部の人間が現場に来ることなどほとんどない。ましてや最高司令かんが来るなんて。
「ゲームと現実の連動……やはりそのようだ。千番」
「はい」
「弥重に連絡してくる。ここを頼む」
「承知いたしました。お任せください」
「……あの、やはりって?」
「中にいるその死人が誰なのか、確証を得たのです。まぁ、こちらに入ってきた情報で、十中八九そうだろうと思ったから出向いたのですが」
「確信って?」
「それについては、彼女がいずれ話すでしょう」
「お喋りですから。あの死人は」
「左様だ」
「司令官、早かったですね。もう少しかかるかと……」
「ああ。弥重だからな、理解も決断もすぐだった」
「ただ……」と、司令官は
「帰らないと、言われたよ」
「あら……」
「どういった意図があるのかはわからん。ヤツのことだ、他の精鋭部隊が任務中なのは知っているはず。しかしそう言うのであれば、何かしら考えがあるのだろう」
「どちらにせよ、言うことを聞かなくなってしまった死人は敵同然。討伐の対象だ」
「彼らに、頑張ってもらうほかないだろう」
「未来さんの言った通り、他のマダーは退出させるべきですね。彼らがヘンメイと渡り合えるとは思えませんし」
キューブを通して命令を送る。
「瀬戸さん」
「吉住さんを呼んでおいてください。……もしものために」




