パラレル・まだ合流してない時に聞いた場合
「……もう一度、言ってもらえますか?」
迷路のように入り組んだ通路。
そこを斎の【バシリスク】でーーな速さで駆け抜けていた俺たちは、足を止めていた。
データとしてゲーム内に取り込まれていた、マダーなら昼夜問わず持ち歩いている通信機に入った連絡によって。
『そこにいるのは僕たち精鋭部隊の一人が扱っている味方の死人。捨てられたゲームから生まれた、ヘンメイだ』
電話の主、凪さんの声色は硬い。
それがどれだけ大変な事実なのかが伝わってくる。
「味方……って、なら、なんで未来を殺そうとするんですか。なんで死者が出るんですか!?」
『落ち着きなさい。すぐ感情的になるのはお前の悪い癖だ』
凪さんは静かに諭してくる。
そもそも未来以外に死人を使って戦うマダーなんて知らない。
『額に朱雀の模様があっただろう、それが仲間の証拠だ』
「朱雀……あの、赤い鳥の模様ですか」
『そう。死人を倒した際に、収束してできるガラス玉。あれを使用して戦っている、精鋭部隊の一人が扱っている死人だ」
「あくまでキューブに割り当てられた文字から能力として」と補足される。
『ヘンメイが未来を狙う理由はわからない。接点は無いし、そもそもどうやってそちらへ行ったのかすら、僕には見当もつかない』
動揺しながらなんとか話を聞く。
俺がさっきゲームから退出させた『譲』の男の子が凪さんに知らせてくれて、それでこちらに連絡ができたのだと。
知り合いなのかと疑問を投げる暇もなく凪さんは説明を続けた。
「あの、その持ち主の方は、今は?」
「……すごく、この流れで言いにくいんだけど。寝てる、と思います」
「……はい?」
『昼がめっぽう弱くてね。普段から昼夜逆転生活をしてるんだよ』
凪さんはため息を吐いた。今頃夢の中だと
『現実のことは気にするな。お前の友だちも無事だ』
『司令官と国生先生が来てる』
「え……司令官みたいな上の人って、現場も来るんですか?」
『来るなと言っておいたんだけどね』
『隆一郎』
「……はい」
優しく、けれど真剣な声で俺に呼びかけた凪さんは、一呼吸置いて俺に問いかけた。
『帰らなくても、大丈夫だね?』
勝てると信じてくれている。
「大丈夫ですよ。相手わけわかんないくらい強いですけど、倒せなかったら凪さんの課題なんて絶対クリアできないので」
『ふふ、さすが。肝が据わってる』
「誰が師匠だと思ってるんですか?」
「……凪さん。帰ってきたら、全部説明してください。ヘンメイの……精鋭部隊が死人を扱っていることも、『譲』の文字の子についても」
お願いしてから、こちらからも言っておいた方がいいことがあると付け加えた。
『うん。……隠していてごめんね』




