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パラレル・ハズレ⑤
retake.1
「道……増えてきたな」
斎がふと気付いて、【バシリスク】の足はそのままに一旦走るのをストップした。
「そうね……これじゃ、どっちに行ったらいいかわかんないな」
長谷川が斎の背中から降りて、周囲を見回した。広がる数本の通路。
「……土屋?」
「大丈夫か」
「……急に、静かになった」
「え?」
「さっきまでは、微かに音が聞こえてた。戦ってる音。けど、聞こえなくなった」
「悩んでる暇ないと思う。ちょっとしんどいけど、力でゴリ押ししてった方があいつのとこまで早く行ける」
「力でって……そんな」
「急いだ方がいい気がするんだ。」
retake.2
「……もう一度、言ってもらえますか?」
迷路のように入り組んだ通路。
そこを斎の【バシリスク】でーーな速さで駆け抜けていた俺たちは、足を止めていた。
データとしてゲーム内に取り込まれていた、マダーなら昼夜問わず持ち歩いている通信機に入った連絡によって。




