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パラレル・Death game『解』

 retake.1

(そうか、ジャンプ力……! 足りないんだ。体がちっさい分、飛んでも高さが足りねぇんだ!)


 気道に入りかけた砂を吐き出そうと躍起になる体に反して、頭は何が起きたのか冷静に理解した。


 retake.2

 今の体にはデカすぎる服は勝手に脱げて、地面にストンと落ちる。寸胴の腹が顔を出した。

 履いていたのはハーフパンツだったから、ベルトを引き絞ってどうにか少し長めのズボン程度に抑えられたけど、動きにくいったらありゃしない。


 retake.3

 ぞわりとこそばいような痒いような感覚に襲われ、寒気がして腕を両手で擦ろうとしたのだが、妙にその腕が細っこいように思ったのだ。

 まるで小学生の腕。その擦る手ですら妙に丸みを帯びていて。本来のゴツゴツとした俺の手ではないことは言うまでもない。だけど、左手には変わらず『炎』の文字。つまり間違いなく俺の体。

 ならばどう言うことなのか?


 retake.4

 明るく可愛らしい声がにこにこの顔、その口から発せられ、俺の目の前に燐光が舞う。

 初めて聞く技名。注意しなければと思った瞬間、俺の体に異変が起きた。


「わっ!?」


 視界を光が覆い尽くす。あまりの眩しさに目をギュッと瞑った。


(……おさ、まった?)


 次第に光が消え、もう大丈夫かと瞼を開ける。すると──


「ふにゃああああっ!?」


 衝撃の事実に思わず叫び声を上げた。


「ぶふっ……!」

「笑うにゃよ、阿部! てめー俺ににゃにしやがった!?」


 説明させようと必死に叫んだ。

 触ったそこにあったのは、あまりにも細っこい、言うなれば幼稚園児みたいな腕だったのだ。

 しかも手全体が妙な丸みを帯びていて、いつものゴツゴツとした俺の指とはあまりにも似つかわしくない。


 更に、視線。どう考えても俺の方が阿部より背が高いはずなのに、俺は今彼女を見上げている。しかもかなり低い位置から。


 retake.5

「もしかして、全員分表示されんのか?」

「そうみたいだね〜。土屋君のも書いてるよ」


 阿部にこちらのパネルを指さされ、ちらっと確認する。


「オフェンス値、50。ディフェンス値も50……?」


 意外な数値だった。攻撃的な連想が普段多く出るような気がしていたから、もし低くても六十ぐらいまではあると思っていたのだが。


「案外土屋君もフォローに回りやすい能力なのかもしれないね〜」


 retake.6

(よし……これでしばらくは凌げるはず)


 とりあえず落ち着こうと、一度深呼吸をする。

 地上に繋がる穴は人ひとりがギリギリ通れる程度の大きさだから、そこにいる間は避ける選択ができない。

 返り討ちに合う可能性が高いから、阿部は多分この中に入ってはこないだろう。


「足戻らねーかな」なんてぶつぶつと呟きながら、自分の体を改めて見やる。

 おそらく今の身長は百センチもないと思う。

 百七十近い本来の体と比べれば、半分ほどか。


 retake.7

(なんだこの細さっ! ってかなんだ今の声!?)


 腕を触っている手すら妙な丸みを帯びていて。本来のゴツゴツとした俺の手とはあまりにも似つかわしくない。

 更に、視線。どう考えても俺の方が阿部よりも背が高いはずなのに、俺は今阿部を見上げている。しかもかなり下から。


 retake.8

 さっき思うように動けなかったのは、砂浜独特の踏み込めなさによるものだろう。

 いつもの硬い地面よりも地を蹴る力が伝わらなかった。ならばもっと、しっかりと踏み込め!!


 retake.9

【融解】を避けきれなかった俺の左腕は溶けてボトボトと砂浜に落下していく。そこで気付く。

 思うように動けなかったのは、砂浜独特の踏み込めなさによるものだと。

 いつもの硬い地面よりも、地を蹴る力が伝わらなかったのだ。


 retake.10

 少し削っても同じなら一気にする必要がある。

 今の阿部は【プロテクション】で防御が最大の状態。なら攻撃にシフトした時が狙い目。


 retake.11

「いや、そもそもこの体の小ささだしな。走る前提で進めてたのがまずかったか」


 retake.12

「運にゃんかで簡単に躱されてたまるかよ」


 retake.13

「運は結局、運なんだよなぁ」

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