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二章原案

「お前っ、俺がわからなかったらどうするつもりだったんだっ! もう少しわかりやすい救出方法なかったのか!?」

「文句言わないで! 最善が見える目(アイスコンタクト)がそう見せたから従っただけだよ!」


死人特有の傷を治す力が、ゴロツキの死人とは比べ物にならない。

「【氷像(ひょうぞう)】」

「ウミガメの卵!」


死人の腹の辺りに氷の粒が浮かび、中から光る氷が見える。


あれが、俺の肉を抉りとった刃物だとすれば。


「秀っ!それ危ないっ!!」


わかってる。とでも言いたげに、表情を変えない秀は へ手をそわせ、空中で回って避ける。



「加藤……阿部は」

「……重症じゃ」

「マダーがたくさん集まるところじゃからって、争いが起きた時ように店が完治薬を置いてくれとった。それをつこうて、今は傷も塞がっちょる。輸血中じゃ」

「……けど」

「切られたのは、頸動脈じゃった。ーー起こしそうになって、体力も持っていかれとる」

「意識が戻るまでは、油断できんよ」


秀目覚める




「ゲームの感覚と、現実はちょっと違うって相沢さんが言っとったじゃろ」

「ワシの勝手な憶測じゃけど、大学のにぃちゃんは頭を直接潰されたから即死。阿部は、頸動脈じゃったから……少しだけ、ゲーム内で体力がゼロになっても現実ではもう少し耐えられてたんじゃと思う」


水ってさ、いくらやっても油とは混じらないんだよな。

バシッ

「一人じゃないと、アタシが全力を出せないって言ってんの」

背を向ける。

「行って。早く」

背を向ける。

「……なぁ、長谷川」

「終わったらさ、何食べたい?」

「奢ってやるから考えといて」

「つっちー」

「未来ちーが好きなあのプリン、アタシも食べてみたい」

「わかった。気が済むまで食べさせてやる」


昔からあるゲームより生まれ、成長して力をつけた』

『知らなかった? メイは最近のゲームの知識も取り入れたんだ』

『MMORPGとか言うんだね、これ。本で見たよ? 中に入ったまま出られなくなる事故があったりしたけど、今はそんなトラブルもなく快適にプレイできるって』

『ふふ、面白くないじゃん? だからメイが作り替えてあげたよ』

これより先、ゲーム外から中へ入ることはできない。中から外へ出ることは可能だけど、一度出てしまったら二度と戻れない』

『この中で受けた怪我は自動的に現実の体へ同じ形で蓄積される。首を切られて重症になった回復ちゃんと同じようにね』

『あーそうそう。この部屋以降は外部と連絡取れないから。話す必要があることはここで終わらせといてねー』

『んー、ちょっと観客が多いなぁ。メイは人混みが好きじゃないんだよね』

「一番の言う通りだ、マダー諸君」


「司令官?」


どうして、と聞こうとすると、司令官は先に

「あなたの名前は、ヘンメイ。ゲームの死人」


そこまで言って、未来は口を閉じる。すると天井から渋い男性の声が 。


『……何が言いたいの? ユー』


続きを促す死人へ、未来は少し、悲しそうな顔をした。

 メイたちだって同じだよ。悪意を、蔑みを、不要だって言われるから生まれるんだ。だから殺すんだ


「聞こえてたよ、加藤君の声。実際は拗ねる時間すらなかったけどね」

自分の目を指し示し、俺を思い出させるように彼らと同じ言葉を死人は述べる。

)ー。ーーと。


「丁度、吉住さんが彼女らをつれてきてしまっていますので。試してはいかがかと思うのです」


(未来の回復、加奈子のかわり)

「阿部さん.......借りるね」


『現実を見ろよ相沢未来。こうして人型になっているメイを見て、お前は何から生まれた死人かわかるのか? わからないだろう』

『諦めろ。メイたちがわかりあうことなどありえない。無理な話だ』


「赤い豪華な鳥の紋様は、使い魔の印」

「精鋭部隊の一人を主人として、ともに戦ってくれている死人」

「あなたの名前は、ヘンメイ。ゲームの死人」

『……へぇ。よくわかったね』

「見た目の変化と声まで変えられたから。私の知ってる限りだと、あなたしかいない」

「未来、どういうことだ」

「……死人を倒した際に、収束してガラス玉になる。まとめて本部に送っているでしょう」

「あれを使って、戦っている人が私の他にもう一人いる」

「実際に顔を合わせたことはないし、名前も知らない。ただ、私みたいに自分で使うんじゃなくて、あくまでキューブに割り当てられた文字から能力として使っているって聞いたことがある」

「そして、その人が実際に戦闘要因として契約するさいにつける紋様。それが、あの赤い鳥」

「『朱雀』の刺青」


「一番の言う通りだ、マダー諸君」


「それは、精鋭部隊の一人が使っている死人だ」


「一○一七番」

「報告感謝する」


その数字が男の子のものであると気付いた時には、


立場上、常にアンテナが立っているだろうから、異常を発見したらきてくれることは知っていた。だけどあまりにも早すぎる。


『へぇ……速いね』


死人が未来へ笑顔を向ける。

刹那、俺の真横に赤い飛沫が


後ろから鳴り響く衝突音、爆風。

声も上げられぬまま振り向いた。

舞い上がる土煙が今度は線を引く。

死人に向かってかけた未来が、【木製銃・刃】を自分の体を中心にして回し、腕に斬撃を加える。


殿(との)……ああ、えっと……凪か。凪が、遠征へ出て、東京に残った精鋭部隊を代わりに纏めているのが、主君だ』

『主君は』

血のついたそれを拾い上げ、死人を睨めつける。

口と鼻に手を当て、異臭に耐える。


酷い悪臭が更にこちらへ流れてきた。


間違いない。以前死の訓練場で出会った、唾やレシートの死人を生み出す原因を作った、あの大学生のものだ。

『やー、ごめんね。手加減ができないもので、全力でぶっ飛ばしちゃったよ』


「土屋君」

「なにがなんでも未来さんを守ってください。彼女無しにこの国の復興など有り得ません。必ず、命を投げ打ってでも、お守りください」あいか

「わかっています」

未来のいない人生なんて、俺だって考えられない。


「……司令、官?」


少しだけ動揺した。

司令官は、いつどんな時であっても遠征中は絶対に凪へ連絡をしてこない。その時の遠征先がどうなっているかがわからないからだ。

もし連絡をして、状況が不利になってしまわないか。そう考るような人である。

だからこそ、メールすら寄越さず直接電話してきたということは、彼の中で相当にマズイと思う状況にあることを示す。


「弥重です。どうされました」


すぐに電話を取った凪はいち早く司令官へ質問を投げかけた。


『死の訓練場、デスゲームが奴らの手に落ちた』

『中には一番をはじめ、多くのマダーが入ったまま。外へ出ることは可能だが、一度退出すれば二度と中へは入れない』


状況を瞬時に把握した凪は周りの強敵たちを【(いと)】で焼き切りながら更に質問を重ねた。


「そこに、隆一郎はいますか?」


「なら、任せます」

『……いいのか』

「ええ」

「僕は、そちらには行けません。九州(ここ)を取り返すまでは、帰るわけにはいきません」


凪は司令官へ頼む。隆一郎へ繋いでくださいと。


『凪さん』


真剣な声で凪を呼ぶ声に、恐れはない。


「隆一郎。相手は精鋭部隊が扱う死人。強さが尋常でないことは、わかるね?」

『はい』

「僕はそちらには行けない。九州(ここ)を取り返すまでは、帰れない」


本当ならば、生者がいる可能性の低い土地よりも、今すぐにでも駆けつけて何かの手助けができれば良いのだろう。中には入れないとどれだけ言っても、どんな願いも叶えられる可能性を持つマダーの兵器、キューブがある限り、何らかの方法で侵入する手立てはあるはずなのだ。

だけどそれは愚鈍。そんなことをせずとも、そこに愛弟子がいるのであれば、凪は安心してその場を任せられる。

それほどまでに、隆一郎には信頼を寄せていた。


「大丈夫です。必ず、隆一郎が討伐します」


「だから、僕から一つ命令するよ」


ただ一言に、その気持ちの全てを込めて。


「勝て。絶対に」





ぐったりとした阿部を抱きしめて、


そこから導き出される答えは──連動。

それ以外に考えられない。


「……【落葉(おちば)】」


亡くなった男性をエリアの端に寄せ、葉っぱで作り上げた を掛けてくれる。

目を閉じて両手を合わせ、数秒。

瞼を開けた未来の表情に、先ほどまでの楽しげな様子は一切ない。

携えた鋭い眼光は、死人を狩るマダーの目そのものだ。


頭から、血が流れていた。

おでこの半分から左が真っ赤に染まり、頬へ輪郭へ、顎まで流れて滴る。


硬さのないそれを踏み潰し、地面と同化させた。

体力ゲージがない


ように。腹を槍で貫いてもグロくなかったように。

「ううん、私は平気。隆が助けてくれたから」

怪我を見えないようにするためだ。

すまなかったらしい。自分の感覚以上に血が流れ出た。


「お、おいお主ら。どうした?」


加藤見えないから

「人間が犯した罪であなたたちが生まれる。生まれたあなたたちの手で人間は殺される。だけど、殺してしまえばあなたたちが生まれた意味がない」


「捨てられた哀しみを伝えるために生まれたはずでしょう。そこに怒りを覚え、快楽を感じる」

「そこにどれだけの哀しみがあるのか、私たちには想像ができない」


「未来ちゃん、怪我……っ!」





。なんで、土屋に、頭部出血なんて、危険信号が出とるんじゃ

加藤の小さな声。「なんでじゃ」と を隠せない が、俺たちへ伝えられた。


「相沢さんの入っとるクマから……危険信号が、出とる」

「頭部出血って、なっとるのは、なんでじゃ」


少し目を見開き、赤い液体を拭って未来は確認した。

現実には影響を及ばさないゲームの世界。

ここでの攻撃はいわゆるアクションゲームと同じように、エフェクトが飛ぶだけで血が出るなどありえない。痛み、苦しみを感じる仕様にはなっているが、あくまでデータの世界であるからだ。

「おら、こういう時こそ役に立てよ薄鈍!!」

既にヘンメイがいる

襲われ中を見て、助けに入る。

「未来、あれ」

大学生

「あいつら、あの時の!」


その数字が男の子のものであると気付いた時には、大学生が胸ぐらを掴んでいた。



「【玄翁(げんのう)】!」


手を殴る


未来が助け出した。

潰れる


「隆。この人、

カタカタと体を揺らして する斎。同じく苦手らしい阿部もへたりこんでしまう。


「【回禄(かいろく)】」


炎の盾を二人に纏わせる。


「じっとしてろ。」


「【木製銃(もくせいじゅう)(やいば)】」


横に投げて周りの手を破壊。


(ガラス玉が……)


死人を倒した際に出てくる


そこには誰もいない。だけど言葉を聞く限り、誰かから指示を受けているのだろうことは予想ができた。


『まぁいいや。メイのやるべきことはやったし、これで怒られることはない。


「おら、こういう時こそ役に立てよ薄鈍!!」

既にヘンメイがいる

襲われ中を見て、助けに入る。

「未来、あれ」

大学生

「あいつら、あの時の!」

「襲われてるの? あれは……」

「死人……?」


「あの男の子だ。唾の死人と相対した時にいた、『譲』の文字の子」


チャラ男にいいようにされる


「孤児だったこいつを引き取ってやったんだから、これくらいいいだろう?」

「住む場所が無くなるよりもずっといいさ」

「そら、こんな時ほど役に立てよ、ウスノロ!!」


「大丈夫だよ。隆に任せておいて」

「あんな程度の人たちに、隆が負けるはずないから」

蹴って前に立たせる

成敗

譲の子逃げる

「おい……っ!」

「もう、やめてください。僕に関わらないで」

「居場所が、無くなっちゃうんで……」



「大丈夫だ、殴られる瞬間、その場所と背中側に盾を張ってる!」

「衝撃で体力は削られてもメーターは動いてない!」

「いや……眠ったままだ」

「キューブが……キューブ自身が、相沢を守ってんだ」

明らかに人間ができる動きの範疇を超えている。

「このままキューブの動きを相沢が無理やり続けさせられるなら、相沢の体が持たない」

「いくら鍛え上げてたって人間の体だ! 相沢が、壊れる……!」

『案ずるな、子どもたち』

『この子は死なぬ。この子はいついかなる時も、たとえ世界が終わりを迎えようと死なぬ。死ぬ運命にない』

未来の体から、未来の声で喋られるのは実に気味が悪い。



凪さんが言っていたことを思い出す。

未来の、呪い。それによって周りの人間が死んで言ってるのではないか

だけど、本来は──


「選ばれたマダーである限り、そう簡単には死なない……」


『そんなわけがない』

『ぼくが……()()のこのぼくが負けるなんて、そんなこと、あるわけ……ッ!!』


「百パーセントの可能性なんてないんや」

「負ける時は負ける。それが戦いの世界やからなぁ!!」


『殺していいの? 君たちには、【情報】が必要なんじゃないの?』

「そうや。情報は喉から手が出るほど欲しい」

「せやけどなぁ!」


キィン!!


「守るべきものを守る。それが私の役目や!!」

『本当にっ、いいのか!?』

「いい」

「必要なら殺す。この世界の必然や!!」


「黙祷……」


「【螺旋神刀(らせんじんとう)】!!」



刀振り切り螺旋状に空気が切り裂かれる

「あなたは、一体何者なんだろう」


言葉にできない、話せないものたち。

その哀しみをわかってやることはできるだろうか。

幼い子供が自分の言葉で表現できなくても親ならわかるように、何も言わなくてもわかってやれないのだろうか。

涙。涙。……涙。

──ごめんね、わかってあげられなくて。だけど信じて。あなたの哀しみを解りたいと思っていること。

自らの思いを刀に乗せる。

上空から飛びかかって、振り下ろす。

自分の動きがゆっくりに感じる。

周りの景色がスローモーションに映る。

こちらを見る彼の顔が、泣いて、悔しそうに、だけど──少し嬉しそうに、儚く笑う。


『相沢未来……どうかそのまま』


口元が更に小さく、動いた。

──ありがとう。


手を前に広げて、自らの命を差し出すような姿を見せる卯月。

その様子に神刀をひと回しして切先を彼に向け、ぐっと握り締めた。


「黙祷……」


抵抗の意を見せない彼の心臓へ、確実に。


ザシュッ!


確実に一撃で心臓に突き刺してガラスの割れるような音を響かせる。

地面に勢いのまま卯月を押し倒し、空中で体をひねって前方へと着地した瞬間……彼の体が黒い霧へと散漫して、空間を覆うように大きく広がり、集約を始めた。





『なぜ……そんなかなしそうな顔をする』

『なぜ……』


「あなたにも、きっと何か哀しいことがあったんでしょう」

「人間を恨んで、恨んで……何が哀しかったのかさえ、わからなくなってしまうほどに」

「ごめんね」

「ごめんね……」

手をおでこに添える

死人、泣きながら消える


「倒せたよ……」

へろへろになりながら言う


「みんなは……」

「無事だ。一番重症なのはお前だっつの」

「あは……死んでないからいいじゃないの」

言いわけあるかよ。


「……疲れちゃった……」

「ああ。ゆっくり休んでくれ」


「いつきできたって、」

「!?まじか!!?」

ふりむいて、しょうじゅんくるう

「「あ」」

ちーん

「どうしよおおおお」


「ごめんな未来。最後まで一緒に戦ってやれなくて」

「隆が頑張ってくれたからだよ。私が動けない間、たくさん頑張ってくれてありがとう」

「斎っ、キューブできたって!!」

「まじか!?」


行く


「あっ、土屋ー! 相沢ー!!」

「俺!! できた!! できたぞー!!」


「わるいっ、今から挨拶回り行ってくるから!! また明日来てくれー!!」


「……行っちゃった」

「行ったっていうか、連れて行かれたって方が正しいけどな」

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