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黒白の巫  作者: ねをんゆう
第2章【大黒女】
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7.深まる疑惑


「それで、調子はどうだい?みっちー」


「ボチボチですよ、きょうこりん」


「私は平成初期のアイドルか」


「みっちーも大概ですよ、三十路先生」


「私はまだ二十代だから……」


次の日の朝、私は南先生に呼び出されて職員室まで来ていた。別に昨日の夜のことは関係ない、というか先生は知りもしない。話の内容は例の彼女についてのことだ。


「いえ、まあそれなりに報告できる事はあるんですけどね……とりあえず私の太ももさするの止めません?完全にセクハラですよね、これ」


「いやぁ、こう可愛い男の子が顔を赤らめてモジモジしてる姿って私的に来るものがある訳よ。ほら、隠す様に股間部を覆ってるその両手、離したらどうなるかな〜?」


「花田先生、校長先生を呼んできて貰っていいですか」


「ぁぁあ待った待った!冗談だから!花田先生も立ち上がらなくていいですから!」


こんな事にも律儀に反応してくれる現国の花田先生は良い人だ。見た目は完全にヤクザで野球部の顧問をしている時はサングラスを掛けているので偶に通報されたりするが、授業も分かりやすくノリのいい人気の先生だ。

今日は珍しく朝練では無く職員室に居て下さって本当に助かった、これで少しはきょうこりんを押さえつけられる。


「はぁ……で?調子はどうなんだね、みっちー」


「とりあえず私が居ても警戒しない様にはなりました、それと首を振ってくれただけですけど猫が好きって事も分かりました。

あと昨日の昼に彼女が返事をしてくれた様な気がします。本当に一瞬だったので自分の聞き間違いの線も強いですが……」


ここまで話して、口を閉ざす。

異様な雰囲気を感じたからだ。

確かに自分でもあの拾ってきた猫より酷い彼女とここまで距離を縮める為にそれ相応の努力をしてきたのだから、勿論褒められたりするんじゃないかと期待していた事は嘘じゃない。

しかし今、南先生はもちろん、周囲に居た他の先生方すらも私の方を見て感心ではなく、驚愕の表情を浮かべている。

まるで『そんな事があり得るのか』という様なことを思っているかの様に。


「………あの、先生?」


「あ、いや……それは本当なのか光海?その、質問に答えて貰ったりだとか、返事を貰ったりだとか……」


「え、ええ、まあ。返事を貰った、というのは聞き間違いじゃないかとも思うんですが……」


「じゃあ猫が好きという事を聞き出したのは?彼女が反応をしたというのは本当なのか?」


「はい、それは間違いなく。……あの、気持ちは分かるのですが、そこまで驚く事なのですか?彼女にも1人くらい会話程度ならできる人が居るのではないのですか?例えば両親とか……」


そこでまたおかしな空気になる。

今度は言い澱む様な、話辛い様な、そんな雰囲気。


「……居ないんですか、両親」


「まあ、な。だが今は彼女の事について君に話せる事は多くない、だから私達は君に『これからもよろしく頼む』としか言えないんだよ。……今はな」


「……わかりました、今はそれで納得します。それでも、今でも私は彼女の事に関して疑問に思ってる事がいくつもあります。例えば、先生方が異様に彼女に入れ込む理由、とか。その辺りもいずれは教えてくれる、と言う事でいいんですよね?」


「ああ、それで構わない。具体的には『彼女が君を信頼したら』全てを話す事を約束しよう」


「分かりました。正直な話、再試免除程度では済まされないくらいに私の時間は奪われていますが……彼女を何とかしてあげたいと個人的にも思いますので、今後も続けさせて貰います」


「そうか、君に頼んで本当に良かったと思うよ」


「そう思うなら今度何か奢ってくださいよ先生」


「え、嘘、いいの?君とデートできるなら食事からホテル代まで全部私が持つんだが」


「いや、ちょ!突然何口走ってるんですか!?っていうか目がガチじゃないですか!流石にまずいですって!!……いや、あの、腕が、離れないんですけど。あと顔が近い、近過ぎて……は、花田先生!花田先生ー!」


間一髪、花田先生が投げたグローブが頭部にクリーンヒットし難を逃れた。

南先生が私の事を性的な目で見ているという受け入れ難い事実が垣間見えてしまったけれど、とりあえずそれは保留して。


やはり彼女(南先生ではなく氷雨さん)が"普通"では無い、ということは確定と言ってもいいだろう。(もちろん南先生も普通では無い)


私は思い出す。

途中式の全く書かれていない真っさらな回答用紙に揃って100点と記されていた難関大模擬テストの束を。





カンニングでは無いと信じたい。

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