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黒い屋敷とバラの庭に閉じ込められた少女  作者: 愛憎少女
第4章 Contract and a twin
49/50

#43 困惑。動揺。そして。

──部屋に突如として現れたのは、ルリアの世話係であるカミーユ。

その事にセリーヌは張り詰めていた緊張を僅かに解き、誰にも気付かれないように息をつけば。


「──────ノック、忘れてるわよ」


「………あっ、! も、申し訳ございません!」



「……謝罪なんていいわ。それより何かあったのでしょう。話しなさい。……エルマー、その話はまた後で」


セリーヌの忠告に、カミーユは慌てて頭を下げ、謝罪の言葉を述べる。

ルリアの世話係として任命させたカミーユが此処に来るという事は、何か想定外の事があったのだろう、と。セリーヌは即座に理解し、何があったのかと尋ね。


カミーユはセリーヌの言葉に漸く、屋敷に見知らぬ人が居ることに気付いたのだが。先に事態を報告しようと口を開いた。



「あ、あの! お嬢様、お嬢様が2人いるんです! お嬢様と、お嬢様そっくりの人が!」


──困惑。動揺。そして、覚悟(・・)

カミーユの報告に、書斎の空気は一瞬で。この3つの感情に満たされる。


エルマーと呼ばれた女性は、今起きている事態の理解が出来ず、どうしたらいいのかと困惑し。

ジャンヌは、ルリアが2人。という状況に動揺し、思考を停止させ。


セリーヌとウィルは、何かを知っているのか。

カミーユの言葉に2人とも言葉を失っていたのだが。


「──────そう。そう、なのね。……ジャンヌ、ルリアの所に行きましょう。兄様。兄様はエルマーに状況の説明と、案内を。……なるべく早く、来てちょうだい」


「……かしこまりました」『…………あぁ。分かった』


まるで覚悟を決めたかの様に、糸のように細い息を吐くと。セリーヌは椅子から立ち上がり各々に指示を下す。

ジャンヌとウィルが彼女の指示に頷くのを見れば、彼女は蒼のドレスを翻しジャンヌと共に書斎を後にした。


『……どういう、事? お嬢様って、貴方が良く言っている天使(・・)の事……かしら? 彼女が────』


訳が分からないと、矢継ぎ早にウィルに質問するエルマーなのだが。

何時も笑みを絶やさない彼が、今まで見た事のない緊迫した表情を浮かべていた為、彼女は口を噤むのだった。


『…………すまない。柄にもなく、取り乱してしまっているみたいだ。……少し、待ってくれないか』


『……えぇ、勿論。私は何時でも構わないわ。…………そう言えば、貴方の事を伺っていなかったわね。名前を聞いても?』


気持ちの整理が未だ整っていないらしいウィルは、エルマーにその言葉を残すと直ぐに黙り込んで。エルマーはふと、報告しに来たメイドに挨拶を交わしていないと思い立ち、彼女に話しかけるのであった。



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