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黒い屋敷とバラの庭に閉じ込められた少女  作者: 愛憎少女
第4章 Contract and a twin
47/50

#41 突然の客

同時刻。

セリーヌの居る書斎には、1人の「客」が訪れていた。


『──────ご無沙汰しております。偉大なる長様。突然のご無礼をお許し下さい。私、エルマー・Y(ヤップ)・ベイリー。ご報告したい事があり、崇高なる貴方様の元へ参りました』


壁一面にある、様々な本が入れられた本棚。

真ん中には木製のデスクが置かれ、デスクと同じ素材で造られたアンティークチェアに腰かけるセリーヌと、その横で佇むジャンヌ。


女性──エルマーの後ろには、ウィルが壁に寄りかかりながら立ち、彼女達を眺めていた。


そんなエルマーは、黒と赤を基調としたドレスを両手で僅かに持ち、椅子に座っているセリーヌに向かって、深々とカーテシーをしながら挨拶をする。



吸血鬼の長であるセリーヌ。

否──セリーヌ含むカーディナル家は、代々吸血鬼の長となる家系。

そんな彼女の屋敷では時折、他の吸血鬼が集まり定例会が開かれるのだが──今日はその日ではなく、セリーヌは急に訪れたエルマーを見据えていた。




「────それで。貴方がわざわざ此処に来た理由は何かしら?定例会はまだ先の事でしょう」


セリーヌは肘掛けに手を置き、足を組みながら、何時もと──否、何時もより低い声でエルマーに問いかける。

その姿は普段ルリアに見せる姿とは違い、威厳に満ち溢れているのだった。


『申し訳、ございません…………』


まるで背筋が凍りそうな程、冷ややかな口調にエルマーは勿論、隣にいるジャンヌでさえ恐怖を感じ、エルマーは頭を下げたまま、思わず震えた声で謝罪の言葉を零す。


その言葉を聴きセリーヌはため息をつくと、組んでいた足を戻し、身を乗り出した。



「謝罪をするくらいなら、早く話をしてほしいのだけれど」


『も、申し訳ございません………──────その、先日……新たに2人、同族が殺されてしまいました』


同族。

その言葉にセリーヌは一瞬だが悲しそうな顔をするのだが────すぐに眉を顰める。




「………それは、吸血鬼殺し(ヴァンパイアハンター)の仕業ではなくて?」


吸血鬼は生きる為と言っても、人間の血肉を喰らう人外。

故に、それを恨む人間は吸血鬼殺し(ヴァンパイアハンター)を作り、時折吸血鬼を殺しているのだが──────


自身の言葉に狼狽えるエルマーから、彼女は吸血鬼殺しの仕業ではないのだと悟るのだった。


「…………吸血鬼殺しではないなら、誰が同族を殺したと言うの?」


エルマーは、ひしひしとセリーヌから感じる重圧を逃れようとするかの様に息を吐くと。

ゆっくりと、重い口を開く。



『────どうやら、同じ同族(・・)に、殺されてしまったそうです』



──吸血鬼殺しではなく、同族(・・)と。

すなわち、同じ仲間である吸血鬼(・・・)に殺されてしまったのだと言う情報を聞き、セリーヌの背筋は凍り、後ろで聞いていたウィルも目を見開く。


「………嘘、でしょ。…………同族は、私しか殺せない(・・・・・・・)……はずよ。()を、破ったとでもいうの………………?」


動揺を隠しきれないセリーヌは立ち上がり、事の詳細を聞こうとしたのだが。

突如として部屋の扉が開き、皆一斉に扉の方に視線を移すのであった。


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