表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒い屋敷とバラの庭に閉じ込められた少女  作者: 愛憎少女
第4章 Contract and a twin
44/50

#38 瓜二つ

今にも泣きそうになっているルリアの頭を撫でながら、リリアは何処か悲しそうな笑みを浮かべる。


『────覚えてないのは当然だ。兄様に、たのんだんだ。闇がたまるまで、私のことをわすれてほしいって。……まあ、ちょっとしたイタズラだな』


「ひどいわ……! ………でも、これからは一緒にいられるの、よね……?」


兄様──それはウィルの事であり、彼は「記憶を操る能力」を持っている。

その能力を使い、リリアに関しての記憶を消したのだろう。

悲しそうな笑みをやめ、無邪気な笑みを浮かべ答えるリリアを見、ルリアは頬を膨らますのだが────こてんと首を傾げ、そう尋ねる。


もう2度と忘れたくないと表す様に、リリアの手を握りしめながら。


指に伝わる温もりを感じながら、リリアは小さく笑みを浮かべながら頷くと、安心させる為にまたルリアの頭を撫でるのであった。

彼女の髪についているリボンが外れないように。優しく、やさしく。




「────あっ、リリィお洋服きてない……! 寒いでしょ……? 今持ってくるわ……!」


『私、闇からできてるから別に寒いとか大丈夫なんだが…………』


頭を撫でられ彼女は、幸せそうに微笑んでいたのだった。──けれど、リリアが服を着ていない事に気付くと、慌ててベッドから降りる。

だが彼女は闇を具現化して生きている為、寒さ等の皮膚に伝わる感覚はあまり感じないらしく、それを伝えようとしたのだが──────



靴も履かず裸足のまま、クローゼットに向かったルリアの優しさを無下には出来ず、その声は段々と小さくなるのであった。






「とりあえずたくさん持ってきたわ! 私と同じだからぴったりなはずよ?」


『ありがとな。……じゃあ、これにする。ルリ、手伝ってくれないか?』「うん……!」


ペチペチという裸足の音を暗い部屋に響かせながら、彼女はリリアの居るベッドに戻る。そして、両手に溢れんばかりのドレスを広げると首を傾げる。

純白なベッドに置かれた、色とりどりのドレスの中から、リリアは青いドレスを手に取る。




『────っと、どうだ?』


「んしょ………ふふっ、おそろいね……!」『………あぁ、確かにな』


青いドレスに袖を通し、腰についている淡い黄色のリボンを不器用ながらに結びながら、リリアはルリアに服が似合っているか尋ねる。

ルリアは、背中の方のリボンを結ぶのに苦戦していたのだが、ようやく出来たらしく、リリアの目の前に移動すると満面の笑みを浮かべながらそう述べた。


互いの瞳に映る、互いの姿。

どちらがどちらなのか分からなくなる程に、鏡の様に瓜二つな彼女達。

────違うのは、瞳の瞳孔の形。互いに浮かべる笑み。それだけだった。



「──────なにか、足りないわ。私とリリィ、こんなにも同じなのに」『んー………あ、頭のリボンじゃないか?』


しばらく互いは互いを見つめていたのだが、何かが足りないと呟くルリアに、リリアは自身の頭を指差す。

確かにリリアが指を差す部分に、ルリアはリボンを付けており、それが足りないからだと納得した彼女は自身の両手を握りしめるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ