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黒い屋敷とバラの庭に閉じ込められた少女  作者: 愛憎少女
第3章 Dedicated to an Angel
38/50

#33 危険な力

────ジェシカの言った言葉。

それが今のカミーユには理解が出来ず、彼女はゆっくりと首を傾げる。


「これ、が──────? あんな、あんな幼いお嬢様の力がこんな………」


ありえない(・・・・・)

僅かに震えた声で、明らかにそう言いたげな言葉を呟くカミーユを見ず、ジェシカは椅子に座っている死体に繋がれた枷を外し始める。


『──彼女の能力は、触れた物を破壊、もしくは創造する能力。…………幼いながらも、ルリア様はその手で幾人も殺してきたんだ。この、危険な力でね』


枷を外したせいで自身に倒れてきた死体を慣れた手つきで抱え。近くに置きながらも話すジェシカの声は、先程と同等に低く感じられ、どことなく棘が刺さっているかの様な物言いだった。


「その力のせいで、あの子達はみんなルリア様をこわがってるんだよー…………もちろん、私達3人も。でも、あの子達よりはこわいと思ってないけどねー………?」


いつの間にか両手にモップを持っていたフェイは、片方をカミーユに渡しながらジェシカの言葉に続ける。

あの子達、と言うのは彼女達以外のメイドの事なのだろう。


その言葉を聞き、カミーユは最初に出会った際ルリアがどうして自身に "恐れていないか" と尋ねたのか、その理由をゆっくりと理解したのだった。



『────知って、怖くなった?』


先程から黙ってばかりのカミーユの方を振り向き、ジェシカはそう問いかける。

けれど、彼女はゆっくりと首を横に振りジェシカを見つめる。

その瞳は揺らがず真っ直ぐで、一切の恐怖は感じ取る事は出来なかった。


「いえ……聞いて驚きはしましたが、それはいつか操る事が出来るって事ですよね……? なら、私はその手伝いをしたいです」


カミーユはしっかりとした口調で答え、その言葉を聞き2人は不意をつかれたのかきょとんとした顔つきになる。


「………ふふっ、カミーユちゃんはおもしろいねー? ね、ジェシカ!」


『確かに。ま、それがカミーユの良い所なんだろうな』


2人は互いの顔を見合わせるが、おかしかったのか同時に笑い合うとそう言い、カミーユは困惑しつつ褒められている事に気付くと顔を朱に染めたのだった。


「さ、早く掃除を終わらせよー?」


カミーユの言葉によって、先程までの冷たい空気が一気に何時もの暖かい空気に変わってゆき、フェイのその言葉を聞き2人は頷くと掃除を再開するのだった。



「────そういえば、フェイさんとジャンヌさんの能力は何なのですか……?ジェシカさんは炎の魔法を操るって事は、分かってるんですが………」


『フィーの能力(レビア)は、風を操る魔法と結界を操る魔法の2つだよ。ジャンヌは水を操る魔法さ』


「レビア……?」


熱心に掃除を続け、一通り床が元の灰色に戻りカミーユは疲れたのか息を吐く。そしてふと、フェイとジャンヌの能力を知らない事に気付き問いかける。

ジャンヌは死体をどうしようか考えつつ答え、カミーユは知らない単語に首を傾げ、彼女は少しはっとした顔に変わった。


『えっと…………』「ジェシカはツァンナ帝国の人なんだよー? ツァンナ帝国の人は能力をレビアって言う時があるんだー?」


「へぇ……そうなん、ですね………?」


言い淀むジェシカを庇う様に、フェイは明るい声で説明をしつつ自身とカミーユの掃除道具の片付けをし。彼女はお礼の代わりに小さく頷きながら頷くのだが、その説明を聞いているジェシカが何故か悲しそうな顔をしていた為に首を傾げる。


『さ、掃除も終わったし早く帰ろ。明日の食事の用意があるし、後片付けもあるからな』


「はーい!」


ジェシカは何時もと変わらない笑みを2人に向けると死体を担ぎながら立ち上がり、フェイは明るく頷くと地下の階段を登り出す。

カミーユは悲しそうな表情をしていた理由を考えつつ、慌てて2人の後を追い地下を後にした。

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