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黒い屋敷とバラの庭に閉じ込められた少女  作者: 愛憎少女
第3章 Dedicated to an Angel
34/50

#29 メイド達の食事

2人が地下に降りている際。

カミーユ、ジャンヌ、ジェシカ、フェイの4人は調理場の隣の部屋で食事をとっていた。



「────今日はお嬢様の食事はいいって、どういう事ですか?」


パンを1口大の大きさに千切りながらカミーユは、調理担当であるジェシカに理由を──ルリアに食事を出さない理由を尋ねる。


『ん、…………今日、ルリア様は血を飲む練習があるんだよ。だから食事は要らないってわけ』


尋ねられたジェシカは口に含んでいたスープを飲み込むと、カミーユの問いに答える。


「それにルリア様達は、私達と違って夜しか動けないからあんまりお腹空かないんだよー?」


ジェシカの言葉に続けるかの様に、フェイはパンを片手に持ちながら座っている椅子を揺らし、明るい声で言うが、椅子から落ちかけたのか慌てて机を掴む。

その様子を見ながら、ジャンヌは黙々と食べ続けていた。


「…………お嬢様もセリーヌ様と同じ吸血鬼ですよね……? ……吸血鬼なのに、血を吸う練習をするんですか?」


カミーユは食事をする手を止め、2人の言葉を聞いていたが、ふと疑問を感じその事を尋ねる。

それもそのはずだろう。

吸血鬼は血を吸う人外だと言うのに、ルリアは何故か血を吸う練習(・・・・・・・・・)をしているのだから。


カミーユが感じている疑問に気付いたのか、一足先に食事をし終わったジャンヌは立ち上がり、使った皿を片付けながら口を開く。


『────ルリア様は、セリーヌ様のご命令で屋敷の外に出すことが出来ないわ。その為、本来の吸血して獲物を捕らえるという事が出来ない。いくら本能であってもそれが出来ないと、力は衰えてしまうでしょう』


「──だから、衰えないように練習させている、という訳なんですね……」


ジャンヌの言葉を聞き、あまり腑に落ちない点がありつつも彼女は納得し、千切ったパンを口の中に放り込む。


そんな話や他愛のない話をしつつ、団欒していたのだが、隣の部屋──調理場からコツコツという足音がフェイの耳に入り、彼女は椅子から立ち上がる。


「戻ってきたみたいだよー?」


『じゃあ、行きましょう』


フェイの言葉を聞き、ジャンヌは水で濡れた手をエプロンで拭きながら述べると、他の2人も立ち上がり調理場に向かった。





────調理場に入ると青年が少女を──ルリアを抱きかかえており、彼女は気を失っているらしく、彼の腕の中でぐったりとしていた。

その姿は明らかに何時もと様子が違い、カミーユ除く3人の表情からは、緊張している事が読み取れた。

カミーユはその緊迫している空気を感じ、自身も緊張する。



『──────どう……なされたんですか?』


静寂な、けれど重く、緊迫した空気が部屋に流れており、そんな空気をかき消そうとするかの様に、ジェシカは口を開き青年に理由を尋ねる。


『あぁ────彼女が、……ルリが、暴走してしまったんだ』


青年はジェシカの問いを聞き少し息を吐くと、ゆっくりと先程の事を説明しだした。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 風景を文字に起こす時の言葉がすごく細かいしわかりやすいからすぐに想像出来て読みやすい。キャラのセリフからだけじゃなくて風景とかセリフ以外でキャラの気持ちがわかるからまずは語彙力がすごいそし…
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