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黒い屋敷とバラの庭に閉じ込められた少女  作者: 愛憎少女
第3章 Dedicated to an Angel
32/50

#27 練習

部屋を出、ウィルは真っ直ぐ屋敷へと向かって歩く。

ルリアは屋敷に向かって歩くのが不思議で堪らず、彼の顔を見つめる。


「お、お兄様……? お外で練習するんじゃないの……?」


『ん? ………あぁ、獲物は前に捕らえた物だから屋敷にいるんだ。だから今日は屋敷でやるんだよ』


自身の顔を見つめる視線を感じながら、ウィルはルリアの問いに答えると、近くにいるメイドに目配せをする。

メイドは彼の目配せに気付くと、屋敷の扉に近付きゆっくりとその扉を開けた──────




────屋敷の扉がゆっくりと開かれ中に入ると、ルリアは屋敷の中を見るのは初めてな為、きょろきょろと辺りを見回し、ウィルはある場所に向かって歩き出す。

廊下にひかれている蒼色のカーペットが、彼の靴の音を吸収し、彼女は幾つもある扉や初めて見る階段に目を輝かせる。


廊下や窓の掃除をしていたメイド達は、2人──主にルリアの方を見つめており、ルリアはその目線が怖くぎゅっとウィルの服を握るが。彼はその目線には気付かず、ある部屋の扉の前で待っていたメイドに扉を開けさせた。


扉が開くとそこは広い調理場で、奥の方には地下へと続く階段があった。

彼はそこに近付くと "大丈夫" と表す様に、彼女の額に、こつんと自分の額をそっと当てる。

彼女は少し心配そうな顔をしていたが、自身の額にウィルの額がそっと当たったので、少し安心したのか穏やかな笑みを浮かべた。


穏やかな笑みを浮かべた彼女を見、彼も安心したのか小さく笑みを浮かべると地下へと続く階段を降りていった────











──────暗い部屋にいる女性の目線の先には、座っている椅子と手足を繋ぐ枷があり、女性はこれが先程ガチャガチャとなっていた音の正体だと本能で悟る。

女性は焦り手枷を外そうと躍起になるが、枷は外れたりはせずただ音が暗い部屋に響くだけだった。


少し経つと扉が開かれる音が聞こえ、女性は動きを止めると怯えた顔をし、ゆっくりと扉の方を見つめる。



────扉の先には女性が愛していたウィルがおり、彼は少女を抱きかかえていた。

彼は少女をゆっくりと下ろすと、少女はゆっくりと女性に近付く。


コツリコツリという少女が履いている靴のヒールの音が部屋に響き、女性の目の前に立った少女を見て、女性は小さく悲鳴を上げた。




────────女性の視界に映るのは、幼い少女の姿。

日に当たっていないのか陶器の様に白い肌に、女性を見つめるとても鮮やかな紅の双眸は、彼女の可愛らしさを引き立てていた。

まるで人形の様に可愛らしい少女だが、彼女の背から見える大きく、左右形が違う翼は、女性を恐怖に陥れた。


「ひ、っ……! 悪魔……!! こないで、こないでぇっ……!!」


近付いてくる少女から逃げようと、女性は声を荒らげながら枷を外そうとするが、ガチャガチャという音しか鳴らず。少女はどういう訳か、少し悲しそうな表情を向けたかと思うと、更に女性に近付き、彼女の首筋に向かって顔を近付け─────



「っ、う"………!!」


首筋に何か尖った物が刺さった感覚と共に、血が抜けていく感覚がして、女性は痛みに顔を顰める。

少女はゆっくりと女性の血を飲んでいたが、たらりと少女の口元から飲みきれなかった血が垂れ、床を朱に染めていった。



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