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黒い屋敷とバラの庭に閉じ込められた少女  作者: 愛憎少女
第3章 Dedicated to an Angel
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#26 幸せな日から

ルリアの誕生日から数日が経ち、彼女は自身の部屋のベッドでうつ伏せになりながら、ウィルから貰った絵本を熱心に読んでいた。

絵本の近くには小さなくまの人形が置かれており、彼女の首にはネックレスが身に付けられ、壁に付いている燭台の灯りに照らされていた。


絵本を読み終わったのか、パタンという音が部屋に響いた途端、彼女は絵本を抱きしめベッドに転がる。

その顔には本当に幸せそうな、嬉しそうな表情を浮かべていた。


「────ふふっ、誕生日とってもたのしかったわ……!」


ルリアはまたうつ伏せになり目線を近くの人形に向けると、無邪気な笑みを浮かべてそう言葉を零す。


「絵本はとーってもすてきなお話だし、テディは小さくてかわいいし、これもきらきらしててきれいだしっ、お庭もたくさんバラがあってすてきだし、その後のお菓子も大好きなアップルパイでうれしかったわ……!」


そして小さなくまの人形──テディと呼ばれた人形の鼻をつんつんと軽くつつきながら話しかける様に言うと、その言葉が言い終わった途端に彼女の部屋の扉を叩く音が響く。

その音にルリアは飛び起き、扉の方を紅の双眸で見つめる。

庭のバラよりも、彼女の視界に映る紅い月よりも鮮やかな紅の双眸で。



────扉が開かれ、月の淡い光に照らされる人影の姿は男性の姿──ウィルであり、彼はにこりと優しい笑みを浮かべるとルリアに近付いた。


『おはようルリ。この間は楽しめたかい?』


「うんっ……! この子にね、テディって名前つけたの……!」


彼がベッドに腰掛けたと同時に、彼女はウィルに抱きつき明るい声でそう答える。

その明るい声と満面の笑みを見、自身も嬉しくなったのかルリアの頭をそっと、髪がぐちゃぐちゃにならず、リボンが取れないようにしながらも優しく撫でた。


『────と、今日は血を吸う練習をするからおいで』


しばらく頭を撫で続けていたが、彼はふと我に返るとそう言い、ルリアを横向きに抱き上げながら立ち上がり、すぐに彼女の両足と胴を腕で支持する。

まるで、騎士が愛おしい姫を抱きかかえる様に。


抱きかかえられたルリアは少し驚くが、その言葉に小さく頷くと彼の首に腕を回し落ちないようにする。


『………鎖は外されてもらっているね?』「さっきジェシカが外してくれたわ……!」


一応の確認の様に尋ね、彼女はにこりと柔らかな笑みを浮かべながら答えると、ウィルも穏やかな笑みを浮かべる。


『それじゃあ行こうか、私の可愛いお姫様』


そして、彼はルリアを抱きかかえ部屋を出た──────









────暗い暗い室内で、女性はゆっくりと目を覚ます。

彼女は先日、ウィルとイヴァンの正体を知り捕らえられた女性で、彼女はゆっくりと辺りを見回す。

そしてこの室内から逃げようとしたが、ガチャガチャという音に気付き、目線を下に向けた。



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