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黒い屋敷とバラの庭に閉じ込められた少女  作者: 愛憎少女
第3章 Dedicated to an Angel
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#18 傷

ルリアが背を向けると、ドレスの背の部分は翼がある為に空いており、そこには落ちないように紐が通されていた。

まるでコルセットの様に通されている紐は無数のクロスが出来ていて、彼女はリボン結びにされている紐を外すと、丁寧に紐をドレスからはずしていく。


紐が外れていき、段々と彼女の肌が露になってゆき、カミーユは思わず息を止めた。



────彼女は肌着を着ているが、翼の部分は空いており肌が見えていて、その肌の部分は痛々しい傷の痕が大きく残っていたからだ。


『さ、前を向いて下さい』「うん……」


当たり前なのかそんな傷は気にも止めず、ジェシカはルリアに前を向いてもらうと、胸元や腰についている大きな黄色のリボンを外し、ドレスを脱がしていく。


ドレスを脱ぎ終わり、肌着姿となったルリアは少し恥ずかしいのか人形で顔を隠していたが、その細く小さな身体には無数の傷や痣の痕が残っていた。


「い、痛くないんですか………?」


カミーユは彼女の身体に残っている傷がとても痛々しく、おずおずと尋ねるが、ジェシカが自身に手を向けたので、慌ててドレスを彼女の手に乗せる。

ドレスを受け取り、ジェシカは彼女の腕に袖を通させようとドレスを広げ、ルリアは人形を置くと広がったドレスの袖部分に腕を通す。

腕が通ったのを見、慣れた手付きでドレスを着させると、背中の紐を結び、胸元と腰についている黄色の布を結び綺麗なリボンを作った。


あっと言う間に先程見たドレス姿──否、先程とは少し細部が違うが同じ色のドレスを着たルリアは、腕を通した時に床に置いた人形を手に取ると質問をしてきたカミーユを見つめる。


「生まれつき、ついてるから痛くない……」


顔を隠す様に人形を抱きしめながら小さな声で答え、ジェシカはその間、彼女の頭に付いたままのリボンの位置を直したり、ドレスを少し直すと、終わったのか満足そうに息を吐いていた。


「────生まれつき、で……そんな傷は付きませんよ…大丈夫なんですか……?」



「─────────こわく、ないの……?」


彼女の声──まだ寝起きなのか若干掠れてしまってはいるが、鈴のように可愛らしい声でいう言葉は少し舌っ足らずで、けれど、その答えとは程遠い傷と痣の多さを思い出し、カミーユは眉を下げ心配なのか首を傾げる。


──彼女は、首を傾げていたカミーユをしばらく見つめていたが、ゆっくりと抱きしめていた人形を下ろすと、小さな声で尋ねる。

けれど、その声色は不安げで、カミーユを見つめている瞳も僅かに揺れ動いていた。



「────どうして、そんな事を言うんですか?」


カミーユは、彼女の不安そうに揺れ動いている瞳を見、不思議で堪らなかったのか疑問を疑問で返した。


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