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黒い屋敷とバラの庭に閉じ込められた少女  作者: 愛憎少女
第3章 Dedicated to an Angel
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#16 出会い

ジェシカの後に追いつき、彼女は足元で咲き乱れる真っ赤なバラを目で追いつつ後ろを歩いていた。


少しばかり歩いた頃、彼女の視界には小さな家──まるで、童話に出てくるお菓子の家の様な小さな家が映り、ジェシカが立ち止まったのを見、ここが自身の担当する "妹" の部屋なのだろうと悟る。

──否、彼女の視界に映るのは小さな家であり、部屋ではなく「家」と表記するのが正しいだろう。


カミーユは目の前にある小さな家を見ながら、自身が担当する "妹" が、とても姉に愛されているのだろうと考えていた。

こんな可愛らしい家を、"妹" に与えているのだから。


『………と、これ持ってくれるかい?』「あ、は、はい……!」


ジェシカは家をずっと見ているカミーユに、手に持っていた皿を渡しながら言うと、彼女は慌てて頷き渡された皿を落とさないようにそっと持つ。

皿を持ってもらい両手が自由になったジェシカは、家の扉を数回ノックすると扉を開けた────




──扉を開けると、そこはとても薄暗く、カミーユは不思議に思うがジェシカが部屋の中に入った為、皿を落とさないようにしながらも家の中に入った。


2人は中に入り、バタンという扉が閉まる音が部屋に響き、段々目が暗闇に慣れていくにつれ、部屋の中には沢山の人形や本等が様々な場所にあり。部屋の真ん中にはとても大きなベッド──まるで一国の姫が眠るかのような天蓋つきのベッドがあった。


ジェシカはベッドに近付き、カミーユも後に続きベッドに近付くと思わず息を呑む。



──ベッドの上に広がる長い銀の髪は、まるで糸の様に透き通りそうな程、色素が薄く、静かに寝息をたてている少女の寝顔は、目蓋を閉じているにも関わらず可愛らしくて────



「……陶器人形(ビスク・ドール)、みたい……」


ふと、心に思った事をカミーユは無意識に口にし、ジェシカが自分の方を振り向いたのを見、自分が思わず思っていた事を声に出していた事に気付き、少し頬を赤らめる。


『………ほら、起きて下さい。"ルリア"様』


ジェシカはにこりと笑うと、ベッドで眠っている少女の体を少し揺さぶりながら言い、"ルリア" と呼ばれた少女は体が揺れる感覚に気付き、ゆっくりと体を動かす。


「…………ん、……じぇし、か……?」


『着替えず寝てしまったんですね…おはようございます』「ぅ……おは、よぉ……」


のそのそと少女は起き上がり、寝起きだからなのか、少し掠れた声でジェシカの名前を呼び、ジェシカは少女──ルリアが着ている服が寝間着では無い事に気付くと苦笑しつつ挨拶をする。


ルリアは眠そうに小さく欠伸をしながら挨拶を返していたが、少し経ち、ジェシカの隣に誰か────今まで見た事がない人が居る事に気付くと、近くにあった人形を手に取り、自身を隠すかの様に強く人形を抱きしめ怯えた瞳で知らない人を見つめていた。


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