誰もしらない、六月のある日。
まるで水彩画
太い筆で塗りつぶした青色
うっすらと滲む色彩が彩る
雲は灰色というより 澄み渡り碧
悠々と 時を塗り潰してゆく
タイヤが足早に駆け出して
僅かに開かれた窓の外から
薫る季節に 頬が染まる
気付けば 腕は真っ赤になり
ふと 訪れた羽虫が擽る
まだ初夏を迎えていないのに
蝉の鳴き声が聴こえてくるような
高速道路の上から
入道雲を迎えて
まだ見ぬ明日へと
風を感じ 蛍の光を待ちわびる
じっとりと漂う湿気に
ただ 恋い焦がれてみては……
紫陽花が 佇んでいた