表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/29

第5話 カイラ森林とボス

2連続投稿になります。

1つ前の掲示板回もぜひどうぞ

「ここが新しいフィールドかー!」


「カイラ森林」


「キーちゃんなんでフィールドの名前わかったの!?」


「マップ」


「そっか、忘れてた!レン君ここはカイラ森林っていう名前なんだって」


「ああ。聞こえてたよ」

俺たちは全員がLv10になった後、新しいフィールドに来ていた。始まりの草原を抜けた先にある場所だ。カイラ森林は薄暗く、少しじめじめしていた。


いい昼寝場所は見つかりそうになさそうだ。

俺のテンションは一気に下がっていた。


俺とは対照的にロキは尻尾を振って、辺りをキョロキョロしていた。

ここがもしかしてロキが住んでいたところなのだろうか。

どことなく周りを気にしていた。


「何か近づいてくる」

シーナが気配察知で何かの接近をとらえる。少しすると俺も把握できた。

「何かが3体来るな。結構移動速度は早いぞ」


「みんな警戒して!」

そうシズクが声を上げた時だった


「くっ!?」


「レン君!!」

木の陰から飛びかかってきたのは、ロキと色違いの灰色の狼だった。

情報を見てみると名前はグレイウルフ。Lvはまだ見えなかった。

ロキより一回りは大きく、3匹で連携を取るかのように、俺たちを囲む。


「こいつは手ごわそうだな…」


「ウォン!」


「やれるのか?

…よし、1匹は頼むぞ、ロキ!」


「グルル」

威嚇をしながらロキがグレイウルフの1匹に攻撃を仕掛ける。


ロキの瞳には普段とは違う強い意志が宿っており、

まだ出会ってそう経ってはいないが、ロキの野生を感じた。


森に入った時から気にしていたし、何か因縁があるのかもしれない。


「1匹はロキに任せろ!俺が1匹受け持つから、3人でなるべく早く倒して助けに来てくれ!」


「わかった!」

そう言って俺はシズク達から離れるようにして1匹を誘い出す。


「さて、時間稼ぎが安全だけど、倒せるなら倒してみますかね」

まずは小手調べと思い、影魔法を動きながら発動するが、あっさりと避けられてしまう。


「やっぱ正面からは厳しいか。俺にできることはっと」

呟きながら足元の石を拾って投げると同時に隠密を発動して木の陰に隠れる。


「グルル…」

グレイウルフは俺の姿を見失ったのか、辺りを見回し立ち止まる。


「すまんな」

背後から首に短剣を突き刺す。

急所を攻撃したからか、そのままグレイウルフは倒れる。


「ロキとシズクたちはっと」

辺りを見回すとどちらも倒して、こっちを見ていた。

どうやら俺が最後だったらしい。


「レン君お疲れー!グレイウルフ、なかなかに強かったね!」


「あぁそうだな、でもなんとかなりそうだ。

さて、今日はここまで…ん、ロキどうした?」


「グルルㇽ」

戦闘が終わっても、ロキは歯をむき出しにして周囲を執拗なまでに警戒している。


「どうした、落ち着けって」

そう言いながらロキを撫でるが、ロキの様子は収まらない。


「レン君、ロキちゃん大丈夫…?」


「いや、明らかに変だ。悪いけど今日はこれで終わりでいいか?ちょっとロキの様子を見たい」


「うん、放っておけないもんね。じゃあ先に帰ってるね。レン君も気を付けて」

そう言ってシズク達は街に帰っていった。

少し悪い気もするが、今はロキが大事だ。


しばらく座ってロキを抱えてなだめるも、ロキは落ち着きを取り戻さない。

それどころかどこかに行きたそうにしていた。


「ロキ、お前は何を探してる。どこかに行きたいのか。

もし行きたいなら俺も付き合うから連れていけ」


思えばこの森に来たときから、少し様子がおかしかった。

何かあるのだろうと思い、ロキを離すとそのまま森をロキは進み始める。

そのまま黙って俺はついていく。


なぜかさっき戦った狼はおろか他の魔物にも出くわさない。


暫く進むと、開けた広場のような場所に出た。


「ロキ、あいつが原因か」

広場の奥には先ほど戦ったグレイウルフよりも2周りは大きな狼がどっしりと伏せていた。

こちらを見据える両目の内、右目に大きく傷が入っており閉じられている。片目しかないがその風貌のせいか威圧感は2割増しだ。明らかに群れのボスといった風貌だった。そいつの名前はグリズリーウルフだった。


「アウォーン」

そいつは遠吠えと共に立ち上がり、こちらにゆっくりと向かってきた。


「っ!?」

気づけばグレイウルフの群れがやつの後ろにズラリと並んでいた。


「ロキ、逃げるぞ!おい、ロキ!」

ロキは俺の言ううことを聞かず、そのボス狼に勢いよく向かっていく。

今まで見た中で一番ロキの走るスピードは速かった。

それこそ今まで手を抜いていたのかというほどに、差があった。


「キャン」

しかしボス狼が前足を一閃しただけでロキは吹き飛ばされる。


「ロキ、やめろ!」

ロキはたったそれだけでボロボロだった。

しかしロキは足をがくがくさせながらも立ち上がり、再び飛び掛かる。


「ロキ!!」

再度ボス狼は前足を一閃。ロキはこちらに吹き飛ばされ、倒れ込む。


「ロキ…」

慌てて駆け寄るももはやロキは虫の息だった。

こちらを見る瞳はすまないといっているかのように見えた。


そして光の粒子となり消えた。


獣魔ロキが死亡しました

24時間後に再召喚可能です


そんなシステムアナウンスが入るも、俺の耳には入って来ない。


この世界での初めての仲間だ。

目の前で何もできず散っていった。


何もできず。


とてつもない喪失感と同時に激しい怒りを感じた。


「ロキ、なんでいつもと違ったのかは知らない。でも、敵はとってやるからな」

そうつぶやき、


「おい、犬っころ。ロキの代わりに殺してやる」


目に殺意を乗せて


心の中で静かに怒りを燃やして


俺はグリズリーウルフに向き合った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ