第15話 俺とワタシが考えたさいきょう
お久しぶりです、Ao月です。
まだごたごたは続いているのですが、少しずつ連載再開していきます。
しばらくはゆっくりした更新になるかと。
「おや、レンさん。まだ2,3日しか経っていませんがどうしましたか。もしかして素材を集めるのを諦めたなんて言いませんよね?」
怪しむような目つきで、俺を見つめるクラマ。
「まさか。その逆だよ。素材持ってきたよ」
「なんですって…!?」
素材が揃ったと聞いた途端、クラマの細めた目が見開き、その顔は驚きに染まっていた。
「ワタシが依頼した素材はそんな一朝一夕で手に入るような素材ではないはず…それこそ上位陣の中でもトップランカーの人が1週間以上はかかるような難易度なはずなのに…レンさんの強さはいったい….」
自分の世界に入ったかのようにぶつぶつとつぶやくクラマ。正直少し怖い。
しかも依頼された素材がなんだか難易度が高かったなんて言葉が聞こえたけど嘘だよな?
そんな苦労しなかったけど。
「レンさん!スキルは良いので、ステータスを見せてくれませんか!?」
俺の肩を強くつかんだその手が謎を解き明かすまでは離さないと言っていた。
「いいよ、でも他の人には情報を流すのはなしね」
自分の強さがどれぐらいかわからないので、他の人に見てもらうのはいい機会なのと、クラマは商人である以上、情報は漏らさないだろうという思いから、俺はステータスをクラマに見せる。
「これは…」
クラマの目は相変わらず見開いたままだ。
「レンさん、今トップランカーと呼ばれている人たちのレベルがどのくらいかご存知ですか?」
トップと呼ばれるぐらいだから、俺の倍ぐらいはあるのではないかと思い、答える。
「40とか?」
「レンさん、答えは20です。このゲームトップと言われている、ネイシアさんという方がいるのですがその方が20。次点で19ですよ。」
なんだって….
「つまりレンさん、あなたはトップよりもレベルが2も高いわけです。実質あなたがトップなのですよ」
どうやら好き勝手やっていたら色々先に進んでしまってたみたいだな…
まぁどうでもいいか。俺は俺が寝たい場所を探すだけだ。
「これで、素材が早く集まったことの理由も理解できました。まさかこのゲームで一番進んでいる方の武器を作成できるとは。ワクワクが止まりませんよ。さて、それでは頂いた素材で武器の作成に移ろうと思いますが、よろしいですか?」
いつもの細めに戻ったクラマが、いつもの調子に戻っていた。
「こういうのは使えないかな?」
そう言って俺が作った各種毒薬を渡す。
「これは…」
目を見開くクラマ
「レンさん、これをどうやって?」
「作った」
「作った!?…もう先ほどから驚きの連続ですよ…」
クラマはため息をつき、そしてにやりと笑う。
「集めてもらった素材と、この各種毒薬を使えば、どんな面白い武器が作れるのか…
状態異常の何かを特化させる武器にするか、全ての状態異常を取り入れてチャレンジしてみるか、いろいろな工程を考えないといけない…ともあれチャレンジした場合失敗する可能性は高い。しかし挑戦してみたい。これはレンさんをどう説得すべきか。いやむしろ黙って…」
クラマは自分の世界に入ってしまって、考えていることが駄々洩れだった。
しかも黙ってなんて不穏な言葉も聞こえてきた…
「クラマ、クラマが一番面白いと思うものを作ってくれ。失敗してもいい。素材は集めればいいし、薬は俺が作れる。クラマは何を思ってこのゲームをしてる?俺は最高の昼寝場所を探すことがこのゲームの目的だ。クラマは?」
「私は自分の考えたものをとにかく形にしてみたい。そして、それが誰が作ったものよりも素晴らしいものにしたいのです。」
「なら、何も気にせず挑戦してくれ。楽しんでこそゲームだ」
「あなたと出会えてよかったですよ…」
ニヤリとお互いが笑った顔は、さぞかし気持ち悪かっただろう…
「…グルルルル」
ロキが二人の怪しげな雰囲気に思わずうなり声をあげてしまったとか、あげてしまわなかったとか…
読んでくださる方がいるとほんとに嬉しいです