閑話2 初めての弟子
今回はなかなか短いです。
私はエナ。
タタラマ渓谷の奥まったところに一人で暮らしている。
まぁ色々事情はあるんだけど、一番の理由は一人が好きだから。
薬の材料がそろっているのも理由の一つではあるけどね。
薬は知り合いのがいる街に卸に行けば、高く買ってくれるし、そのお金で食料や雑貨を買えて、生活には全く困らない。
でも少し毎日飽きてきちゃってた。
そんな時、レン君に出会ったの。
薬の材料を集めにお気に入りの場所に行ったら、男の子が倒れてて側に真っ黒な狼がいたの。
男の子が狼に襲われてると思って、急いで助けに入ろうと近づいたけど、
黒い狼、ロキ君はレン君と一緒に気持ちよさそうに寝てるだけだったの。
私が急いで来ても、片目を開けてこちらを見ただけ。
レン君が起きた後、私の自己紹介をしてみると私が調薬師ということに興味を持ったみたい。暇だし、教えてあげることにしたの。
でも調薬はそんなに簡単じゃない。きっとレン君も最初は全然できないだろうなぁって思ってた。
まずは、誰しもが最初は作る回復薬を作らせてみたの。やり方は細かく言わなかったんだけど、レン君はちゃんとした回復薬を作ってた。
正直わくわくした。
この子には調薬の才能がある!
そう思ったら暴走しちゃった。
本当は教えないつもりだった、魔力回復薬まで教えちゃった。
あれ作れる人あんまりいなくて、価値が高い薬なんだけど。
でもレン君は最近増えてる迷い人みたいだし、覚えてて損はないよね!
それでね、もうこの際調薬師の裏の顔も教えようと思うの。
綺麗なバラには棘があるって言うよね。
人を助ける薬は、人を殺すものにもなるんだよ。
レン君に教えてあげよっと。