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弱肉強食  作者: しらい そう
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はじまり

暇潰しに書いてます、誤字などの指摘お待ちしています。

それではお楽しみ下さい。

 

とりあえず導入なんでかなり無理もありますが、まあ、そこはご都合主義ってことで目つぶって下さいヽ(´ー` )ノ

 貴紅水とは高貴なる深紅から成る聖水を意味している。そしてこれは高貴な家の人間の体内に流れる血液のことだ。


 貴族家の人間しか神聖術に目覚める事が無い。


 高貴な家柄――爵位が高い家柄――であるほど神聖術に長けている、それが常識だ。


 貴族を貴族たらしめているのは平民と比べて膨大な力を個人で持つからだ。


 神の子孫の王家から認められていない家に神聖術使いが産まれる事は絶体に無い。もし平民に神聖術使いが出現すればたちまち悪魔憑き呼ばわりをされて業火の下で灰になる。


 そして悪魔憑きの両親は子を産んだ地から遠く離れた村に移住する。


 禁じられた神聖術というものがあるらしい。貴族は神聖術で人間の力を超えたことを為せる。でも貴族にもできないことがある。


 それは命を人の手でさわること。神聖術でも許されていない神の領域だ。この領域に踏み入れようとして成功した者は誰一人としていない。

 人も含めて動植物を創る事。つまり神聖術で糧食を確保するのは不可能。傷病者の治療も不可能。不老不死も死者蘇生も不可能。

 最も神の領域に近付いた賢者ですら出来たことは死者の幽体を現世に招いただけだった。賢者は幽霊と言葉を交わしたらしい。そして事切れた。

 神の怒りを買っただとか幽霊召喚で自身の貴紅水を使い果たしたとか、様々な噂があった。賢者が遺した書は禁書として王家が管理していて僕が見る事は困難だ。

 僕は公爵家に生まれた神聖術使いだ。母上は王家から降嫁してきた、父上はずっと近衛の中枢で役職を持つ人。兄は僕よりも学問でも武でも劣っているが長男であるがために次期公爵である。僕は常々不満を覚える。どうして劣る人間が二年先に生まれただけで優遇されるのかわからない。

 僕が自前の兵団を持ったのは八歳の頃だったはずだ。父上が付けて下さった親衛隊の中で信頼している騎士を使って各地の傭兵、商人、宿屋を仲間にした。十年間地道に拡大と補強を繰り返し活動させていたら国内随一の情報網と資金力を手にしていた。

 金の力にものを言わせて辺境部の諸島を買収。造船、軍馬生産、鉄砲開発研究、海洋城塞化、などの軍需産業を中心にあらゆる産業を諸島内で育て上げた。今の兵団は別の名前で通っている、いずれ知れるはずだ。そして組織の主な収入源は情報の売却益が九割を占めている。貴族は王家や格上の機嫌をとるために質の高い情報に貪欲で、格下相手にも飴を与えるためにやはり高品質な情報を求めている。月刊新聞は今や貴族の中で購買していない家はない。中規模商人ですら読んでいるんだ。

 僕が組織を育てたのにも訳がある。公爵位を略取するんだ。過激?知ってるよ、でも僕の言葉は届かないんだ。何度兄より優れていると披露したことか。


 さっき新月の下で部下が用意が整ったと報告してきた。


 今宵はクルトライヒ公爵家主催の夜会が行われる。当然僕も出席する。護衛として四人の騎士、世話役に二人のメイド。

きらびやかに燭台の上の柔らかい光を反射させる豪華絢爛な装飾。周りでは貴族が料理はそっちのけで腹黒い会話をし謀略が往来する。

「どうした?ヨアハルク、疲れているのではないか?」

「兄上なんでもありません少々考え事をしていまして」

僕をいつも小生意気だと評する兄に遭遇してしまった。良い機会かもしれんな。

「お願いがあります兄上」

「ほう、なんだ?」

「公爵位継承を断念して下さい」

辺りが静まり返った。兄の護衛は剣に手をかけ、僕の護衛二人は僕を拘束しようと動こうとした。残り二人は組織の一員で僕を護ろうとした。

周りの貴族も何事かと注視しているようだ。

「ヨアハルク!何をほざいておるか!無礼者がっ」

父上が顔を真っ赤にした大股で接近してくる。接近を許せば恐らく後は無い。

「申し訳ありせん、しかしこうでも言わなければ皆さんの耳をお借りできないと考えたのです」

「どういうつもりだ?」

「父上、私は将来どうなるのですか?」

貴族で嫡男以外は政略の駒として使われるか飼い殺されるだけ。子孫が安定した生活を送れる保証はなんら無い。

「皆の中で知らせなければならぬ事か?」

「ええ、是が非でも」

不審そうに僕に視線を注いだがとうとう口を開いた。

「ヨアハルクは当家の次男として領内の政を任せ外交や最終決定はユハークひ託そうと思う」

見事な飼い殺しじゃねぇか。

「私の子孫はいかがされるのですか?」

「不自由はさせん」

なるほど、自由にもしてもらえない、と。

「それでは困るんですよ父上、僕は公爵位が欲しいですね」

この時点でヨアハルク派の家は少ない、彼らには成功の暁には報いる。

「御家騒動の火種を公爵家は必要としていない」

「弟の分際で何を言うか貴様!」

「やはり公爵位は頂けないと、なるほど。では私は公爵家を出て貴族家を立ち上げましょう、ヨトゥレン伯爵もカイゾルヌメ侯爵も新興です、前例がありますしね。私も目指してみます」

「恥さらしがっ!抜刀!切り捨てろ」

会場を警護する騎士が剣を抜いた。僕の元護衛もだ。父上も兄も神聖術を発動させようとしていた。

 僕も護衛の二人も剣を放り投げた。

たぶんこの行動を理解する人間はこの瞬間いないだろう。だって決闘でも戦争でも剣を棄てるのは投降を意味しているのだから。僕は装飾過多な服を脱ぎ捨て下に着込んでいた暗緑色のまだら模様の戦闘服姿となる。護衛二人も特殊なしかけで甲冑を貝が殻を捨てるかのように脱いだ、服装は僕と同じ迷彩柄。雄叫びを上げて一人の騎士が斬り込みをしかけたがアントニオ(護衛の一人)が撃ち殺した。発砲炎に目を庇う人、発砲音に立ちすくむ婦人方、誰もが理解するのに数瞬を要した。騎士は兜から血を流して崩れ落ちて死んだ。彼らは優秀だ、公爵が抱える騎士だぞ?王家にも比肩するレベルの武人だ。それが黒い短剣よりも小さい物で殺された。ショックで逃げ惑う人々、恐怖のあまり腰が抜ける人々、媚びへつらおうとする人々、隙を伺う人々。全員が見た、僕ら三人がさっき騎士を殺した物以上の大きさの銃を突き付けている事を。

「どうです?父上この武器は。これを量産し大量に配備している部隊を持つ僕なら侯爵や公爵を掠め取るなんて簡単に見えませんか?」

そう言って鉄の殻に包まれた死体へ手榴弾を投げた。結果は当然少くない人間が死んださ。殆どが騎士だからまあいいだろう。爆発音でさらに場の緊張が高まった。

「何故今殺さない?」

「今父上や兄上、継承権を持つ人間を殺して回っても構いませんよ?しかしそれでは意味がありません、何故ならこれは皆様へのデモンストレーションですからね。皆様いかがです?販売やご質問は随時受け付けていますよ?この力があれば貴紅水を操る神聖術使いや教会と対等に、いえ、見下して話ができます。御相談は船の錨がマークの酒場で当方の人間を探して下さい。え?探し方ですか?探せた方だけがお買い上げ下さい。

情報とは刃なのです、情報とは盾なのです、情報とは力なのです。」

最後の情報とはってのは月刊新聞のキャッチフレーズだ。これで察せられない貴族は滅べば良い、弱肉強食。

 会場を後にするのは簡単だった。三人で手榴弾を掲げて出口からスタスタと出るだけ。

ヨアハルク退出後、敵愾心を燃やす集団とソワソワしている集団に二分したのだとか。


 錨亭の二階で第七五六八小隊と合流し、軍馬で夜の内に脱出だ。

途中海に出るまでに妨害が有ったが軽機関銃を馬上から撒き散らして強行突破した。

 日の出と同時に港湾に到着し馬ごと乗船した。

 舷側には各十二門の砲を載せている、船尾と船首にも二門。帆は無く水車が喫水線に装着されていて煙突もある。既に黒煙を吐いている様子から出航準備は万端のようだ。異世界の初めての黒船だ。港から少し沖にでて港町を眺める海域に錨を入れ停泊。公爵水軍を待つ。当然これも圧勝できるだろう。弓矢と砲弾、勝負にならない。甲板も船殻も全て鉄板か硝子で覆い防火対策をしている。消火設備も過剰に備えている。

「クロネコ號船長勤めますゴニ少佐であります、閣下にご乗船頂き光栄に存じ上げます」

綺麗な敬礼と共に挨拶された。返礼と共に宜しく頼むと返した。

「予定の確認を致します、本船は公爵水軍が出没するまで現海域にて停泊、戦闘突入時は旗船以外を撃沈、戦闘終決後速やかに国立一番水道の河川接続海域へ進出、生鮮食品を洋上補給、この時に労いの宴を開くとの事ですよね」

この宴だが船の乗員は三交代制のため三回開かれる。宴のためだけに洋上補給するんだ。士気は上がるだろう。三大欲求の一つを大いに刺激すれば不満も抑えられる。

「ご苦労、遺漏無きようにな。部屋へ案内してくれ」

ペリーの黒船を強化したような装備のクロネコ號だが、本当はもっと強い戦闘艦も僕の所は持っている。実戦証明しないと売れないからわざわざ旧式船を持ってきたんだ、貸し出すのは蒸気船と大砲とその弾だけ。販売は当分するつもりはない。最悪の事態に備えて潜水艦も潜行待機している。

 

 朝食はアントニオとブニールと食べた。部屋も僕と船長は個室だが他はまあ、ね、うん、狭い所だ。


 水軍はその日の夜には出て来た。夜闇に乗じて櫂を漕いでいた。

「船長、水軍の船が八隻接近しています」

ここでヨアハルク閣下に良い所を見せれば昇格もあり得る、万全を期さねばな。

「続報です、方位左四五度距離三百から五百」

「当該方向へ照明矢を弩弓で放て」

照明矢というのは照明弾の代替品だ。弩弓で射出、特別加工したマグネシウムを付けている大矢は射出前の調整された距離を飛ぶと落下傘を展開させる優れ物だ。

船尾の弩弓から照明矢が放たれ敵影がはっきりと確認された。舵を切る船も有ったがおおむね直進している、明るくなり存在が露見した彼らは全力で前進しはじめた。この時代だと衝角で穴を開けるのが鉄則、突入は悪い判断じゃない。が、射程に入ればこちらの餌食だ。普段はもっと良い砲を使っているからだろうか、砲手の命中率は悪い。だが突撃してくる船を一隻を残して沈めてみせたのは流石だな。

「左舷真っ直ぐ敵船突っ込んでくる!」

「両輪全速前進!」

「取り舵いっぱ~いっ!」

「船尾砲撃ち方よ~いっ!」

本気の加速をする蒸気外輪船に手漕ぎの船が追い付けるはずもなくアウトレンジにて没した。クロネコ號はそのご回頭し残りの三隻に睨みをきかせた。突然一隻が炎上しながら突っ込んできた。なるほど、悪くないな僕たちが木造船ならな。船首の砲は断続的に唸り声を上げて炎上船へ突き走る。伝声管の中にゴニ少佐の怒鳴り声が響いた

「船首付近乗員後方退避!機関いっぱい!総員衝撃に備えっ!」

ぅおおい!正面衝突する気か?

これ、正面衝突欲しいですかね?ゴニ少佐の華麗な操船指輝で回避の方が面白いですかね?(笑)

 

次回を気長にお待ち下さい。

(ご意見があれば早く更新するかも(*´∇`*))

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