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オッサン達との旅①

さてさて、無事にオッサン達と共に歩き始めました。


まずは町から出るために門の前の列に並ばなきゃいけないんですね。

歩きの冒険者が沢山並んでます。

商人は馬車なので、別の門から出るとアルドが教えてくれた。

ちなみに、オッサン達は然り気無く周りを囲む様にして歩いてくれてます。

前にウェイン、グレンの肉体自慢の前衛コンビ。

後ろにアルドとトルーノの気遣い、職人気質コンビ。


が、歩いていると何故か集まる視線。

理由が分からなくて困惑しつつ歩いてあると


「んだよ、俺らが女を連れて歩いてるのがそんなに可笑しいのかよ!」

「見てんじゃねーよ!」

と不機嫌になってきた前衛コンビに対し、

「まぁ、俺たちみたいな強面のオッサンが若い女を連れて歩いてたら、俺たちも注目するだろうよ。」

「ああ。しかも周りを囲んでんだからな。誘拐だと思うだろうな。」

と職人気質コンビは遠い目をしてる。


ああ。なるほど。

この世界は女が少ない世界だから。

若い女は珍しい。

しかも、その貴重な女の子が《強面のオッサン達に囲まれて歩いている》と。

まぁ、日本でも職質は避けられないだろうな。


でも、今

【マジかよ?若いし可愛いじゃん。誘拐じゃねぇの?脅されてんじゃねぇの?なあ、俺達で助けてやろうぜ!】

って言った馬鹿、出てこい。


私が全力でボコってやる。

確かに強面のオッサン達だけど、事情も知らずに【助けてやる】何て馬鹿みたいな正義感だけで人を判断するお前らとは、比べ物にならないくらい、良いオッサン達なんだ。

私がこの世界で最悪な思いをした時に話を聞いて、助けてくれた、優しくて素敵なオッサン達なんだ。

オッサン達を馬鹿にするのは私が許さん!


なおも続く悪口に

オッサン達もイラついたのか、顔が更に恐くなり、周りを睨み始めた。

喧嘩になる前に、私が口を出させてもらう。

私は既にブチ切れている。


「腹立ちますね。私は私の意志で皆と一緒いるのに。周りに勝手な想像で意見を押し付けられるなんて。本当に腹が立つ。皆が一緒に旅をしてくれるって言ってくれて、どれだけ私が救われたのか知りもしないくせに。」


周囲の人達もオッサン達も門番のおっさんもポカーンってしてる。

でも、これだけは言いたい。


「私は私の意志で皆といるんです。周りが理解しなくても良いですよ。皆が優しいのは私だけが知ってれば良いですから。そうです。他の人は知らなくて良いです。私が独り占めするだけですもん。」



ふんって鼻息と共に周囲にはドヤ顔してやった。

あースッキリした。

人の話を聞かない馬鹿は本当に腹立つわ。


周りがざわざわしてるけど知らん。

オッサン達の耳が赤くなってソワソワしてるけど知らん。

門番のおっさん、さっさと仕事しろ。


門番のおっさんを見てるとハッとして通行者達にギルドカードの表示やお金の回収を始めた。


ようやく進んだ列。

やっと私達の順番が来た。

門番のおっさんは何か言いたそうにしていたけど、お金だけ支払って、皆と町を出た。


しばらくしてから私から皆に話しかける。


「さっきの言葉は本当だからね?私は皆が優しいのは充分知ってるし、皆と行動したいから、一緒にいてもらってるの。寧ろ、私が足手まといで迷惑をかける存在だよね。ごめんなさい。」


これからも迷惑をかけるだろうから先に謝っておくけど、現時点で私はオッサン達の側を離れるつもりはない。

オッサン達が迷惑に思わない限り。

私はオッサン達から離れないと思う。

そんな風に考えていたら、オッサン達が話始めた。



「うぉぉぉぉぉぉ~!」

と、頭を抱えて唸るウェイン。

「待て!待て!頼むから待て!喋るな!」

と、何だか必死なグレン。

「あ~、その、なんつーか、あの、だな。ん~と」

と、目を泳がせながら言葉になっていないアルド。

「・・・・。」

無言のまま下を向いちゃったトルーノ。


なんなんだ?

どうした?オッサン達。

どう考えても、オッサン達ご乱心なんだが。


そんな中、アルドが意を決した様に話始める。


「あ~、あのな、俺達な、女には嫌われた事しか無いからよ、その、【優しい】とかよ、【一緒にいたい】みたいな事をよ、言って貰えて、なんつーか、こっぱずかしいっつーか、あーなんだ。照れるんだわ。」


と頬を染めるオッサン達。

目の前には頬を染めるオッサンが4人。

なんだこれ。

女に【嫌われたことしかない】とか【照れる】とか

頬を染めて言うことか?


可愛いな。おい。オッサン達。

凄く萌える。

この世界に来てから着々と、オッサン萌えの扉が開いている気がする。


新たな性癖が開ききる前に、この会話は終わらせよう。

そうしよう。


「ごめんね。腹が立って、ついムキになっちゃって。騒ぎを大きくしちゃってごめんなさい。でも、私が言ったことは本当だし、皆と旅に出れて凄く嬉しいよ。道中に教えてもらえる事も楽しみにしてるから、よろしくお願いします!」


私からの【早く行こうよ】という気持ちが伝わったらしい。

まだ顔は赤いが頷き、先程の陣形をとり歩き始めた。


トルーノが斜め後ろから地形の見方を教えてくれる。

「森に入る前に、簡単な全体像を思い浮かべろ。こんな風に木が密集してない場合。敵は見つけやすい。だが、相手も同じだ。休む時は出来るだけ距離が取れる所を選んだ方がいい。」


そして周りを見ながら、植物を見つけるとアルドが教えてくれる。


「あ、この茸は食えるやつだ。んで、そっちの草。この葉っぱがギザギザで、花弁が白、中央が緑のこの草が薬草だ。こりゃ主に血止めに使われるやつだな。」


前衛コンビは自分達も早く教えたいのか、しきりに【休憩時間や夜には俺が教えてやるからな!】

と気合いを入れながらこちらを向く。


そして

「黙って前見て歩け。」

「てめぇらちゃんと周囲の警戒してんのか?あ?」

と職人気質コンビから説教される。

この繰り返し。

何だか、微笑ましいよ。

オッサン達。


そんなこんなで仲良く、様々な知識を教えてもらいながら歩くこと一時間。

そろそろ休もうか

という話になった時、お呼びでないお客が現れる。



魔物だ。

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