まさかの展開。
どうしましょう。
思わぬ展開です。
ギルマスにギルド登録を拒否され、放り出されました。
本当に、女が関わるとろくなことがない。
私のこの《女》という生物との相性の悪さは天下一品だと思う。
この世界でまで《女》で苦労するなんて、本物だよね。
私の《女》との相性の悪さは。
どうしよう。
ギルドの人間も職員も、あの女王様を敬愛してるみたいだし、私の話を聞く気は無いみたいだし。
困ったなぁ。
取り敢えず、宿に戻って、作戦を練り直そう。
なんて考えていたら、宿にさっきのオッサン達4人組がいた。
「あれ?さっきの嬢ちゃん、登録は済んだのか?早くねえか?」
本当だ。嬢ちゃんだ。早くね?
とワラワラと近づいて来るので、相談してみる事にした。
「あの、何度も申し訳ないんですが、またご相談したい事がありまして・・・。お時間が大丈夫なら、相談に乗っていただけませんか?」
とお願いしてみる。
オッサン達は顔を見合わせて、頷いて続ける
「時間なら大丈夫だぞ。俺達は今から夕飯にしようと思ってた所なんだ。」
「宿屋の食堂で飯でも食いながら話そうじゃねぇか。」
と、お食事に誘っていただいた。
が、食べ物は物体Xなので、お腹はいっぱいだと言い張り、飲み物だけで同席させてもらった。
ちゃんと、周りに話が聞こえない様に
端の方の席で、私を奥にして、周りに自分達で壁を作るようにして座ってくれた。
本当に、優しいオッサン達だ。
ギルドでの出来事を話していくと、どんどん顔を歪めていくオッサン達。
「すまねぇな。嬢ちゃん。俺達が一緒に行きゃあ良かったぜ。」
「そんな奴等の相手して悔しかったろう?一緒に行くべきだった。すまん。」
「あそこにいた奴等は、あの女ギルマスの手下みたいなもんだかんなぁ。この町は女=ギルマスっつーくれぇ、ギルマスに傾倒してる奴が多いんだよ。」
「馬鹿みてぇな話だがな。稀少な女であり、カリスマオーラのある人物ってんで、周りからおだてられててよ。好き勝手にやってるみてぇなんだよ。」
と、一緒に行かなかった自分達に責があるとばかりに謝罪されて焦った
「いいえ!皆さんが謝る必要なんてないです!皆さんには親切にしていただけて、本当に感謝してるんですから!それに、ギルマスがあんな人だと調べなかった私の不注意ですから。何か別の方法を探しますので、気にしないで下さい」
と、頭を下げると
彼らは小声で何かを相談し始めた。
そして、私に向き合い
「嬢ちゃん。ここで、今、この瞬間に俺達が会ったのも何かの縁だ。俺らが責任を持って隣町まで連れていってやる」
「だな。どうしてもここが良いってこだわりがあるんじゃなきゃ、隣町のギルドで登録するといい」
「俺達との旅が嫌じゃなきゃだがな。」
「俺らは明日、この町を出る。どうするよ?」
そんなの、決まってる。
「ご面倒をお掛けしますが、宜しくお願い致します。助かります。お世話になります。」
と私は頭を下げた。
あー。良かった。
そっか、そうだよね。ギルドはここだけじゃ無いもんね?
あー。良かった。助かったわ。
なんて考えていると、
「本当に良いのか?俺達4人との旅になるぜ?最低でも5日はかかるんだぞ?平気か?」
と不安そうな顔をしたオッサンに声をかけられた。
何?どーゆうこと?
「えっと?何か問題があるんでしょうか?私、一人旅だったので、よく分からないのですが・・・。」
「あー、いや、旅の内容じゃなくてな、俺達、こんな厳ついオッサンだしよ、5日間も一緒に旅するんだし、不愉快だったりしないか、とか、な、」
盛大に頷くオッサン達。
「いえ、皆さんがお優しいのは重々承知してますし、何も不愉快な事なんてありませんよ?それよりも、感謝の気持ちで一杯です。皆さんとなら安心して旅が出来そうですし。こんなに優しくしていただいて、本当にありがとうございます。」
オッサン達は赤くなりながらも顔を見合わせて
小さな声でこちらに問いかけてくる
「あのよ、俺達の顔、怖くねぇのか?」
と。
「俺達の顔見りゃ子供は泣くし、女にゃ苦虫噛み潰した様な顔されるし」
「間違って触ろうもんなら、汚れるってゴミを見る目で言われたり」
「依頼で他のパーティーと一緒になっても、女がいるパーティーには【近づくな】だの【離れた所でお前達だけで寝ろ】だのと罵られるし」
どこか遠い目をしながら、哀愁漂うオッサン達に胸がキュンとした。
なんだ、このオッサン達は。
可愛いじゃないか。
強面のせいで、数少ない女に嫌われて、子供にまで嫌われて。
そんな中、普通に話しかけてきた
女であり、子供である私。
なるほど。やたらと親切だと思っていたが、
嬉しくて、加護欲がわいてたみたい。
「全然怖くなんて無いですよ?むしろ、私から話しかけたくらいじゃないですか。冒険者らしい、素敵なお顔だと思いますよ。皆さん凄く親切にしてくださるし。
なんでその人たちは皆さんの素晴らしさに気づかなかったのか、不思議でなりませんよ。」
と思ったことをそのまま言葉にしてみたら
顔を真っ赤にしたオッサン達が
あー、とか
うー、とか
うわぁぁぁぁ、とか
唸りながら頭を抱えてた。
取り敢えず、ここでのギルド登録は諦めて、明日からこのオッサン達4人と共に隣町のギルドを目指して旅にいきたいと思います!
頑張るぞっ!