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オッサン達の宴。

お久しぶりです。

申し訳ないのですが、話としては進んでいません。

次回から冒険者としての活動を入れようと思っています。

今回はトルーノと主人公目線が交互に入る形になります。


※先生という職業が上から目線という事ではありません。

あくまで、この世界での話であり、アルドの性格を伝えるためのトルーノの主観です。

先生が素晴らしい職業だということは分かっております。

不快に思うかもしれない方は、今回は飛ばして次回からお読みください。



深夜。

ある宿屋の一室で、オッサン4人が人生最大のお祭りの様な勢いで酒を浴びるように飲んでいた。

少し離れたベットで寝ている女の子を起こさない様に、静かに、騒がない様に気を付けながら。

しかし、4人のオッサンは興奮した様子は隠さず、夢を見ているかのように浮ついていた。

顔を綻ばせながら酒をあおるオッサン達はまるで少年のようである。


「いや、素晴らしかったなぁ。俺達みたいな人間が、あんな幸せな時間を過ごせるなんてな~。」

と、ニコニコご満悦でほろ酔いなアルド。

お酒の味は好きだが、体質的にそんなに得意ではないアルドはこれ以上 酔わない様に気を付けているのか、酒の入ったコップをゆっくりと回し、液体が揺れるのを見ることを楽しんでいる。


「おう!飯も酌も嬉しかったし、服も可愛かったよな!俺、こんなに【可愛い】って単語使ったの初めてかもしれねぇ!」

と、ウキウキながらも通常運転なウェイン。

お酒大好きなウェインはお祝いとばかりに、自分の持っている酒の中でも上質なものをパカパカ開けて、幸せそうにぐびぐび飲んでいる。


「にしても、俺達の好みを全部取り入れた1着を本当に選んでくるとはなぁ。アルド、本当にスゲェな、お前。良くやった。褒めてやる。喜べ。」

と、顔を赤くしながら酔っぱらいの絡み酒はグレン。

酒にはそこそこ強いが、強い酒気を好むグレンは、他のオッサンよりも度数の高い酒をあおっているせいか普段よりも面倒な酔い方をしている。


「・・・・・。」

と、感無量な様子で無言になってるトルーノ。

じっくりと口に含んだ酒を味わいながら、先ほどの記憶を再度目の前に繰り広げているのか、目元も口元もゆるく弧を描いていて穏やかな表情である。


なぜこんなにオッサン達のテンションがMAX!!なのかというと・・・。

カナが、わざわざ一人一人に好物を作ってくれた。

《オッサン達は自分ひとりの為だけに作られた特別な一品なるものを食べたのは初めてだった。》

カナ手作りのお酒をカナ自身に酌してもらえた。

《異世界のお酒。しかも、異性のお酌なんて初めてだった。》

カナに本日の釣果、行動を褒めてもらえた。

《褒められ慣れてないオッサン達は嬉しかった。しかも、自分の得意分野を褒めてもらえたのは喜びも大きかった。》


更に、先ほどまでカナによるファッションショー【この世界で浮かないか、新しく買ってきた洋服の着方チェック!】が行われていたのだ。

何種類もの服を着て見せてもらい、全力で褒めるの繰り返し。

女の服なんて間近で見たことが無いオッサンたちはドキドキである。

しかも、それぞれ大小さまざまな好意を抱いている女の子が、大きな布の向こうで生着替えをしているのだから、心臓が止まりそうな勢いである。

しかし、カナ本人は【高鳴る胸と染まる頬を必死に隠すオッサン達】には気づかず、褒めてもらえて嬉しさ全開、笑顔で服を選んだ決め手などを説明してくるので、オッサン達は照れの境地。

そんなカナ本人は今、皆にこれでもかと賛辞の嵐をくらい、可愛いと言ってもらえて嬉し恥ずかし。自分のセンスがこの世界でも通用する事に安堵したのか、先ほどから小声でもうるさく騒ぐオッサン達には気づかず爆睡中である。


「にしてもよ、女の服って、本当に俺達との服とは違うのな。アレ、布からして違うんじゃねぇのか?高かったろ?」

と不安そうなウェイン。


「そりゃあな。女の子の肌は俺たちとは違って柔らかくて布がゴワゴワしてっと肌を痛めるらしい。冒険者としての依頼中は男物でもしょうがねえが、休みの日くれぇ、好きなもの着させてやりてぇだろ?しかも、連れてった店は娼館に卸される品が揃ってる店だったからな。俺達の服よりもかなり上質なのは確かだ。まあ、女の子の服は俺達のとは作りも違うし、色合いにもこだわりがあって見てる側を楽しませる意味もあるんだ、高いのはしょうがねぇな。でも、【あのワンピース】は皆から預かった金で買えたから安心しろよ。・・・・ほかの服や必需品は殆どカナちゃんに買わせる事になっちまったけどな・・・。・・・・。高い服買わせちまって申し訳ねぇんだけどなぁ・・・。でもなぁ、俺の持ってった金で好きなだけ買えともいえねぇし、いや、でも、もっと金おろしてでも・・・いや、でも・・・。」

と、説明しながらも頭を抱えて悩み始めたアルド。


「気にすんな。おひぃさんは【遠慮する女】だろ。性格的に考えれば、こっちが全部出すって言ったが最後、欲しいもんの半分も選ばねぇだろうよ。だからしょうがねぇ。ワンピースとズボン買っただけでも結構な金額だから良しとしろ。それに、おひぃさんは俺たちよりも金持ってんだ。欲しくて買えるもん我慢させる方が酷だろ?」

と、後悔しているアルドを落ち着かせるトルーノ。


「幸せだぁ、クソー。俺の好みの服を着てもらって、俺の好物まで考えて飯作ってくれて、酌までしてもらえてよ、ホント、今までの人生の苦労が無くなる気分だー!」

と、アルドの愚痴なんて聞いてもいない、完全なる酔っ払いグレン。


「おう!幸せだな!俺たちの好みの服着てもらえてよ、あんな幸せそうに寝てるんだぜ?可愛いよな!酌もうれしいよな!!幸せだな!俺、生きてきてよかった!!」

と、こちらもアルドの苦悩は聞こえていないらしい、大満足な表情のウェイン。


【最高の1日だった。】

と、声を揃えて酒盛りするオッサン達の夜は遅くまで続く。




_________


俺を含めたオッサン組も今日はもうお開きにすることにした。

明日は冒険者としての依頼をこなすつもりだから、この辺にしとかねぇとな。

机に突っ伏してるアルドを避けながら机の上を一人で片付ける。

普段なら酔わないように自分でセーブして飲むアルドがこんなになるのは珍しい。

いつもは筋肉馬鹿二人を叱りつつ飲んでるが、今日は途中から、その筋肉馬鹿二人に大量に飲ませられてやがったからな・・・。

ベロンベロンに酔ってるせいで手伝いの邪魔しかしねぇ鬱陶しいグレンと、調子に乗ったせいで水分の取り過ぎで『漏れる!!』って便所に走ってったウェインには後でまとめて拳骨くれてやるが、アルドは寝てても許してやる。

むしろ、いつも馬鹿どもの相手させてて、悪かったな・・・。

次からは俺がもっと間に入ってやろう。


ちなみに、上機嫌な おひぃさんはとっくに布団に入って速攻寝た。

毎度思うが、スゲェな。

毎日快眠、おやすみ三秒。

スヤスヤと嬉しそうに顔を緩ませながら寝る姿は何とも愛くるしい。

可愛い、愛おしい、安心するっつー言葉がしっくりくる。

他の奴らの寝顔を見ても汚たねぇツラだな~。としか思わねぇが・・・。

おひぃさんは見てて安心する。

ああ、今日も一日、楽しんで生きてくれたのか。と。

一日の終わりに、俺たちに囲まれてても幸せそうな顔で眠ってくれるのか、そうホッとする。

そう考えてると、他の奴らが寄ってきた。

ウェインの奴もいつの間にか戻って来てて入り口に罠を仕掛け終えてやがる。

こいつ、本当に酒には強いよな、馬鹿だが。

にしても、さっきまでグダグダとバカ騒ぎしてたやつらが、おひぃさんを起こさないように口を閉ざして頬を緩ませながら、愛おしそうに おひぃさんを見る目ったらよ、俺もあんな顔で見てんのかと思うと少し恥ずかしい気分になる。

何だか胸の辺りがこそばゆくて、とっとと寝ちまおうと布団に潜ろうとした時、さっきまで机に突っ伏してたアルドがフラフラとグレンの隣に歩いてきた。


「なあ、なあ、この顔、幸せそうな顔だよな~?これ、嬉しそうな顔だよな~?俺の見間違いじゃないよな~?この、可愛い寝顔、見ろよ、ホント、可愛い。うちのカナちゃんが一番、一番かわいい。可愛いなぁ。ホント、可愛い。」


って・・・。

まてまてまて。

お前、誰だ??本当にアルドか??

こいつ、限界まで酔うとこんな風になるのか?

一番長い付き合いだが初めて知ったぞ??

普段は一歩引いたところから見てる保護者面なオッサンのくせに

急に おひぃさんがどんだけ可愛いかを俺達にドヤ顔で力説し始めたんだが・・・。

正直、素面に近い俺とウェインは戸惑いを隠せない。

頭脳派なアルドが食事の時のグレン並みの語彙力で褒めてんだから戸惑うのは当然だが・・・。

そう思ってウェインと顔を見合わせると


「んあ?可愛いに決まってんじゃねーか。アホか。俺のカナ嬢が可愛いなんて、お前に言われんでも分かるわ。っつーか、なんでアルドが自慢してんだよ。なんかムカつく。・・・・勝手にカナ嬢の寝顔みてんじゃねーよ。」


おい、待て待て待て。

待てグレン。

何でお前も急にそんなになってんだ?

さっきまで陽気でウザいオッサンだったろう??

何で急にキレてんだ?

止めろ、アルドにメンチ切んな。

今なら口喧嘩で勝てるかもしれんが、そこまで訳わからん状態だと逆に物理的に葬り去られるかもしれん。

そう判断して、今現在、唯一まともなウェインと二人でグレンとアルドを抑えようとした次の瞬間


「うるせぇぇ~。お前だって、俺の、俺の許可なしに、カナちゃんの寝顔見てんじゃねぇよ~。カナちゃんは、カナちゃんはな、俺の大切な女の子でもあるん、だからな!お前だけじゃないんだぞ、俺の、俺の可愛い、んぐー・・・。」


話の途中でアルドがベッドにうつ伏せに倒れこんだ。


「あ??・・・おい。・・・大丈夫か?アルド、・・・・・おい、おい、アルド?」


話をしてた筈のアルドが急に話の途中でぶっ倒れたからか、グレンが驚きで正気に戻ったらしい。

グレンが声をかけつつアルドを仰向けに変える。

俺もウェインと急いでアルドの顔を覗き込む。

ヤバい状態かと思ったが、アルドは幸せそうな顔で爆睡してやがった。

何だったんだ?さっきのは。アルドがあんな風になるなんて、俺、飲み過ぎたか?

幻でも見たのか?

現実か夢か幻か、訳が分からなくて呆然としてると、さっきまでオロオロしてたウェインが俺の腕を引いた。


「な、なあ、トルーノ。アルド大丈夫か?これ、生きてるよな?大丈夫だよな?いつもと違ったけどよ、アルド、大丈夫だよな?俺、調子に乗っていっぱい飲ませちまったんだ・・・。アルド、そんなに酒に強くねぇの知ってたんだけどよ、嬉しそうに飲んでたからよ、まだ余裕なんだと思って・・・。どうしよう・・・。」

と、不安そうな顔で俺を見るウェイン。

その横では少し顔色を青くしたグレンが同じ不安そうな表情で俺を見ている。

おいおい、勘弁してくれ。

いい歳したオッサンが、それも冒険者家業の厳ついオッサンが、そんな簡単に不安を顔に出すな。

仲間内とはいえ、もう少し取り繕え。

特にウェイン。お前は馬鹿正直な犬か。

まあ、心配する気持ちは分かるけどな・・・。

よし、思考も落ち着いてきたし簡単な体調チェック始めるか。




「大丈夫だ。呼吸は安定してる。少し体温は高いが、脈も範囲内。この幸せそうなツラ見たら分かるだろ。心配すんな。お前らはさっさと寝ろ。この様子じゃアルドは明日は休ませることになるかもしれん。明日、おひぃさんの依頼に同行すんなら、ちゃんと寝て万全の状態にしとけ。アルドをこっちのベッドに運んだら、後は俺に任せて寝ろ。」

そう言ってやると二人とも安心した顔になって、口々に驚いただの何だのと言いながらもアルドをアルドのベッドに移動させ、それぞれのベッドに素直にもぐった。

正直、俺にも初めてのことで良くわからんが、下手に何か言えば二人とも騒ぐにきまってる。

俺が見た感じの診断は嘘じゃねぇし、大丈夫だとは思うが、一応、もう少し体温が下がるまで見ててやるつもりだ。

何かあったら担いでギルドに駆け込めるように最低限の準備もしとかなきゃな。

ああ、もしかしたら今日は徹夜かもな・・・・。

暗くて本も読めねぇしアルドの顔色見てるだけってのも少し気が滅入るが、まあ、仲間のためだ。

しゃーねぇか。




にしても、アルドがこんな風になるなんて思いもしなかった。

俺が1番長い付き合いだが、あんな風に他者を自慢したり大事にする様子なんざ、初めて見た。

あいつの《先生になりたかった》という想いは伊達じゃない。

アルドは探求心、探究心が異常に強い。おまけに記憶力も良いし、要領も良いし、頭の回転も速い。

知識が多く実力もあったからこそ、他者を平等に見守り、自分の持っている知識を与える先生という職業に向いていた。

その弊害で《広く浅く。常に少し上から見守る。》が基本姿勢になってやがる。

先生になれないと決まってからも、その本質は変わらず。

常に全体を余裕のある位置から見て、俺たちのような《仲間》は作っても《特別》は作らねぇと思ってたが《特別》が出来た。

おひぃさんがいくら初めてまともに会話できる女の子だからって、ここまで懐に入れるとは思わなかった。

まあ、最初は俺たちの我が儘に付き合う保護者のつもりで同行することにしたみてぇだが、あの様子からすると既にかなり執着してる気がするな。

グレンも嫉妬は凄そうだが・・・。執着と束縛が一番酷そうなのはアルドなんだよなぁ。

アルドが一度は諦めた【先生】の夢を叶えてくれている おひぃさん。

アルドの持っている知識や常識を求め、教えてくれることに敬意と感謝を示す、最高の生徒。

孤児院のガキや冒険者の若造みてぇに、鬱陶しがらず、嫌がらず。

《自分が必死になって手に入れてきた知識の価値を知り、求めてくれる最高の生徒》になった おひぃさん。

しかも、おひぃさんが一緒にいるおかげでアルドはさらに知識を広げ、日々、思考を巡らせている。

おひぃさんに出会えて、一番の幸せを味わっているのはアルドだろうな。

勿論、俺もおひぃさんが本に興味を持って一緒に読んだりしてくれるのは凄く嬉しい。

でも、あいつの喜びは一入。

にしても、いくら酔っぱらってるからってグレンと言い争いをするなんて意外だったな。

アルドなら特別な好意を抱いていることを周囲にさえ悟らせず、その上で確実に相手からの好意を勝ち取るタイプだと思ったんだが・・・。

まあ、とりあえず、あの二人が張り合って おひぃさんを急かしたりしねぇ様に見張りつつ、俺は気長にいこう。



_______________


うむ~。

眠いけど朝だ~。

昨日ファッションショーで、はしゃぎ過ぎたせいか寝起きからすでに疲れてる気がする。

・・・ん?

いつもはウェインが元気に起こしてくれるんだけど、今日は静かだな・・・。

と、左右を確認してみると。

ベットの淵ギリギリまでこっちに寄って、更に顔をこちらに向けて豪快にいびきをかくウェインとグレンの姿が。

おおう。

いいなぁ。

オッサンが気を抜いて寝てる姿って可愛いよね・・・。

ズゴーっていう大音量なイビキも可愛く思えるから不思議。

あれだよね、この人達、無意識に母性本能くすぐる天才だよね。

逆に、すーすーという、なんとも穏やかな寝息なのに、近寄ったら絶対に起きる。

って感じの空気感のあるアルドとトルーノは安心感がある。

この人たちと一緒なら、気を抜いてても大丈夫。みたいな包容感が半端ない。

なんて事を考えつつ、ウェインとグレンの寝姿を観察する。

職人気質な二人には近寄れないから、横になったまま、こっちの二人を観察。

むにゃむにゃ言ってるウェイン、可愛い・・・。

スゴーッゴって、時々鼻が詰まるらしいグレンも可愛い・・・。

と、しばらく観察してて思った。

二人ともそんなにこっちに寄って来てて大丈夫?

只でさえ、ベットの縁ギリギリにいたのに、少しづつ近づいてきてる気がするんだけど。

しかも、二人そろってこちらを向いているから、ちょっと恥ずかしい。

この二人に囲まれて、いつもは爆睡してるんだもんね・・・・。

涎だけは垂らさないように気を付けよう。

気を付けてどうにかなるものかは分からないけども。

そんな新たな決意を抱きつつ、可愛いオッサン達を観察していた。



そんなカナを観察している人間がいるとも知らずに・・・。



________________


結局、俺は徹夜した。

ウェインとグレンがちゃんと爆睡してやがったから、今日の依頼は2人に全力でサポートさせりゃいいと思ったし、アルドの状態が安定してても心配は心配だったからな。

んで、今、おひぃさんが起きたみてぇだ。

覚醒した気配がするから間違いねぇとは思うんだが、起き上がる気配がねぇ。

もぞもぞと掛け布団の中を左右に移動してるみてぇだが、どうしたんだ?

何か《女特有の問題》でもあったのかと隣のアルドに相談しようと思ったんだが、アルドはまだ起きねぇ。

正直、そろそろアルド本人の容体も聞きてぇから、とっとと起きてほしいんだが。

にしても、アルドは酒弱ぇなぁ・・・。

まあ、昨日おひぃさんから貰った清酒はなかなかに酒気が強かった。

飲む分は抑えてたみてぇだが、『カナちゃんから酌してもらった分は俺が飲む。誰にもやらん。』つって、普段は絶対にチャンポンしないあいつが葡萄酒も清酒も両方飲んでたからなぁ。

他の奴らも普段そんなに飲まねぇアルドが飲んでるのが面白いのか、おひぃさんが寝た後も、さり気無く勧めてやがったし、おひぃさんも飲んでもらえるのが嬉しいのか、起きてる間はいそいそと酌してくれてたからなぁ・・・・。

酒豪のグレンとウェインを酒量の基本に覚えられると困るな。

毎回アルドが潰れるのは困る。

後で適切な量を教えておくか。

まあ、俺はおひぃさんが酌してくれんなら、大樽でも飲みつくしてみせるが。

にしても、アルドは本調子じゃねぇから仕方ないとしても、他の二人、なんだありゃ。

気ぃ抜きすぎだろ。

おひぃさんが起きたのに気づきもせず寝てるとか・・・。

もう一度鍛えなおした方が良いんじゃねぇか??

・・・アルドに要相談だな。

にしても、おひぃさんは何してんだ?

もぞもぞと、左右を行ったり来たり。

ん??

「可愛い」??

誰がだ??

「むにゃむにゃ言ってる、ふふっ。可愛い。」

って、何がだ?

「鼻詰りかな?ちょっと心配だけど、豪快で可愛い。」

って、ちょっと待って。

おひぃさん、まさかとは思うが、鼾掻いて爆睡してやがる筋肉バカ2人の事じゃないよな?

そのアホ面晒してグーガーうるせぇ奴らが可愛いとか、トチ狂った事言わねぇよな??

「二人とも、可愛いなぁ。やっぱり寝顔は特別な感じだよね。」

って・・・。

冗談だろ??

筋肉バカどもみてぇなオッサン2人の寝顔は汚いんなら納得いく。

でも、可愛いはないだろ?

無いだろ。

無いよな?

ん?俺が間違ってんのか?

すげぇ幸せそうな笑い声が聞こえるんだが・・・。

幻聴か?

うおっ!?

まずい、こっち来た。


「・・・ふふふ。可愛い・・・。トルーノもアルドも、無防備で可愛い~。」


って、嘘だろ!?

俺達二人まで可愛く見えてんのか!?

いやいやいや。

「寝息が穏やかで癒されるなぁ~。」

って・・・・。

いや、おひぃさん、目ぇ大丈夫か??

あれか??

何か別のモンが見えてんのか?

それとも、俺たちの世界の【可愛い】と おひぃさんの世界の【可愛い】は意味が違うのか?

だとしたら・・・・。

昨日、俺たちが口々に褒めた【可愛い】も意味が違うのかもしれねぇ・・・。

マズいな。後で全員で会議だ。

・・・・・・・。

おひぃさん、早く自分のベッドに戻ってくれ。

顔が崩れそうだ。

寝たふりがこんなに辛いことだとは思わなかった。

・・・・・。

ウェイン!グレン!お前たちのどっちかで良い!!

今すぐ起きろ!!

そして、おひぃさんの観察を止めてくれ!!

顔面が攣る!!



この後、ウェインが起きるまでトルーノの全力寝たふりは続いた。



お読みいただきありがとうございます。

トルーノは寡黙で大事なこと以外はそんなに話さない方ですが、脳内では割と辛辣で色々と考えている方だと思います。

※先生という職業が上から目線という事ではありません。

アルドは小さい時から賢く、自分より年上の子でも面倒を見れたので、孤児院の先生たちから頼りにされ、小さい先生扱いされていた過去があり、子供の頃から【自分はみんなを平等に教え導く役であり、贔屓をしてはいけない】と思い込んでいます。

それをトルーノは【広く浅く、上から目線で(教える立場で)】と表現してます。

不快に思われる方がいらっしゃったらすみません。

後ほど書き直すかもしれません。

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