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お酒と魚。

釣りを終えて、大量の魚を手に入れた私達。

トルーノに負けた事を悔しがってるウェインとグレンを慰めつつ、釣ったお魚は葉っぱで包んで紙で包んで、時間停止の鞄にIN。

その時に、トルーノが仕掛けで少しだけ取った海老と今日食べる分のお魚は別にしておくのを忘れずにっと。

私の釣った不気味なレア魚さん達は泥を吐かせるためにバケツに入れてお持ち帰りします。

最後は入れ食い状態で、結構な数を釣ってしまったので、皆でバケツを持つ羽目になりました・・・。


「んあー!腹減った!!っつか、魚食うの久しぶりだな!」

と大きく伸びをしながら話しかけるのはウェイン。


「そーいやそうだな。今日はどうやって食う?焼くか?煮るか?」

と、皆にリクエストを聞くグレン。


「量もあるし、両方作れば良いんじゃないか?まあ、煮るのには時間かかるだろうし、先に焼いたの食えばいいだろう。」

と、両方作ることを提案するアルド。


「任せる。」

と、釣りの後は普段のテンションに戻ったトルーノ。


「私も両方食べたい。」

私の世界のと似た味なのか分からないから、楽しみ。

一尾ずつグレンと私で調理しても良いよね。

他にも皆の好きな物を作ってあげよう。

ウェインに豆板醤の炒め物作るって約束してるんだし、皆のも作らないと。

さて、帰ったらご飯の準備頑張ろう!!



周囲の人達にバケツの中身を驚かれつつも宿に到着。

いつもの様に、アルドがドアノブを拭って、帰宅。

皆で【ただいま】と【おかえり】を言い合って、照れ笑い。

相変わらず可愛いオッサン達です。


手を洗って、

トルーノとウェインは釣り竿の手入れ。

グレンとアルドと私は料理開始!!


グレンの方の焼き魚と煮魚はグレンに任せて、私の方はアルドに手伝ってもらう事に。

豆板醤炒め用の肉とカブの下処理やら、鰹節を擦ったりしてもらう。

その間に、魚を捌きましょう!

鱗を取って、内臓を取り出して・・・。

って、2人ともどうしたの?

アルドもグレンもこっちを凝視して・・・。

っん!?!?

ちょ、ちょっと待って!!

グレンさん、その手に持ってるのは、洗った魚をそのまま串にさした物ですか?

隣のお魚のぶつ切り(内臓付き)は煮込みに入れるのでしょうか?


ワイルドだな!!

骨は気にならない種らしいから、そのままで良いかもだけど、内臓付きで苦いんじゃ?

酒飲みには良いかもですが、私は苦手かもしれないな・・・。

まあ、グレンの作ってくれたものなら、気合で食べますけどね!!

バッチコーイ!!

あ、でも、黒焦げになる前に引き上げよろしくお願いします。


と、お互いの作り方に驚きつつ、完成!

焼き魚は全員分。煮魚は2人で1尾。私は味見でつまませてもらう。

肉とカブの豆板醤炒めはウェインの為に。

ブロッコリーのおかか炒めはグレンの為に。

オリーブオイルと塩で炒った南瓜の種はアルドの為に。

海老とピクルスのマヨネーズ和えはトルーノの為に。


ご飯もだけど、一応、パンと私が作ったワイン、清酒も出してっと。


【うおおおおおおお!!!】


うん、今日も元気だね、オッサン達。

時間も時間だし、もう少し控えめに叫ぼうか?

また隣から壁ドンされるよ?

なんて心配は他所に、


【俺の好物が入ってる!!!】

って大喜びのオッサン達。

喜んでもらえて良かった。

後は口に合えば良いんだけど。

皆で揃って【いただきます】をして、早速。



「トルーノ!今日の《お魚釣りの一等賞》のお酌、葡萄酒と清酒のどっちがいい?」

と聞くと、頬を薄く染めて緊張した面持ちのトルーノが


「葡萄酒で頼む。」

と、自分の杯を向けてきたので


「はい。葡萄酒の方。口に合うと良いんだけど。清酒も後で飲んでみてね。今日はお疲れさまでした。大きさもだけど、量もトルーノが一番だったし、間違いなく今日の一等賞はトルーノです!!おめでとう!あんなに沢山の魚が釣れるなんて凄いね。トルーノが釣ってくれたお魚、食べるの楽しみだよ!釣りの道具も用意してくれてありがとう!凄く楽しかったし、また皆で行こうね。あ、トルーノの獲ってくれたエビ、ピクルスとマヨネーズ和えにしてみたから食べてみてね!」

と、冷やしておいたワインを注いで、少しお喋り。

お酌なんてしたことないから、少し照れるけど、トルーノも真っ赤だ。


「ああ、また行こうな。好物までありがとうな。」

と、杯とは反対の手で優しく頭を撫でてくれるトルーノの表情の優しさったら!!


「次は俺!!」

と声を上げたのはウェイン。

ウェインとグレンはジャンケンしたらしい。


「ウェインは?清酒?葡萄酒?」


「俺は清酒!!酒は何でもイケル口だからな!他の物を口に入れる前に飲みてぇ!!」

と、頬を染めながらも嬉しそうな顔のウェイン。

どうやら、恥ずかしさよりも新種のお酒が飲めることの方に気が向いてるらしい。


「はい、どうぞ。今日も1日お疲れ様。ウェインも沢山のお魚釣ってくれてありがとうね。好きな時にお魚食べれるようになって凄く嬉しいよ。葡萄酒も飲んで感想聞かせてね?豆板醤の炒め物も用意してあるから、そっちも食べてみてね。」


「次は俺が一番になって見せる!!おう!今日は飲むぞ!食うぞ!!」

と気合の入った宣言と共に鼻息を荒くするウェイン。


「次は俺な。俺も清酒で頼む。気になってしょうがねぇ。」

と、横から杯を出したのはグレン。


「はい、グレンも清酒。今日も1日お疲れ様。グレンも沢山釣って凄いね。魚料理までしてくれてありがとうね。食べるの楽しみ。それと、不細工なお魚の処理なんかで暫く手間をかけると思うけど、よろしくお願いします。あと、おかか炒めも食べてみてね。」


「ああ、下処理もキッチリ教えてやるから安心しとけ。釣りは久しぶりで疲れたが、カナ嬢の手製の酒とつまみがありゃ、文句なんてねぇな。」

と、ニシシッとシニカルな笑みを見せるグレン。


「最後は俺な。俺は苦手な酒もあるからな・・・。清酒は他の奴の感想聞いてからにするかな。カナちゃん、葡萄酒を頼んでも良いか?」

と、控えめに聞いてくるアルド。


「勿論。葡萄酒をどうぞ。ある意味、今日の釣り大会の一番の苦労者はアルドだよね。初心者に優しいご指導、ありがとうございました。本当にお疲れさまでした、アルド先生。かぼちゃの種はクッキーとかパンに使う以外は炒るのしか知らなかったから、オリーブオイルと塩で炒っただけなんだけど、良ければ食べてね。」


「・・・・、いいな、その《アルド先生》って言うの。・・・うん、良い。よし、また何か分からないことがあったら、何時でもアルド先生に聞いてくれたまえ。」

と、ドヤ顔で、かけていない眼鏡を上げる仕草をしたアルド。


「ブッフォ!!確かに!!アルドは先生って感じだよな!」

と笑うウェイン


「ああ、いたな、笑顔でネチネチ説教してくる陰険眼鏡。」

と笑うグレン


「似合うに決まってる。アルドは先生を目指してたからな。」

と、何事も無いかのように会話に参加するトルーノ。

私も含めて、皆が驚く中


「うん、取りあえず、料理も冷めるし食いながら話そう。酒もぬるくなるぞ。」

とアルドが言ったので、改めていただきます。


そして各々、恐る恐るお酒を口にして

『美味い!!』

と大絶賛。

お互いの杯を交換して飲み比べもして、飲めるか確認。

そして、全員が両方飲めることが分かってからは一人二つの杯を出して、まさにチャンポン状態。

味わう様にして飲んでくれてるから大丈夫だけど、今度、追加で作るべきだな。

こんなに喜ばれるなんて思ってなかった。

魚の料理の方は・・・・。

繊細な味付けで旨味が凝縮されてて~うんちゃら~と長い説明と共にご飯とかっ込んだり、清酒と味わったりと、性格が出る。

ちなみに、グレンが作ってくれた焼き魚と煮魚はワイルドな男料理な味がした。

焦がさない様に火の前に張り付いて気をつけてくれてて、一番いい焼き具合のを私にくれたグレン、本当に優しい。

でも、鱗バリバリね。そして内臓は苦いね。

エグミがワイルドぉ~。

全てご飯と共に頂きましたがね。

美味しくモグモグさせていただきましたが何か?


それぞれの好物の料理については、

各々お互いの好物を知ってるので、少しづつお裾分けし合って、その後はお皿を抱えて食べてました。

ちなみに、私はグレンが作ってくれたお魚料理だけでお腹いっぱいです。はい。

美味しい食事とお酒で楽しんだころ、ウェインが思い出したかのようにさっきの話を続ける。


「そういやよ、さっきの!アルドが先生目指してたって本当か?」

と、アルドに聞くウェイン


「俺も初耳だな。」

ウェインに同意しつつ、身体をアルドの方に向け、さあ話せとばかりに見つめるグレン。


「ああ~、まあ、隠してたわけでもねぇけどな。お前らに会う前に生まれの孤児院に戻って、先生になるための講習受けただけだ。実際にはなってねぇし、冒険者続けてるけどな。」

と、答える苦笑いのアルド。


「何でなんなかったんだよ?アルドなら向いてるだろ、先生。」

と、不思議そうなウェインと頷くグレン。


「その孤児院が魔獣に襲われてな。俺はそこに魔獣退治の冒険者として送り込まれてアルドと知り合った。」

と、アルドの代わりに答えるトルーノ。


「ああ、そんなに昔の話だっけか。懐かしい筈だ。孤児院の先生は固定給の人気職だろ?その先生になるには条件があるんだよ。《自分が生まれ育った孤児院でのみ》なれるってやつだ。商人の息子や金を稼げるやつよりも同じ孤児院を出た奴を雇う為の制度が裏目に出てな。俺はもう《先生》にはなれないんだな、これが。まあ、冒険者の職は気に入ってるし、今の生活を気に入ってるから何の未練もないけどな。」

と、微笑むアルド。


そんな過去があったんだ。

気軽に先生なんて呼ばない方が良かったかもしれない。


「そうなのか?自分の出身の孤児院じゃなきゃダメなんて初めて聞いたわ。ま、俺はなる気もなかったから聞いてなかっただけかもだけどな。」

と、どうでも良さげなグレン。


「俺も知らなかった。」

と、頷くウェイン。


「先生を目指してたやつぐらいしか知らねぇんじゃねぇか?俺も聞くまで知らなかったしな。ま、今が幸せならそれで良いだろ。先生が良いもんだとは決まってねぇんだしな。」

と、トルーノ。


「ああ。先生は大変だからな。お前らみたいな元気の有り余ってる奴を、毎日毎日、相手してたのかもしれねぇと思うと今では、ならなくて良かったとさえ思うな。冒険者は天職だったっつーことだな。」

と、今度は悪戯っ子の様に笑うアルド。

他の皆は

『確かに。ガキの頃は先生に怒られてばっかだったなぁ・・・・。』

とか、昔話に花が咲く。


「カナ嬢はどんな幼少期だったんだ?」

と、グレンに聞かれて思い出してみる。

他の皆もワクワクした様子でこっちを見てる。


「んーと、大人しい感じで《人形遊び》とか《おままごと》とかしてたかな?」

と、幼稚園くらいの記憶を呼び起こしてみる。


『ん?《おままごと》ってなんだ?』

オッサン達の声が揃った。

あれ?知らない?おままごと。


「んーとね、家族ごっこというか、模擬家庭?お母さん役、お父さん役、お姉さん役とか決めて、家族の一日を寸劇するみたいな感じ?」

改めて説明するの難しいな・・・。


「誰がお父さん役だったんだ?」

と、アルドが聞いてきたけど


「その時によって違うから誰とは言えないかな。それに、名前なんてもう覚えてないよ。」

と笑うと


「じゃ、じゃあ、カナは何の役だったんだ??」

と、集まる視線。

オッサン達、おままごとがそんなに気になるの?

良く分かんないんだけど・・・。


「私はあれだね、ペット役。野生じゃなくて人に飼われてる愛玩動物の事ね。女難のそうが出るくらいの私だからね。今思い出すと理不尽だったなぁ。女子からの扱いは。ペットの雀!とかナマケモノ!って言われたり、《ちゅんちゅん》しか言っちゃダメ!とか一人だけ難易度高かったわぁ・・・。」

何だか思い出したら切なくなってきたわ。


そんな落ち込んだ私を盛り上げるかのように


「あ、ああ!カナちゃんのワンピース姿が見たいな!!今日買ったやつ!!他の奴には見せてないだろ!?な、着て見せてくれよ!!」

と、必死に話題を逸らすアルド。


他の皆も【ファッションショーしてくれ!見たいみたい!】と気を使ったかのように大盛り上がりしてくれた。

よし、気分を変えて、

【この世界で浮かないかチェック】を始めましょう!!





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