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まだ続く魚釣り。

かなりお久しぶりな上に、短くてすみません。

本当にまったり更新ですが、読みに来てくださっている方々、本当に有難うございます。

釣れた見た目の悪いお魚さんを籠に入れ、餌を必死の思いで付け終えると同時に

大きな魚を掲げながら走ってくるウェインとグレン。


「カナ!見てくれよ!俺の魚の方が大きいだろ!?」


「いや、俺の魚の方がデケェ。良く見てくれ、カナ嬢!」

と、2匹の魚を私の顔面に近づけてくる2人。


「ちょちょ、待って!待って!近い!魚が近い!」


思わず後ずさると

【す、すまん。】

と、落ち込んだ様子の2人。

何だか、あれだ。

大型犬が2匹だ。

ちなみに、アルドは笑ってる。


「んーと、大きさだとウェイン魚の方が大きい気がするけど、グレンの魚は太くて脂がのってそうだね。どっちも多きいよ!私の釣った魚よりも立派!」

と、私の釣った魚を見せつつ、2人の魚を評価すると


【うおおぉぉ!美味い奴!気味悪ぃけど、美味い奴!】

って私の釣った魚を見てめちゃくちゃテンション上がった2人。


「カナ!カナ!これ、美味い奴だぜ!スゲェな!レア!やっぱりカナは運を引き寄せてんだろうな!!」

と、目を輝かせるウェイン。


「スゲェなカナ嬢。これ、俺は釣れた事ねぇんだよなぁ。なあ、カナ嬢はコレの料理出来るか?酒のつまみに良くてよ、俺、好きなんだわ。食わせてくれたりしねぇ?」

と、真剣な表情のグレン。


「皆が好きな魚を釣れて良かったぁ。まだまだ狙うから、期待しててね!料理できるかは食べてみないと分からないけど、下処理の方法はアルドから聞いたから、干した後は皆で食べようね!私はお酒は飲めないけど、こっちに来た時に作ったお酒があるから、皆に飲んでもらおうかな。料理用にって考えてたんだけど・・・・」


【酒っ!?本当か!?カナ(嬢・ちゃん)の手作りの酒!?飲めるのか!?】

と、随分と食い気味で身を乗り出した3人。

いつの間にかアルドも参戦してるし。


「う、うん。味見というか出来上がりは確認したから大丈夫だと思うよ?ワインと清酒。出来てるハズ?」

何だか自信失くなってきた。

自分じゃ分からないからね。


「せいしゅ?ワインは葡萄のだよな?せいしゅは知らないが、美味そうだな。うん、飲みたい。カナちゃん、カナちゃんが釣った魚の下処理が出来たら、飲ませてもらって良いか?」

と、遠慮気味のアルド。


「俺も!俺も!飲みてぇ!!!!!」

と、全力で手を上げてアピールする男、ウェイン。

そんな中、ただ一人、違う男がいた。


「・・・・。俺は、今、飲みてぇな。その魚がつまみになるまでなんて待てねぇよ。つまみは別ので良いからよ、その、ちっとで良い。舐める程度でも良いからよ、カナ嬢の作った酒、味見してぇ。駄目か?」

と、此方を窺う様子を見せながら、おねだりしてくるグレン。

普段が強引なグレンからのおねだりって、なんかこう、キュンとするよね。

ウェインの大型犬みたいな可愛いお願いじゃなくて、ちょっとグイグイ来るかんじ、グレンらしくて好きです。

でも、どうしようかな。

こんな時間にお酒なんて・・・。


「駄目に決まってんだろ。釣りはどうすんだ。っつーか、川沿いで酒なんざ飲むな。何かあった時に対処出来ねぇだろ。っつーか、溺れて死ぬ気か?ああん?」

と、恐ろしいオジ様にジョブチェンジしたのはアルド。


「あー、すまん。後で、夕飯の時に飲みてぇ。カナ嬢。ちっとで良いんだ。駄目か?良いだろ?な?な?」

と、アルドに謝罪し、即、視線を逸らして私に尋ねるグレン。

おお、今度は少し可愛い感じのおねだりになった。


「確かに水辺では危ないし、まだ日も暮れてないから後で出すね。もちろん、皆の分も。夕飯の時にでも出そうか?今釣ってる魚を肴に飲むの、良いんじゃないかな?私にはお酒の味が分からないから、感想とか聞かせてくれると嬉しい。清酒はお米から作ったお酒だから舌に合うか分からないけど。」

と、後で飲ませることを約束すると


【うぉぉぉぉぉ!!】

と、ガッツポーズを握る3人。

なんだかんだでアルドもウェインも早く飲みたかったのね。


「はい、という訳で、今晩は晩酌することに決まったんだから、お魚を釣って来てもらわないと!このままだとトルーノの一人勝ちだよ!」

と、渇を入れた。

結構長い時間話をしてたから、本当に釣りをしてくれてるのはトルーノだけである。

私の言葉を聞いて、【釣ってくる!釣ってくる!】と慌てて元の場所へ走り出したウェインとグレン。

【俺達も頑張ろうな!】とテンション高めのアルド。

私も再び、釣り竿を握る。

すると、直ぐにトルーノが走ってきた。


「おひぃさん!また釣れたぞ!違う種類が良いと思ってな、さっきのと同じのは置いてきた。これも中々美味い魚だ。籠に入れておくからな。アルドは・・・。って、ほとんど釣ってねぇじゃねーか、何かあったのか?」

と、私の篭に魚を入れてくれたトルーノが、アルドの篭を確認して不思議そうな顔をしている。

そりゃそうだ。

私が釣った魚を引き上げるのを手伝ってくれてた上に、あの2人と話をしていたので、アルドもあまり釣れていない。


「ああ、あの2人も魚を見せに来てな。今日の晩酌にカナちゃんが作った酒を飲ませてもらう話をしてたんだ。」

トルーノに説明してくれるアルド。

その話を聞いたトルーノは・・・。


「・・・酒?・・・2人も、来て、たのか・・・?俺、釣り・・・。」

と、一人だけ話に入れなかったことが切なかったのか、寂しげな表情になるトルーノ。

俺、一人で釣り頑張ってたんだけど・・・。他の奴らと楽しくお酒の話してたの?呼んでくれなかったの?

みたいな顔してる!!!!

しょぼーん。みたいな!!!

待って!待って待って!

そんな寂しげな顔しないでぇぇ!

罪悪感ハンパない!!!!!

故意に呼ばなかったわけじゃないんだよ!?

邪魔しちゃ悪いと思ったし、2人が同時に来て、その話の流れになったんだし!!


「トルーノ!呼ばなくてごめんね!?話の流れでそうなっただけで、トルーノだけ、わざと呼ばなかったわけじゃないから!!勿論、トルーノも一緒にお酒飲んでね?トルーノが沢山お魚を釣ってくれたから、お酒のおつまみも出来るし、私も楽しみにしてるからね!!お酌もするから!楽しみにしててね!」


「・・・お酌?おひぃさんが俺に酌してくれんのか?俺が釣った魚をおひぃさんがつまみにしてくれて・・・。で、酌?」

きょとん、とした顔のトルーノ。

幼い表情が何とも可愛らしい。


「そうだよ!トルーノが釣ってくれたお魚を夕飯に料理するから、その時にお酒出そうね!お米から作ったお酒と葡萄から作ったお酒があるから、楽しみにしててね!」

と、肯定して見せると


「おひぃさん、酌。してくれんのか?」

と、念を押してくるトルーノ。


うん?

会話がかみ合ってない感じがするぞ?

お酒の種類とか、私の作ったお酒だという事にはノーリアクションですかい?


「うん?するよ?・・・あれ?お酌って、相手のコップにお酒注ぐ事で合ってるよね?もしかして、他の意味ある?」

だんだん不安になってきたぞ?

コッチの世界では《お酌》って別の意味あるのか?


「んや。合ってる。そうか。おひぃさんが酌してくれんのか。おひぃさんが作った酒か。酒の肴もおひぃさんが。そうか。ん。もっと釣ってくる。」

と、放心状態に見えるトルーノ。

大丈夫ですか?

そう思っているとアルドがトルーノの腕をつかんでその場に引き留めた。


「トルーノ、ちょっと待て。カナちゃん、俺達全員に酌してくれるのか?トルーノだけか?」

と、私に話を振ってきたので


「あ、皆に。皆にお酌するよ。」


流石にトルーノだけってわけにはいかないでしょう。

他の皆もお魚取って来てくれるんだし、トルーノ以外は自分の手酌でどうぞ~。って変じゃない?


「それは良かった。じゃあ、競争にしよう。一番大きい魚を釣ってきた奴が、カナちゃんに一番に《酌》してもらえる権利を獲得できるっつーのでどうだ?判定は俺がする。カナちゃんに決めさせると困らせちまうだろうからな。俺は最後で良い。カナちゃんと釣りしてるっつーご褒美も貰ってるし、どうだ?トルーノ。」

アルドの提案に対して


「デカイの狙ってくる。」

と、途端に目をギラつかせるトルーノ。


「おお、頑張れ。ついでにあいつ等にも伝えてきてくれや。俺とカナちゃんはまったり釣ってるからな。頃合いになったら呼びに行く。」


その言葉を聞くと同時に走り出したトルーノ。


「悪ぃな、カナちゃん。酌すんの大変だとは思うが、よろしく頼む。今日は釣れてる方だからな、出来るだけ皆に魚を獲らせて、保存食にでもしとこうな。肉と違って魚はいつでも獲れるわけじゃねぇからな。」

と、どうやら旅の途中で食べる用の魚も今日獲るつもりらしい。


「うん。お酌するのは全然かまわないよ。それと、沢山獲っておけば、《私の鞄》に入れておけるしね。」


普段お世話になってるオッサン達にお酌するのが嫌なはずないでしょう。

むしろ、そんなんで喜んでもらえるなら、バッチコーイ!!!

ついでに、《私の鞄》に入れておけば魚は何時でも新鮮なまま食べれますよーっと。

纏めて入れといて、後で処理もできますよーっと。

誰かに聞かれても嫌だし《時間停止の大容量鞄》とは言わないけども。


「ああ、そうか。《鞄》があったな。でも、大量に獲ってくるだろうから驚くと思うぞ?楽しみにしてるといい。俺達はゆっくり釣ろうな。カナちゃんが一人で餌付けから引き揚げ、篭入れまで出来るようになるのが今日の目標だな。」

と、笑いながら、私の頭を撫でてくれるアルド。


そして、再び開始される釣り。

まったりとした空気が流れる中、優雅に釣りを楽しむ、私とアルド。



なんてことはなく、

トルーノが消えた方向から

【俺が勝ぁぁぁぁぁぁぁつ!!!!!!!】

というウェインとグレンの雄叫びが聞こえ、

アルドが苦笑いすると同時に、私の竿には、あの気味の悪い、グロテスクな見た目の、実は美味しいらしいレアなお魚さんが入れ食いするという、てんてこ舞いな状況になってしまうのだった。

アルドは途中から自分の竿を引き上げ、全力で私のサポートをしてくれたので、今回、釣りを楽しめなかった人、第一位である。

本当に申し訳ない。



そして、アルドの厳正なる審査の結果、勝者は【トルーノ】に決定!!


御夕飯は久しぶりのお魚!!

というか、お魚尽くし!!

一番にお酌してもらえる権利は【トルーノ】に決定です!


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