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優しいオッサン達。そしてギルド

ギルドよりお宿が近くにあったので、そちらを先に済ませたいと思います。


近づいてみると、清潔感のある建物で安心しました。

カウンターにはまだ若い娘さんが座っていました。


「いらっしゃいませ~!ご宿泊ですか?それともお食事ですか?」


あ、食事はしないよ。絶対に。

屋台に並ぶ物体Xに既に心は折られている。


「あ、宿泊で御願いします。」


「1泊銀貨、二枚になります。お部屋の鍵はこちらです。」


無事にお支払もすんで、お部屋も見たけどベッドと小さなテーブルと椅子が1つあるだけの小さなお部屋でした。


安全のために荷物は置かないで、早速ギルドに行ってみたいと思います!



ギルドの場所が分からないので、その辺の冒険者っぽいオッサンに聞いてみましょう。

お!ちょうど良さげなオッサンが4人。

この人達、絶対に冒険者だ。

道を聞いてみましょう。


「あの、すみません。少しお聞きしたいのですが・・・」


ぐるん。

と勢いよく振り向く4人。


「え?は?俺たちか?」

「嬢ちゃん、俺達に話しかけたのか?」

「何だい?何でも聞いてくれ」


何だ?

結構、グイグイ来るね。オッサン達。


「はい。冒険者ギルドの場所を教えていただきたいのですが、今、お時間大丈夫でしょうか?」


オッサン達は全員で顔を見合わせてから頷く。


「時間なら大丈夫だ。冒険者ギルドだったな?冒険者ギルドはそっちの大通りを真っ直ぐ行って、突き当たりを右に行く。んで、左側に赤い看板の店があって、その真向かいにある。」


なるほどなるほど。助かったお礼を言おう


「お嬢ちゃん、冒険者になんのかい?」

「武器はどうするんだ?」

「ギルドで武器系統とか職業の登録とかあるし、買ってった方が良いぞ?」

「だな。そのままだと冒険者にゃ見えねーもんな。」

とな。


すっかり忘れてた。

そうだよね。

丸腰で冒険者になりたいなんて言うバカいないわ。


「魔法を中心に使ってきたので、武器らしい武器持ったこと無いんですけど、初心者におすすめな武器ってありますか?」


驚いた顔のオッサン達。

すぐに真剣な顔になって、周りを囲まれた。

周囲に言葉が聞こえない様に

小さな声で告げられる


「お嬢ちゃん、もし、武器が使えるなら魔法使いなのは黙っといた方が良いぞ?」

「誰にも言わない方が良い。魔法使いなんて珍しい。しかも女。」

「だな。只でさえ少ない女で、しかも魔法使いとなりゃ、勧誘が大変になるな。こりゃ。」

「煩わしいのが嫌なら、簡単にでも剣を覚えて《剣士》で登録して、信用出来る奴等とパーティーを組んで、その時に魔法使いだと話した方が良い。」


と何だか凄く真剣な顔で忠告をいただいた。

なるほど。

魔法使いは少なく。

女も少ない。

希少価値が高くて、周りから勧誘されまくるだろうと。

なら、《剣士》で登録して、味方にだけ魔法使いだとばらしておけと。

うん。そうさせてもらおう。

私の事なのに、私が大変な思いをしないように忠告してくれたのね。

優しいなぁ。この人達。

ちょっと強面のオッサン達だけど、優しいわ。


「そうします。お心遣いありがとうございます。」


と言うと、少し照れた様子のオッサン達。


「い、いや。別に。なあ。」

「ああ。知らないことを教えてやるのは当然だ。」

「んで、武器なんだがな。お前さんの腕の細さなら細目の両刃の剣が良いだろうな。」

「だな。あんまり重くても太くても、初心者には使い辛いだろうし、嬢ちゃんの細腕なら、尚更だな。嬢ちゃんさえよければ、俺らが選んでやるぞ?そこに武器屋あるし。」


と。

ありがたい。

正直な話、私には全て同じに見えるので、助かります。オッサン達。


「本当ですか?では、お言葉に甘えて。一緒に選んでいただけると嬉しいです。私にはどれが良いか全く分からないので。助かります。」


とオッサン4人と共に向かった武器屋で


オッサン達に武器を選んでいただきました。

【これを持ってみてくれ。ああ、握る所が大きいな】

【こっちを持ってみてくれ。あー。長すぎるな】

【これ持ってみな。ああ。太さがありすぎるな。】

【これなんてどうだ?あー、指に合わないな】

と様々な剣を持たされ、実際に振るわされ、そして、全員が納得して決めてくれた剣。

持ち手や鞘は黒。

刃は細く長め。

シンプルで綺麗な剣だと思う。


「選んで下さって本当にありがとうございました。私だけだったら、こんなに自分に合った剣は見つけられなかったと思います。本当にお世話になりました。」

とお礼と共に頭を下げておく。


そうすると

『いやいやいや!気にするな!俺達が好きでやったことだから!』

と真っ赤になりながら口を揃えるオッサン達。


お礼を言われなれてないんだね。多分。

何か、可愛いオッサン達だなぁ。

「また今度何かあったら声をかけろよ」

とまで言ってくれる凄く良いオッサン達だ。

また見かけたら声をかけよう。


親切なオッサン達に別れを告げて、目指すは冒険者ギルド。


_________


そうだ、異世界トリップでの冒険者登録と言えば、お決まりの【アレ】分かりますか?


そう【登録に来た主人公に絡む馬鹿な奴等。そいつらを主人公が軽く潰し、ギルドランクは低いのに強い事が分かり、どんどん周りから頼りにされる日々の始まり】ってお決まりの展開。

あるじゃないですか?


アレ、困りますよね。

私は目立つの嫌いだし、人から頼りにされるのも、ギルドから好きに使われるのも嫌なんです。


なので、何か言われても下手に出つつ、回復薬の薬草採取がメインだと言うことを強調しようと思う。


そう決めてギルドの扉を開けた私。


集まる目線。


【女だぞ!】

【女の子だ!】

【初めて見る顔じゃね?】

【小さいなぁ、可愛いなぁ。】

【新顔だな。】

【珍しいな。新顔の女の子】


ざわざわしてて居ずらいです。

でも、ギルドカードが欲しいので、我慢して列に並びます。


そこに2階からカツコツとヒールを鳴らす、色気ムンムンの女王様の様な女性が降臨なさいました。

カリスマオーラが溢るる見目麗しい、素晴らしい御身体をお持ちの御方です。


「今日も凄い列ね。弱くて使えない奴も多いのに」


あ、お声も素敵なんですね。

しかも上から目線な感じがまた。一部の方々に大ヒットでしょう!


「あ、ギルマス!お疲れ様です。」


あ、やっぱりギルマスさんなのね?

ドキドキするなぁ。


わわ!

ギルマスさんがこっち見てる気がする!

もしかして、チートだから魔力の多さとか身体能力の高さとかに気づかれちゃったのかな?


「女の子が来るなんて珍しいわね。しかも貴女、小さいわね。この中でも特に弱そうだし、貴女の登録は許可出来ないわね。帰りなさい。」


は?え?

何で?

ギルマスが登録を許可しないってあるの?

どうしよう!?

登録できないと生活が困る!


「あ、あの、こう見えても18歳なんですけど、それでも駄目なんですか?」


「あら、そんな年だったの?小さいのに。でも許可出来ないわね。弱そうだし。登録して死なれたらそれが此処のギルドへの評価になるのよ。分かる?」


ム・カ・つ・く!!

見た目だけで判断して!

確かに、此処の人達に比べたら背は低いかもしれないけどさ!

年齢さえ越えてれば登録は自由の筈なのに!


「私、そこまで弱くありません。なんなら、今、ここで力を見せますよ?」


「いらないわ。貴女はこのギルドにいらない。分かったら帰りなさい。ねぇ、周りの皆もそう思うでしょ?」


そう言われた瞬間、爆笑がおこった。

目の前にいた王子様みたいに格好いいお兄さんも、

近くにいた剣士みたいなワイルドなお兄さんも、

魔法使いみたいな穏やかそうなお兄さんも、

エルフの美人なお兄さんも、

セクシーな盗賊のお姉さんも、


周りのみんなが私を笑ってた。


そして、私はギルドの職員に外に放り投げられた。

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