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トルーノとのお買い物。

タイトルを間違えていました。すみません。

修正させていただきました。

ギルドを後にして、オッサン達と共に宿に到着しました。

宿に入った時に、

【はっ!?この宿、女の子が泊まってんのか??おい!あんちゃん!俺もここにするぞ!連泊で!】

【マジか!女の子が泊まってんのか!!俺、風呂入ってくる!】

【俺の部屋、ワンランク上げてくれ!】

と何だか大騒動になっていたのは気のせいだと思いたい。

皆が周囲をガードしてくれている ありがたさが身に染みる。

この世界で一人で行動するのは、精神的な負荷が強すぎて潰れただろうなぁ。

考えただけで胃が痛い。

と様々な事で自分の置かれている状況を思い知らされる毎日です。はい。


後ろの野太い声達を全て置き去り、オッサン達と部屋へ向かう。

そして、ドアの前で待機。

先頭のアルドが布に得体の知れない液体を染み込ませて、ドアノブを何度も拭いて、その後、乾拭き。


「よし、もういいぞ。待たせてごめんな、カナちゃん。」

と笑顔でドアを開けてくれた。


全員が椅子に座り、円になった状態で、グレンがお金を一人づつの山にしていく。

その作業を待っている間に、私は気になっていたことをアルドに聞いてみる。

だって気になるよね?

あの、ドアノブに塗られた液体。

ずっと疑問だったんだよ。私。


「ねえ、アルド。気になってたんだけど、あの、ドアノブに塗ってた液体、何だったの?」

私の疑問に、アルドは微笑み、他のメンバーは顔を逸らした。

グレンのお金を数える音が響く。

あれ?これ、聞いちゃいけなかった感じ?

何とも言えない空気に額に汗が噴き出る。

緊張で手をグッと握り込んでいた私に、微笑んでいたアルドが


「ん~。そうだな。カナちゃんにも知っておいてもらった方が良いかもなぁ。間違えて触ったら大変だしなぁ。」

と顎を撫でながら、悩み、よし。と話し始めたアルド。


「まずな、この世界には悪い奴が沢山いる。カナちゃんのいた世界がどれほど安全な世界だったのかは分からねぇが、ここでは自分の身、自分の荷物は自分で守らなきゃいけねぇ。取られればそいつの落ち度だ。で、うちにはカナちゃんがいるだろ?恐らく、部屋に侵入しようとするやつもいると思うんだ。だからな、ちょっとした仕掛けをしておいた。触れば人体が腐る液体をドアノブに・・・・」


「待って!腐るって!?え!?そんなのあるの??え?そんな怖い液体をドアノブに塗って平気なの!?」

私的には【火傷を負わせる薬品】程度かと思ってたよ?

え?人体が腐る液体なの?

それって、部屋を間違えた人はどうするの?

ってか、よくそんな液体を持ってるね・・・。


私の驚愕の表情に、アルドは笑いながら続ける。


「触れば手が腐り、そのまま放置しておけば腐り落ちる、俺の特製ブレンドだ。俺は薬草に詳しいからな。誰も知らない手製の薬品位、いくらでもあるんだぞ?カナちゃんが驚くのも分かるが、まず、宿の人間は客が入った部屋に入る事は許されない。ドアのノッカーを叩くか、声をかけるだけ。間違えた奴は・・・まあ不運だな。あ、ちゃんと中和剤も持ってるから、大丈夫だ。安心してな?他のみんなも持ってるから、カナちゃんは誰かの後に部屋に入るようにだけしておけば大丈夫だ。泊まる宿が安心な場所だと断言できるまでは、この方法で対処するしかないんだ。面倒だろうけど、よろしくな。」

と笑顔で私の頭を撫でるアルド。


いや、中和剤があっても、そんな薬品を作ろうと思ったアルドさんがスゲェです。はい。

しかも、その薬品を持ち歩けるアルドさんがスゲェです。はい。尊敬します。

他にはどんな品々を揃えてらっしゃるのか・・・。

いや、聞かないでおこう。

世の中には知らない方が良い事もある。


「うっし、数え終わったぞ。それぞれ財布に入れとけ。それと、お前らは今から外に行くんだろ?俺は買いてぇ物もねぇし、眠ぃからここで待機する。」

宣言と同時に大きな欠伸をするグレン。


「おう!今回は多いな。よっしゃ!酒だ!酒!っあ!いやいや、少し貯金だ。んで、残りで酒。んと、少しづつ使う方が良いかなぁ~。」

とこちらをチラチラと見てるのはウェイン。


「おお、毎回すまんな。助かる。・・・・・。魔具は今回は見送るか・・・。薬草は・・・・見てから決めるか。んで、貯金は・・・。」

と悩み始めたのはアルド。


「ん。・・・・・。今回はおひぃさんの傍にいる時間も多いだろうし、図書館にも通い詰めねぇだろうから、こんなもんか?」

とお金を分け始めたトルーノ。


おうっふ。

どう考えても、皆、さっきのやり取りを気にしてるよね?

これ、かなり気にしてるよね?

【これぐらい貯金出来ればイイ男か?】

みたいな目線がグイグイ来てるんだけど。

皆かなり本気で気にしてるよね。

さっきも言ったけど、好きにお買い物して良いんだよ?

別に、貯金が出来る男=良い男な訳じゃないんだから。


「みんな、さっきの話は気にしないで好きに使いなよ。もう個人の貯金はしてあるんだし、これ以上は趣味の領域だからね?私も、皆が使わない中で一人だけ使うのも心苦しいから。」

と言ってみると、皆の顔が輝いた。


【そうか?!じゃあ、俺、使う!あっ!無駄遣いはしねぇぞ!】

【ああ、じゃあ、気になってたあの薬草は購入だな。】

【・・・・・あの本を・・・・。】

とそれぞれがホクホク顔で、お財布を握りしめる姿はお小遣いをもらった子供みたいで凄く可愛かった。


そんなこんなで、買い物に行くことになったのですが、今回は皆で行動しません。

私は今回はトルーノと共にお買い物に行きます。

皆がバラバラな理由は、

まず、買いたい物と売り場が別々だという事。

沢山の場所を回るのは時間がかかるし、夜になれば危ない。

更に、ウェインが行く予定の酒屋付近には酔っ払いが多い可能性があるので却下。

次に、アルドのお目当ての薬草やら魔具のお店は裏通りが多いので、問答無用で却下。

よって、今日はトルーノとのお買い物です。


が、その前に、お出かけにおいてのお約束。

まず、手を繋いで歩くこと。

これは逸れたり誘拐されるのを防ぐための防衛手段として。

次に、私はお財布を出さない事。

女は男に出させるのがこの世界の普通であり、お金を持っている女と認識されて、顔の良い自分に自信のあるバカ男が寄ってくるのを防ぐ為。

勿論、支払ってもらった お金は後でちゃんと返します。

そして、何か異変や違和感を感じたらすぐに報告すること。

我慢はしないお約束です。

また、連れて歩く側は、私の存在を常に意識すること。

じっくり見たい買い物は、帰ってから夜にでもひとりで行け。

と、他にも細々としたお約束がありましたが、皆が真剣な表情なので大げさだよ~なんて言えず。

私もちゃんと真剣に聞き、約束しました。


そしてついに、待ちに待ったお買い物の時。


「本当は俺が連れてきてぇんだけどなぁ。調味料なんかも選ばせてやりてぇし。けどなぁ、匂いもスゲェし、酒場は酔っ払いが多いからな。しゃーねぇか。」

と言いつつ、お酒を買いに酒屋へ直行するウェイン。


「カナちゃん、女が嫌がる事をする馬鹿はいねぇとは思うが、警戒だけはして歩いてな。気をつけて。何かあったら叫ぶんだぞ?」

と、最後まで母親の様に心配してなかなか離れないアルド。


「気ぃ付けてな。欲しいもんは遠慮なくトルーノにたかれよ。俺は寝る。アルド、いつもの魔具仕掛けてけよ。」

と笑いながらも半分眠ってるような雰囲気のグレン。


その言葉を聞いて、笑顔でドアに得体の知れない何かを仕掛けてから、私に手を振って去っていったアルド。


そして最後に、

「行くぞ。」

と私の手を引いてくれるトルーノ。


と、初めての土地でのお買い物にドキドキ。

でも、やっぱり、大きくて温かな手で引っ張ってもらえると

【こっちだ。大丈夫。怖がる事なんて何も無い。俺が一緒だから。】

って言ってもらえてるみたいで安心する。


なんて考えてる間に、様々なお店が並ぶ通りに着いた。

よし、ここからは常に女王様モード発動だ!

そうでもしないと、客引きが酷いとオッサン達に教えてもらった。

端のお店から私に合わせてゆったりとした歩調で見て行ってくれるトルーノ。

おお!

以前の街でも見たけど、異世界のお店だ!

ちょっと感動する!

この前はボロを出しちゃいけないと必死で、周囲を見ながらも、ほぼ口を開かずに買い物したから、隣にトルーノが居てくれるおかげで心に余裕がある私は子供の様にウッキウキである。

そんな私の様子に軽く笑いながらも、手を引きつつ、周囲の警戒をしてくれるトルーノは本当に優しくて頼りがいのある、素敵なオッサンである。


様々な店から声をかけられつつ、品物を見ていく。

今回の買い物は、買い物の方法を確かな物にするためと、店員のあしらい方を学ぶ為なので、買うものにはこだわらない。

以前の買い物ではオマケが多く、あの当時の私には謎だらけだったからね。

でも、今はトルーノがいますから!

何でも来い!状態です!


「お嬢ちゃん!そこのお嬢ちゃん!この辺で見ない顔だね!どうだい!うちで買って行かない??安くするよ!!」

と男性が一際でかい声で話しかけてきたのは、巾着や財布なんかの小物を中心に、櫛も売ってるお店。

櫛は持ってないし、安いみたいだし、買い物の練習としては良いんじゃないかな?

と思っていると、トルーノが


「見てくか?」

と声をかけてくれたので


「そうね。見てくわ。櫛は持ってないし、1つ買ってちょうだい。」

と女王様モードでおねだりしておく。


「まいどあり~!好きに見てってくれ!お嬢ちゃんが持つのにふさわしい櫛ならこの辺りかな?この辺のなんか作りも丈夫で、長持ちするよ!」

なんて見せてくるのは、値段の高いゴテゴテとした飾りのついた櫛。

え!?

高いんですけど!!

櫛にこんなお金出さないよ!

ってか、何、この趣味の悪い櫛!

ゴテゴテと、宝石の様な石やリボンがデコッてある、髪に引っかかりそうな櫛!

使えなさそうなんですけど!

と驚きで固まっていると、トルーノが


「高いな。髪に絡まるんじゃねぇのか?コレ、いくらでこのお嬢ちゃんに売りつけるつもりだ?」

とお店の人に問う。


「これは他の女性たちに大人気の商品なんだよ!こんなに綺麗で可愛い品は他の店では揃ってないからね!勿論、お嬢ちゃんには特別に安くするよ!隣のオヤジが払うにしても、こんなに可愛いお嬢ちゃんが持ってくれるだけで宣伝になるからね!格安!格安!」

と目の前で、値札から0を1つ消した。


マジか。

何だよそれ。

普通の値段から桁が減るって何なの?

値引きした後の値段が正当な値段なんじゃないの?

ねえ?どうなの?

もう、頭の中は混乱。

しかし、トルーノは


「ゆっくり選ばせてくれ。」

と店員に声をかけて、私の手を引いて、店の端にある櫛を見せようとする。

店員は【ごゆっくりどうぞ~!決まったら声かけてください!】

とまた宣伝を始めた。


「ふう。驚いたな。女ってだけであんなに値引きされんのか。前もあんなだったのか?」

とトルーノは小声で話しつつも驚いているみたいだった。


「いや、前の街ではそこまで値引きは無かったかも。少しは引かれたし、おまけをどっさり貰ったけど。」

と思い出しつつ返答すると


「ああ、あそこはギルマスが女で、あそこを拠点にしてる女冒険者もいるからな。そこまで女が珍しい訳じゃなかったから値引きが少なかったんだろ。にしてもな、まさか桁を減らすとはな・・・。原価ギリギリか赤字だと思うんだが。まあ、女が使えばこの店の宣伝になるのも納得か。値切りと店員のあしらい方を見せるつもりだった予定は崩れたが、とりあえず、1つ買っとくか。」

と選ぶように勧めてくるトルーノ。


ああ、なるほど。

【女の人がこのお店で買いましたよ!】

っていう感じでオススメするのかな?

広告みたいなものだから、原価ギリギリでの販売でも問題ないのかな?

良く分からないけど、取りあえず、この髪に引っかかりそうな派手なのだけは止めておこう。

ついでに色々とトルーノと話をしていく。

本来、男性が買う時はどれぐらい値下げ交渉をするのか、いくらが適正なのか。

様々な商品について話をしていく。

本当は値下げの交渉とか、しつこい店員のあしらい方を学ぶつもりだったのに、向こうから勝手に値下げしてくれちゃったので、その辺は勉強できませんでした。


その後、様々な話をしつつ、1つの櫛を選んだ。

デコられていない、色の綺麗な軽くて、丈夫そうな細めの櫛。

値段はそこそこ。


「決まったか?ん。おい、コレをくれ。いくらだ?」

トルーノは店員に櫛を見せつつ値段を聞く。

すると、店員は嬉しそうに、待ってました!とばかりに


「おお!これを選ぶとは!お嬢ちゃんは素晴らしい感性を持ってるんだね!これは上質な物だよ!お嬢ちゃんが使ってくれるなら櫛も本望!格安にするよ!」

と値札から一桁消した。


その値段にやはり驚きつつも、トルーノは自分の財布からお金を出し、商品を受け取り私に渡してくれた。

それと同時に店員の大きな声が響き渡る。


「お嬢ちゃん!お買い上げありがとう!ウチの櫛を使ってもらえる事、本当に嬉しいよ!またのご来店をお待ちしてます!」

と私に向かって大げさに頭を下げた。

周囲からは更に視線が集まったので、直ぐにその場を立ち去った。

私たちが店を離れた後に、同じ櫛を購入しようとする男共でごった返していたのは見なかったことにしたい。

そのまま他のお店も見つつ、鞄やら手ぬぐいを購入したが、どこも同じ。

勝手にあっちが値下げしてくれて、交渉なんて無し。

逆にあっちがホクホク顔で周囲に大声で宣伝してたくらいだ。


そして、トルーノが大大大好きな書物を売っている本屋さんに到着した。

ちょっとソワソワしだしたトルーノ。

でも、私の手は離さないし、周囲の警戒も怠らない。

そんなところが優しくて可愛くてたまりません。


「あ~、後で一人で来れるからな。ここは無理に見なくても良いぞ。面白くないだろうしな。」

とソワソワしつつも私を気遣うトルーノ。


本屋さんは普通の古本屋さんみたいだ。

お店の中に本棚が並んでいて、そこに本が並んでいる。

けど、全部一冊づつしかないみたいだ。

本は貴重だと言っていたし、出版自体が少ないのかもしれない。

だとすれば、もし、今ここにトルーノが欲しい本があったとしても、夜には売れてしまうかもしれない。

そうなれば、次の街でまた探さなきゃいけないのだろう。

そんなの蛇の生殺しだろう。


「トルーノ、私、本に興味があるから、少し覘いて行ってもいい?」

小声で伺ってみる。

すると、確認できるのが嬉しかったのか


「そうか?良いのか?・・・じゃあ、少しだけ見てくか。」

と、こちらを気にしつつも軽い足取りで本屋に入るトルーノ。


トルーノが表紙を見ながらも周囲を警戒している中、私はトルーノの隣に並び、後ろが見えるように体を斜めにする。

トルーノが本に気を向けているので、代わりに少しでも周囲の警戒をすることにした。

そして数分後。


「あった!俺が欲しかった本だ。・・・すまん、おひぃさん。これを買って行っても良いか?値切りに少し時間がかかるんだが・・・。」

と申し訳なさそうに、お願いしてくるトルーノ。


貴重な本は高い。

ならば、少しでも安く買えるように粘り強く値切るのが当然だ。

勿論、ここで買わずに売り切れなんて悲しい思いをさせたく無いので、トルーノに向けて頷く。

私が頷いたのをホッとした様に見つめ、


「すまんな。助かる。」

と私の手を引いて、店員のところへ誘導するトルーノ。


店員さんは少し眠そうにしていたのだが、私が近づいてきたのを知って、


「うわぁっ!!女の人!?本屋に来る女性がいるなんて!!感動です!!」

完全に覚醒した。


もしかして、この世界では女性は本を読んだりしないのかな?

特に学が無くても生きていけそうだし、女王様が本を読むのも想像できないし。

だからか、店員さんは凄く嬉しそうである。

【ウチの本屋に女性が来るなんて!】

と言って、カウンターに乗っていた本を横に避けている。

なんだか感じのいい人だ。


「私、今日初めて本屋に来たの。こんなに沢山の本があるのね。知らなかったわ。」

と店員に感想を言ってみる。


「やはりそうですか!!女性が来たのは初めてですよ!割引します!是非、またいらしてください!」

と安くしてくれた。


トルーノは私たちの会話に驚きつつも、素早くお金を払い、大事そうに本を仕舞い、店の外に出た。


「お買い上げありがとうございました!」

店の前まで見送りに来た店員さん。

するとトルーノが周囲に聞かせるように


「品ぞろえが良い店で助かった。な?」

と私に向けて同意を求めてきた。

なので、


「ええ。欲しい本があって助かったわ。」

と返事をする。

恐らく、感じのいい店員で、お目当ての書物を予定よりもかなり安くしてもらった事に対するお礼のつもりだろう。

品ぞろえが良い。とか、本が好きな人が聞いたら絶対に放っておけないだろう。


その後、数人が入店していく本屋さんを後にして、トルーノと宿へ戻る。

その途中で小声ながらも


「おひぃさんのおかげで予定の半額で購入出来た。あれはおひぃさんが相手だったからだ。ありがとうな。助かった。」

と嬉しそうにお礼を言われた。


大事そうに嬉しそうに鞄を撫でるオッサン、可愛いです。


「ううん。私は何もしてないよ。トルーノこそ、私を買い物に連れてきてくれてありがとう。トルーノのおかげで安心して行動できたし、色々見れて、お買い物出来て凄く楽しかった。」

私もトルーノと同じように、自分の鞄を撫でる。

それを見たトルーノは、柔らかい微笑みを浮かべながら、


「俺もだ。楽しかった。」

半歩後ろから見たトルーノの耳が赤いのは気のせいじゃないだろう。

トルーノはそのまま私の手を優しく引いて、宿への道を進んで行った。

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