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オッサン達の心情と攻防。

やっとカナ嬢が眠った。

女を腕に抱きしめるなんてしたことねぇし、誰かの為にこんなに考えて行動すんのも初めてだ。

ガラじゃねぇのも分ってる。

顔が馬鹿みてぇに熱い。

きっと今、周りから見れば俺はサルみてぇな真っ赤な顔をした間抜け野郎だろうぜ。

が、背に腹は代えられねぇ。


現に、今、パーマの野郎共とアルド達の攻防が続いてる。

カナ嬢が俺の腕の中で動かなくなったのを見て、口を開けて間抜け顔してやがったが、覚醒してからはギャンギャンと喚く喚く。

うるっせえ。

カナ嬢が起きたらどうすんだよ。

あの野郎ども。

クソが。

あー。

ぶん殴りてぇ。

あいつらの顔面に、拳、めり込ませてぇ。

・・・・・・・・・。

トルーノが俺にこの役を割り振ったのはこの為か?

俺ならもう殴ってるかんな。

っつーか、他の奴らはよく我慢出来るな。

俺にゃ無理だ。

・・・・・・。


アルドはネチネチ言い返してんし、

ウェインは周囲の警戒で忙しいしな。

トルーノは元々我慢強ぇし寡黙だしな。

我慢出来ねぇのは俺だけか?

まぁ、そうゆう性格だし、しゃーねーよな。

照れるし、くっそ恥ずかしいが役得だしな。

寒い思いして水浴びた甲斐があんぜ。

あー。

あったけー。


______________________________________________


そんなグレンの心情とは別に


「ちょ!ちょっと!な、なんであのオッサンがお嬢さんと!!うえ!?なにあれ!ちょ、ダメだよ!女の子なのに、あんなオッサンと!やめてぇぇぇぇ!!!」

と涙を浮かべながら叫びの表情のバルロ


「なんなんですか!あれ!!いくら護り手だからってやって良い事と悪い事があるだろう!?このクズども!!」

と怒髪天のアーチス


「すぐに辞めさせろ!お嬢さんは俺たちと一緒に寝るんだぞい!俺たちが護って寝るんだぞい!今すぐに俺たちに渡せ!あんな野蛮なオッサンに触らせるなんて許せないぞい!」

と本気で怒っているのに語尾で全て台無しなお貴族、マシュー


それに反論しているのはアルドとトルーノ。

2人はお怒り状態のパーマ達3人に対峙しつつ、グレンが作ったご飯をかっ込んでいる。

なんとも器用なオッサン達である。

ちなみに、ウェインは周囲の警戒が忙しいのでグレンとカナに近い、少し離れた所から睨みを利かせるだけのお飾りの参加だ。


トルーノは睨みを利かせながら


「うるせえ。嬢ちゃんが起きんだろ。黙れ。」

と一言でパーマ達を黙らせ


「ありゃ嬢ちゃんからの要請だ。女は手足が冷えると辛いっつーだろ?最近、(さみ)ぃからな。身体が冷えちまうと朝起きた時に手足が上手く動かねぇんだ。ガツガツ」

とご飯をかっ込みつつ答える。


ついでにアルドが


「ああ。だが、誰でも良いわけじゃねぇんだぞ?ありゃ、見た目より酷な作業でな。まず、嬢ちゃんのご機嫌を損ねた奴は却下。元々体温が低い奴も却下、汗クセェやつは却下、嬢ちゃんに触る前に水浴びして臭いを落として、その後に体温を上げれねぇ奴も却下、嬢ちゃんが好む花を塗りつぶして身体になじませなきゃ却下。嬢ちゃんを抱えてる間の身動きは却下。話しかけるのも却下。呼吸音も出来るだけ落とせなきゃ却下。そんで、コレが一番重要だ。嬢ちゃんを腕に抱えつつも【(よこしま)な感情を一切持たねぇ事】だ。コレが全て守れて初めて選ばれる資格があるってことだ。もぐもぐ」

とそれらしい事を補足し、ご飯を咀嚼する。


更に


「ついでにな、俺たち以外の人間が近づくと嬢ちゃんは起きるからな。お前らは近寄るなよ?嬢ちゃんの睡眠を妨げるなよ?眠ぃ時に話しかけても嫌われるだけだからな。」

と釘を刺す。


その言葉に合わせて遠くから頷きパーマ達を睨むウェイン。


アルド達の言葉を聞いたパーマ達は

【え?!こんなに寒いのに水浴び?!】

(よこしま)な感情・・・・】

【呼吸音・・・これは手ごわいぞい・・・】

とそれぞれの言葉を口にしてから互いに顔を見合わせ、

『嫌われる』

と言葉を揃えて肩を落とし項垂れた。


自分たちには無理だと悟ったのだろう。

オッサン達は

『んなわけねぇだろ。』

と内心 舌を出しているのだが、当然、パーマ達は気付かない。


そんな中、会話の間にご飯を食べ終わったトルーノは残りの対応をアルドに任せて水浴びに行く。


トルーノが戻ればウェインと交代で見張りに入る。

そしてウェインが食事をして水浴びをし、

ウェインが戻ったら再度、見張りをウェインに任せてパーマ達はトルーノが相手をする。

そしてその間にアルドが水浴び。

オッサン達の計画は完璧だ。


カナにとっては残り香でさえも そこそこキツイ刺激臭飯を食べた後。

例えカナに直接触らないとはいえ、

【臭い】

と思われたくない。

そんなオッサン達の可愛いプライドである。



_________


オッサン全員が水浴びを終えた頃、パーマ達はすでに眠りについていた。

見張りのバルロでさえ目を閉じて眠りかけている事に呆れたが、オッサン達は誰も何も言わなかった。

正直、馬鹿の相手をするのに疲れていた。


3人のオッサン達はため息をついた後、念の為、お互いの臭いをチェック。

臭くないのを確認してから カナとグレンの周囲を囲むように座り

交代で見張りをしながら眠りについた。


ちなみに

グレンを含むオッサン達 全員の夢の中で

パーマ達が悲惨な目に()うおかげで、オッサン達は全員、次の日には晴れ晴れとした顔をしていた。

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