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オッサン達との旅⑲

ついに、問題のお時間になりました。

そう。

お夕飯のお時間です。

野営の場所まで無事に着き、野営の準備をすることになりました。

パーマ達も含めてメンバーをどうするのかと思っていたら、


「おい。そっちの飯炊きは誰だ?」

とグレンがパーマ達に声をかけた。


「俺だ。そっちはあんたか?俺達は高級なハーブを使う料理でな。お嬢さんには食べてもらいたいが、オッサン達に分けてやる分はないよ。」

と棘のある口調で赤髪パーマのアーチスが答えた。


それにはなんの反応もせず、

「行くぞ。あっちが川だ。ウチのトルーノが見張りするかんな、一緒の場所で作んぞ。材料は別だ、馬鹿野郎。」

とアーチスの首根っこを掴んで引きずり、トルーノと共に去っていくグレン。


それに呆気にとられながらも、オッサンの数が少なくなったからか、バルロとマシューが声をかけてきた。


「お嬢さん!俺達と一緒にご飯食べよーよ!アーチスのご飯は美味しいんだよ!」

とバルロが無邪気に誘う。


「そうだぞい!アーチスの料理は高級な食材や調味料を沢山使ってるから、すごく美味いんだぞい!お嬢さんも是非、一緒に食べると良いぞい!」

と高級食材を使っている事をこれでもか!と強調するマシュー


高級だろうと何だろうと、私には殺人飯だ。

食う訳にはいかない。

女王様モードになって断ろうとしたら私より先にアルドが口を開いた。


「駄目だ。嬢ちゃんはここに着く前の休憩で果物を食ってる。飯は食わねぇ。とっとと野営の準備すんぞ。」

と門前払いで追い返す頑固親父みたいな雰囲気でアルドが言った。


そしてその横でウェインが頷いている。

下手なことを話さないように喋るのはアルドに任せているらしい。

この2人が断固拒否の状態でも、諦めない。

それがパーマ達だ。


「少しくらい良いじゃない!すっごく美味しいんだから!きっとお嬢さんも食べたくなるよ!」

とバルロは自信満々に言い放つ。


「そうだぞい!きっとお嬢さんも気に入るぞい!それに、あんなに動いたのに果物だけで済ますなんて、お嬢さんが倒れたらどうするんだ!」

とマシューはプンプンしてる。


アルドは

【倒れたら】

なんて単語にどう反論するか悩んでいるみたいで、中々言葉が出てこなかった。

なので、ちょっと私が対応してみることにした。

よっし!女王様モード発動!


「私は今《ダイエット中》なのよ!その私に食べろって言うの!?太れって言うの!?この鬼畜!私は絶っっっっっ対に食べないんだから!!!!!!」

と腕を組んで怒ってますポーズをして横を向く。


私のダイエット発言にパーマ達はあたふたしながら

「充分痩せてる」

「もっと太ったほうがいいぞい!」

と言われたので


「はぁ?!今の私が痩せてるって言うの?!今までの人生で今が一番太ってるのに!!ふざけないで!普段の私はもっと痩せてるのよ!もっと細いのよ!本当に信じられない!不愉快!」

と大激怒してみた。


パーマ達は

「いや!そんなつもりじゃ!」

「ち、違うぞい!」

「食べたくないならしょうがないよね!うん!」

「そうだ!無理やりは良くないからな!うん。また今度にするぞい!」

と必死に返答した。


そしてその後ろで

【え?本当に?マジで?どうしよう、俺、知らなかったんだけど。初耳なんだけど。この前《軽い》とか言っちまったんだけど・・・。怒ってる?怒ってる?】

と挙動不審なウェインがいる。

怒ってないよー。

大丈夫よー。

と念を送ってみる。

勘の良いウェインは何となく、怒ってないのが分かったらしい。

ホッと息を吐いて安心した顔をしていた。


その横でパーマ達は

「や、野営の準備しよう!そうしよう!」

「そうだな!アーチスが戻る前に終わらせるぞい!」

と2人で少し離れた所に野営の準備を始めた。


私もアルドとウェインと野営の準備をすることにする。

もちろん、私は女王様なので手伝わない。

みーてーるーだーけー。

で、近くで会話をしようと思ってる。


「今ので良かった?ウェイン、怒ってないからね?気にしないでね?」

と2人に声をかける。


「ああ、今のでいい。助かった。良い言い訳が思いつかなくてな。ダイエットなら女相手にしちゃいけねぇ会話だかんな。あいつらもあれ以上話しかけんのは不利だと思ったんだろ。わざわざ離れて準備してやがる。一緒に寝るなんて言われたら力ずくで解決することも考えたんだがな。良かった。」

とアルドは安堵のため息を吐いた。


「怒ってねぇんだな?そっか。良かったぜ。余計なこと言ったかもしんねぇと思って焦ったぜ。」

と額の汗をぬぐうしぐさをしたウェイン。


2人と会話をしながら、2人が手際よく準備を進めていくのを見守る。

あっという間に準備が終了。

パーマ達はまだキャイキャイと騒ぎながら準備に手こずっているらしいが放置だ。

下手に関わりたくない。

そしてまた少し時間が経ったとき、異臭と共にグレン、トルーノ、アーチスが現れた。

グレンが前を歩き、鍋を持ったトルーノと鍋を持ったアーチスが続く。


ヤバイ。

鼻が痛い。涙が出そう。

対処法として布で口と鼻をふさいでいるんだけど、キツイ。

出来立てってさ、湯気が出てるでしょ?

匂いが分散されるんだよね。

ブルーチーズとクサヤと納豆とパクチーやらセロリ、ありとあらゆるハーブとか、なんかもう、刺激臭をまとめて割った感じの臭いがする。

あかん。

くっせぇぇぇぇぇぇ!

と涙目になっていると、グレンだけがこちらに近づいてきた。

そして


「おう。待たせたな。アルドは先に食え。ウェインはトルーノが食い終わるまで、こっちで見張りだ。んで、嬢ちゃんはこっちな。」

と腕を引かれて、ウェインと共に少し離れた風上の木の近くに連れて行かれた。


グレンは背中を木に預けて座り、私の手を引っ張って座らせ、腕の中に閉じ込めた。

そう、向かい合う状態で抱きかかえられたのだ。

ちょうどグレンの胸の辺りに私の顔が埋まり、鼻も口も塞がれるに近い形だ。


私は驚きのあまり呼吸が止まった。

本当に。

この歳になって異性に抱きかかえられるのを考えて欲しい。

ドキドキってゆうか、驚き、驚愕で呼吸止まるから。

そして呼吸を止めて身体を硬くした私に対してグレンは苦笑しながら


「あー。んなに意識すんな。こうすりゃ匂いが届かねぇだろ?どうにか出来ねぇか考えてよ、考えついたのがコレだったんだよ。」

と少し荒く頭を撫でた。


「う、うん。ありがとう。匂い・・・。ん?あれ?お花の匂いがする。」


そう。

お花の匂いがする。

私が鼻を埋めているグレンの胸元からお花の匂いがする。

それに、グレンから異臭がしない。

ご飯を作ったはずなのに。

しかも、なんとなく身体が冷たい。

もしかして・・・・。


「んあ?あー。花な。他の奴とも相談してよ、飯食ったら水浴びすることにした。ついでに川の近くに咲いてる花を潰して塗ったくった。これなら平気だろ?俺は作って直ぐに食って、水浴びしてきた。他の奴らも食って水浴びするからな。安心しろ。」

と何でも無いことの様にグレンは言った。


「え?水浴びって、風邪ひくんじゃないの!?え、いや、お花はいい匂いだし、嬉しいけど・・・。」

と戸惑っていると


「気にすんな。水浴びで風邪ひくほど(やわ)な身体してねぇからよ。提案は俺だがな、俺達全員が納得したことだ。うら、頭下げとけ。ついでだからパーマ達には寝てると思わせとけ。」

とまた頭を撫でられた。

今度は寝かしつけるように優しく、ぎこちなく撫でられた。


そこそこ寒いのに、わざわざ水浴びをしてきてくれたなんて。

しかも、オッサン達は全員、水浴びをする予定らしい。

オッサン達の優しさに涙が出そうだ。

本当に、優しくて包容力のあるオッサン達。

こんなにいい男が揃ってるのに、なぜ、この世界の女共はこの人達を放っておくのか。

このオッサン達が私たちの世界に来たら、ハーレムが出来るだろうに。

とか感謝の気持ちと不思議な気持ちを持ちながら、グレンに頭を撫でてもらう。


「ありがとう。グレン。皆にも後でちゃんとお礼言いたい。」


「おう。パーマ達の前では めんどくせぇから言わない方が良いから気をつけろよ。・・・・・。あー。疲れてるだろ?寝とけ。後で運んでやるから。パーマ達、飯食うのに時間かかりそうだしよ。な?寝とけ。」

と私の頭を撫でながら、やたらと寝ることを勧めてくるグレン。


グレンの顔は見れないから確信は無いが、もしかしたら真っ赤なのかもしれない。

私も真っ赤だろうし。

いくら最善の手だとは分かっていても、恥ずかしいものは恥ずかしい。

なんだか改めて考えてみると凄く恥ずかしくなってきた。

なので、お言葉に甘えて寝ようと思います。


「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて寝るね?皆が食べ終わったら起こして。あと何か問題があった時も。お願いね?」

と早速、寝るためにグレンに体重を預ける。


「おう。分かった。寝とけ。何かありゃ起こす。」

と、また頭を撫でてくれた。


そして私は温かい、お花の香りに包まれて眠りについた。

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