表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/49

オッサン達との旅⑤

落ち着いたオッサン達を引き連れて、再び隣町への移動を開始します。


若干疲れた顔をしているオッサン達と私。

余計な体力を使った感がすごい。

本当に。


気持ちを切り替えて、再びお勉強の時間です。


新しい草花を見つけてはアルドに教えてもらい、たまに問題なんかも出されて。

それにちゃんと答えられれば、頭を撫でながら褒めてくれる。

勿論、答えられない時にはヒントを出したり、改めてより詳しく説明してくれる。

素晴らしい先生です!



トルーノは地形について、今までの経験を元に

こんな地形だとこんな弊害がある。それを防ぐ方法。そして、時々どうしたら良いと思う?

と自分で考える時間が設けられてる。

ヒントも勿論、今までの経験から特別な例外(本来なら有り得ないけど偶然出くわした問題)とかも話してくれて、本当に助かる!


トルーノに混ざって、前衛コンビが

「そうだぞ!あの時はなぁ」

なんて話始めて、アルドが溜め息をつきつつ、周囲を警戒するなんて事もあったりで。

皆での旅は楽しいです。




そして現れました。

オークさん3頭。


また私は見守ってるのかなぁ。

と思ったら、グレンが私の横に立ち


「1匹だけにするから、カナ嬢も戦闘準備しといてくれや」


と2匹のオークに斬りかかりました。


「グレンの動きをよく見ておけよ。俺が後ろから指示するからな。首もとに一撃で仕留める事を考えろ」


とやはりウェインが教えてくれるらしい。


初めての剣での戦闘です。

剣を構えて、グレンを見て首に刺す時の角度や勢いを学んでいきます。


そして、残りの一匹。

といっても、グレンが何回も切りつけてくれている為に、瀕死に近い気がしますが。


「んなもんだろ。よし、カナ!さっきのグレンみてぇに首の左側、表を狙え!お前の腕じゃ切りぬけねぇからな!ぶっ刺せ!イケェェェ!!!」


ウェインからの盛大な掛け声をいただいて。

いざ!参る!


グレンがオークの気を引いた瞬間に、斜め横から近づいて、剣をぶっ刺す!


《ザシュッ》


「ブギャァァァア」


と吹き出す血と断末魔を残してオークは死んだ。


手に血がこびりついてる。


後ろからウェインが声をかけてきた


「カナ、よくやったな!」


と私の頭を撫でながら、


「分かるか?これが生物を殺すって事だ。魔法じゃ一瞬だろうかんな。手に直接血を浴びたり、断末魔を聞いたり、ボロボロになりながら必死に戦う姿を見たりしねぇだろ?斬った感触があんのも、命の重さが直に伝わんだろ?魔物でも生き物を殺している事に代わりはねぇ。けどな、殺らなきゃ殺られる。

武器を持った以上、殺すのも殺されんのも、お互い様ってーのが俺の考えだ。」


と頭を撫でながら、腰を曲げて私の目を覗き込む様にして子供に言い聞かす様に語るウェイン。


そっか。

魔法だと一瞬だったし、血にも触ってない。

鞄に入れる為に足に少し触れた位だったから、ちゃんと分かって無かったんだ。

剣で斬って分かった。

私はあのオークを《私の手で殺した》

刺した瞬間、血が手について。

相手の命を奪った事がよく分かった。


ウェインの話のおかげで落ち着けている。

そうだよね。

この世界では殺らなきゃ殺られる。

剣を持ったからには、

殺す覚悟も殺される覚悟も持たないと。


吹っ切れた。

大丈夫。

覚悟も理解できた。

うん。

大丈夫。

そう、思って目線を上げたら


『大丈夫そうだな』

とホッとしたように微笑んだ皆がいた。

オッサン達は次々に頭を撫でていく。

【よくやったな】

【中々良かったぞ】

なんて言いながら。


私が初めて直接私の手で生物を殺した瞬間だから

発狂したり、混乱したり、吐いたりするんじゃないかと心配してくれてたみたい。


心配してもらえるのが、凄く嬉しい。

心がポカポカする。

オッサン達は本当に優しい。

いつも私の事を第一に考えて、フォローしてくれて。

心配してくれる。

道を間違えないように

下ばかり見ないように

手を引いてくれる。


このオッサン達に出会えて本当に良かった。







その後、何度も出会うオークを前衛コンビと共に倒しながら、解体も少し教わりつつ、あまりにも大量に取れた肉や毛皮や魔石。

どう考えても肉はほぼ置いていくしかないので


「もし良ければ、全部のオーク肉、私の鞄に入れようか?普通の拡張鞄にはもう入らないし、だからってこんなに沢山置いてくの勿体ないよね。オーク専用の時間停止拡張鞄を用意するから、それに入れて神様鞄に入れようか?」


と意見を出してみたら、皆で顔を合わせて


『頼む』


と頭を下げられました。


曰く、

【こんなに沢山取れたことねぇ】

【こんなに大物なのも珍しい】

【腐らせるには惜しすぎる】

【初めての共同作業だもんな】


『嫌ならやめてくれ。無理しなくていい。無理に持ってくつもりもねぇ。もし、入れても良いって気持ちがあれば、入れてくれると助かる』


と。

無理には頼まないし、決めるのは私で構わないと。

折角こんなに沢山取れたんだし、今後のためにも私が良ければ。

入れてくれると助かると。


勿論、入れますとも!

初めてオッサン達に頼られましたよ!

しかも、私に魔法の鞄を使わせるのを申し訳なさそうに。

これを持って帰れれば、ご飯に出すお肉も安定するし、オッサン達にお金も入るし。

良いことだらけじゃないですか!


ただし、お約束。

このオーク達はオッサン達が許可した時だけ出すこと。


了解です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ