第一章ー(8)ー前片
六部戦(当日)開会式にて
六部戦の近畿大会の開会式は何故か伝統的に近畿大会の会場から離れていて、
近畿の中心とも言われている大阪の大阪市の中央公会堂(改築されている)で行われている。
装飾もかなり多く、荘厳な雰囲気があり、開会式といったセレモニーには適している。が、しかし、その為に緊張感も増幅される。
「無駄に緊張するな・・・。今日行われることは実質的にもグループ分けやその中での対戦カードの順番を決めるでけなんだけどなぁ・・・。」
周囲の張り詰めている緊張感に当てられて思わず俺がボヤく。
「六部戦」近畿大会の開会式には、(建前として)参加する全てのチームが出席することが求められている。
そのために、幸か不幸か見知った顔とも再開が叶うことになるわけだが・・・。
「久しぶりだな四条。今度の大会ではお前達のチームには絶対負けないからな!」
こういう(俺にとっては)面倒な奴と遭遇してしまうのは不幸の類じゃないだろうかなぁ・・・。
「お前、今、僕に会って面倒だなって顔してるな!」
コイツは群波 光
前回のブロックで俺達が偶然にも群波のチームに勝って以降、こうしてつっかかってくる。
あいつらの前回の近畿大会の順位は4位。
正直、俺たちとの相性と運が悪いだけで実力は全然違うのだがなぁ・・・。
「そんな顔してない、心外だなあ、群波」
慌てて取り繕った。危ない危ない、思わず顔にでてしまっていたようだ。
「そうか、そうか。」
群波は機嫌を直すと去っていった。
「また絡まれてるな~四条さん。とても気に入られているじゃないかね(ニヤニヤ)」
昨日の模擬試合の相手をしてくれた(永井)仁が笑いながら話しかけてきた。
「結構だよ、仁、羨ましいなら変わってやるぞ?」
「い~や、俺らだと役者不足だよ、な~拓也。(ニヤニヤ)」
仁は役者不足などと言っているが、彼らも前回の「六部戦」近畿大会の順位は25位。
決して低いものではない。
「よく言うな」
俺が反論しようとした時、ブザーが鳴った。
俺も仁も慌てて席に戻った。