第一章ー(7)
"マルチカルテット"と"セプステット"の人数は互角になった。
さらに、こっちには温存していたから、能力使用に余裕のある優がいる。
優の能力は水を操るという異能、一定量の水を視界の範囲内において出現させることができる。
「優、頼んだぞ!」
「りょーかいだよ。」
そういうのとほぼ同時に、相手チームの(俺とさっきまで戦っていた)二人に強烈な勢いの水流が襲い掛かる。とっさの判断で永井仁は回避することができたが、体勢を立て直す前に接近していた進の銃弾(もちろん極めて低威力のショック弾)で気絶。
大剣使いは避けられなかったのか、水流が消えた後、地面に倒れている。
戦力の均衡は崩れた。
そして残る相手チームの人員は異能者二人だけ、しかも、たいていの異能者は近接戦は不向きで、このチームの異能者も例外ではない。
「皆、行くぞ!」
俺と岳人と進は残った二人に向かって走り出した。
防御役の四人が倒され(気絶させられ)ていた異能者二人は有効な反撃をすることもできずにあっという間に俺たちに倒された。
俺たちは模擬試合に勝利した。
試合が終わって一息つく。ここでは敵も味方もない。
「お疲れさま、試合してくれてありがとうな、永井。」
「いや~、こちらこそありがとう四条。しかし・・・予想はしていたけどやっぱりかてなかったなあ・・・。」
「まあ、勝てなかったのは事実だが、かなり紙一重の勝負だったぞ?俺自身はそっちの攻撃をさばいてるときに負けるかもしれないなと思ってたし。
しかし、こっちのチームもそっちのチームも強くなってるな・・・。1年弱でこんなに変わるもんなんだな。」
俺と仁は双方バテバテの状態でありながらも言葉を交わす。
「次は六部戦の舞台で・・・運よくグループ分けで同じになったらだな。」
「そうだな~。健闘を祈らせてもらうよ。そんなことしなくても君らの実力なら勝ち上がりそうなもんだけど。」
「よく言うなぁ・・・・・・全く。こちらも健闘を祈らせてもらおうかな。」
俺たちは"セプステット"と別れると、各自それぞれ、家の場所が違うので、解散することにした。
解散の号令をかける。
「明日からに備えて、無茶はすんなよ?(する機会なんてあるはずないが)それでは、明日は六部戦の開会式があるから、会場にはちゃんときとけよ?特に進、サボんなよ?それでは、解散!」
「さすがのおれでもサボらねえよぉ・・・。」
「「「怪しい。」」」
(進以外の)言葉がそろって、進はうなだれている中みんな帰っていった。