第一章ー(6)
"セクステット"の4人がこちらに一斉に猛然と突進してくる。
チームリーダーである永井仁も中肉中背の体を見かけよりもはるかに俊敏に動かし、短髪のわずかに茶色がかった髪が揺れている。
俺も岳人も前進して迎撃する。
俺と岳人は実質2人ずつ相手をすることになる。
俺の相手は両手剣使いと2本の打棒を扱う"セクステット"のリーダー永井 仁だ。
俺の装備は各部に装着しているプロテクターと両手の拳に装着したナックルダスター(メリケンサック)。両腕が俺の唯一の攻撃手段だ。
俺は2人の間に飛び込むと、俺に向かって振りかぶられている両手剣(勿論刃引きはされているが、当たると打撲ないし脱臼、ひどいと一撃で気絶もありえる。)の身部分を殴りつけ、両手剣使いをよろめかせ、相手の手から剣を弾きとばす。
その間に仁と向かい合う。しかし、俺が剣を殴りつけた拳を戻し、体勢を立て直す前に、仁の打棒の内の1本が俺の胴体を狙い、振り下ろそうとしている。とっさに俺は左手(剣を殴っていない方の腕)で打棒を振り下ろそうとしている仁の腕を殴りつけた。
要所にプロテクター、耐刃、耐火、耐弾仕様の服を身に着けていても、受けた攻撃の勢いを止めることはできない。仁の腕は強引に押し戻され、とどめの一撃として用意していたであろうもう1本の打棒とぶつかり、自分の身にはねかえる。しかし、
「くそっ、体が動かねぇ。サイコキネシスかっ。」
2人をわずかの間凌いだのはいいものの、相手チームの異能者のサイコキネシス(念動力)で俺は体の動きを封じられた。
俺が体の動きを封じられている間に、両手剣使いと永井仁は体勢を立て直し、俺を戦闘不能にしようと攻撃をしかけてくる。普通の戦闘なら、俺はここで、復帰してきた2人に倒される。
しかし、これはチーム戦。
突然現れた水流が間一髪攻撃を受ける寸前に、俺の体を相手の攻撃の射程圏外に押し流す。
俺たちのチームメイト、優の支援だ。
「助かった、優!」
そして、俺が、相手チームの両手剣使いと永井 仁、サイコキネシスト(念動力者)の3人を引き付けている間に、
「よく凌いでくれた。ご苦労。」
「お疲れって所かねぇ~。」
岳人が進とのコンビネーションで相手2人を倒している(気絶させて戦闘不能にしている)。
前回の「初陣」でも確認していたが、岳人は怪我のブランクをものともしないように大きな槍をふるっている。
これで、人数は互角となった。
しかし、こっちには温存していた異能者の優がいる。
「さあ、ここから反撃の時間だ。」
ここから、こっちから攻めてやるぞ。