第一章ー(3)
「去年はそこそこの成績をだしたからな。(異)能力者が一人しかいないチームとしては(「六部戦」)近畿大会最高の順位だったんだっけ?」
成績をそれほど気にする性格ではないが、それでも「六部戦」の結果は覚えている。将来に結びつくからな。
「流石の拓也でも覚えてるよねっ。前回の近畿ブロックでの順位は15位だったよね。
「六部戦」決勝戦にも呼ばれたけど、岳人の怪我で辞退したんだったね~。」
優も去年を振り返っている。
去年の「六部戦」近畿大会最終戦の一つ前の試合において、相手チームのメンバーの反則攻撃により、岳人は負傷していた。(その後の最終戦には出場していたが)
「あの時はすまなかったな。少し警戒が甘かった。だが、今年こそは「六部戦」決勝戦に行くぞ!」
「確かにな~。今度は行きてぇな~。がんばろうなぁ~。」
岳人や進は気炎を挙げている。
「勿論、行きたいって気持ちも大事だけど。他のどのチームも同じように思ってるはずだからねっ?
どのチームと試合することになるかわからないけど、対策は必須って事わすれないでね~?」
優が珍しく、2人に釘をさしている。俺は優も岳人と進と同じように言うと思ってたが・・・。
「反則で処分されたチームの代わりもいるんだし、鈴名の言うとおり対策はいるんだが・・・、
現状できる事は、前回の上位チームとか「六部戦」決勝戦の試合とかだけでも見ておくぐらいかな。
することが無く、ボンヤリしててもいいことは無いから、今から観に行こうと思うんだが、どう思うよ?」
大体他のチームの皆に聞いても、この「六部戦」地方大会の一週間前は焦燥感を感じると言う。
どうせなら、チームリーダーとして皆にそういう気持ちを持たれないように、今、提案したわけだ。
ただし、去年の俺は、そんな焦燥感は感じなかった。それは何故か、
実は「チーム」を組むためには最低4人が必要なのだが、去年の「六部戦」近畿大会の一週間前の段階で俺の「チーム」には3人しか集まっていなかった。結局、「六部戦」近畿大会の3日前に俺は岳人に出会い、なんとか4人揃ったので、「チーム」が組めたのだが・・・。そういうわけで、去年のこの時期の俺は死ぬほど焦っていたのだった。
「そうだなぁ~。その方がいいかもな。」
「妥当な判断だな。賛成しよう。」
「私もそれがいいと思うよ~。」
皆賛成してくれたようだ。反対する要素はない・・・よな?
「じゃ、行くぞ」
「お~。」
俺達は試合記録を閲覧しに、近畿中央図書館に向かった。