第一章ー(2)
可もなく、不可もなく、授業が終わると、仲の良いグループで集まった。
「拓也ぁ~。今日もまた遅刻しそうだったのかぁ~。相変わらずだねぇ。」
コイツは片桐 進。軽薄そうな口調にぴったりな長い金髪で細身だ。
チャラさを体現してるような存在だ。
「片桐くんはそういうかもしれないけどね、皆もやっぱり初陣後は気が高ぶって眠れなかったのは事実じゃないかな?わたしはそうだったよ。」
こっちは鈴奈 優。茶色がかった長い黒髪をポニーテールでまとめている。
細身で・・・胸?・・・そこそこある。
俺達のグループの紅一点の女子だ。
「初陣から何日たってるのさぁ。無理があんじゃね?というか、17歳の女子が気が高ぶって眠れなかったとか、たとえ事実でも言うもんじゃねえだろうよぉ・・・。」
俺達4人は全員17歳で同級生。
そして、同じ「チーム」だったことから初陣も一緒だった。
「チーム」とは冒険者養成学校(以下ATS)内で行われる模擬戦で共に戦うグループだ。
模擬戦で好成績をだし、順位が上位になると、卒業後与えられるランクが上がっていく。
(無条件で一定ランクまでは貰えるが)
そういったこともあるので、皆、真剣に仲間を集め、鍛錬を重ね、強くなろうとし、なっていく。
必然的に「チーム」の仲間とは共に戦い続けるため、連携は上手にできるようになる。
そのため、魔獣に対する対応において、人員が不足するときに、ATS生が「チーム」単位で派遣されるようになる。
俺達のチームも1週間前に召集され、初陣となった。
「あの時は本当にカツカツだったな。今でも鮮明に思い出せる。」
「一番動きの良かった拓也がよく言うねぇ~。俺の銃弾なんて手が震えちまって全然当たらなかったのになぁ・・・。」
進がボヤく。
「対人と対魔獣は全く別物であると実感させられたな。速さが全く違った。
・・・・・・・・・だが、それよりも今は後一週間で迎えるチーム対抗の模擬戦について考えた方がいいんじゃないのか?拓也、進、優。」
この中で一番真面目な岳人が注意を促す。
このチーム対抗の模擬戦は「六部戦」といい、各地のATSを 北海道 東北、関東、中部、近畿、
中国 四国、九州 沖縄の六ブロックに分けて、そのブロック内でさらに4つないし5つのブロックに分けられ、その内部で総当り戦が行われる。そして、各ブロックの上位15チームが「六部戦」決勝戦に出場できる。(ブロックごとに人数が異なるため、人数に比例して出場枠を与えるべきだという声もある。)ATS生は全体で700チーム、3500人程度いる。概ね、この「六部戦」は2ヶ月続く。
岳人の言うとおり、この「六部戦」が一週間後に控えているのだ。