白い攻防戦【短編】
決戦はまもなく。駅のホーム、階段を昇りきって左に曲がる、そしてまた直進して左側の階段を降りてしまえば、最終決戦の場所だ。
人混みの中を忍のように、スラリスラリと歩く。俺の中に宿った奴は未だに、ゴロゴロと暴れている。冷や汗が止まらない。門のバリケードがもはや限界突破しようとしている。
やがて、最終決戦の場所が見えた。俺は安堵した。しかし、奴は最後の力を振り絞るかのようにしぶとく、もはや俺を殺す勢いである。
焦りは禁物だ。俺は白い戦場に座り、奴を、異次元へと葬り去った。
勝った…俺の勝利だ…勝利の優越感に浸り、俺はそのまま行為を行った。
用を足し終わり、手を差しのべた瞬間、俺は目の前が真っ白になったと同時に、敗けたと強く痛感した。
そこには紙が置いてなかった。
結論を言うと、男が便意を催して便所に入ったら紙が置いてなかったというシンプルな短編です。