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ヒーローもの
私は誘拐されたことがある。六歳のときで、もう二十年以上も前の話だ。
犯人は見たことのない怪獣の被り物で顔を隠していた。ヒーローものが大好きだった私は、犯人が優しく接してくれたこともあり、怪獣を見て普段以上にはしゃぎまわっていたと思う。その後、犯人は捕まらなかったそうだ。
今日はご当地ヒーローショーに妻と息子の三人で来ていた。ある会社の社長をしている叔父が、地域の活性化のために企画したものだ。今回は新しい悪役が登場するということで息子は大興奮しており、密かに私も楽しみにしていた。
悪役の登場のアナウンスが流れると、観客席から歓声が上がった。すると舞台袖からそれは出てきたのだった。
あれは。
あのときの怪獣!