表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BLUEMAP-青い世界の物語-  作者: 石榴石
~囚われの少女~『上』
4/30

第二幕『宙船と球地図』

 それは遥か昔より続く。果てしなく広がる、空と海。

 そこには宙を泳ぐ船があった。その船は、帆のない船だった。

 その形容を言葉にするならば、“魚のような形”。

 金属でできたその船は、丸みを帯びた部分に充満した気体によって宙に浮き、数本のオールが舟をこぐように動くことで、前へと進む。

 赤茶色に金の装飾といったデザインで、雰囲気はアンティークの部類といったところだろうか。

 この船を見た誰もがきっと、不思議な感情を抱くだろう。そんな、不思議な船が空を飛ぶ世界――

 この物語の舞台となっている、とある世界。

 大陸は大きく分けて5つか6つ程あり、それは青い海によって繋がれている。


 かつて、海賊が世界に猛威を振るっていた時代があった。

 今はそれも終わり、文明は進んでいき、商工業は発達していった。

 波乱に満ちた時代を生き抜いた、現在かの偉人とされる海賊は、時代の終焉とともにこう言ったそうだ。

『地球は青い地図である。それはこの手の中に――』

 まるで、“この世界は我のもの”とでも言うかのように。

 その言葉は、その偉人の莫大なる宝のありかを示しているのではないか? ――それは一部の間で噂として囁かれたのだった。

 しかし海賊の時代が終わった今、いわゆる、世間的に知られる海賊は『盗賊』というものに変わっていった。『盗賊』は船で海を渡る事のみにその活動を限定しない。

 空を飛ぶ船というものがもてはやされている時代なのだ。

 宝を求めて探し回るのは、今は海賊であるものは数少ない。

 そして、かの偉人の孫も、とある盗賊団を率いる人物となる。



――



 腰かけに体を預け、その人は足組みをしている。

 長い背もたれの、揺り椅子に揺られながら外の景色を眺めていた。

「今日も空は快晴、海は青!」

 左目に蝶の眼帯をつけたその人は、目を閉じ、開いた窓から吹いてくる風のにおいを楽しむ。

「ん~、風のいいにおい♪」

 ゆったりと脱力し、精神を集中させる。

 シャギーの入った柔らかい銀髪が、ゆらゆらとなびいた。

 手のひらの上で、地球を模した球体を弄ぶ。

 その様は、まるで『この世界はこの手の中にある』とでもいうような風だった。

 台も軸もない地球義は、手のひらでゆっくりと回りながら、浮かんでいた。



                              -第三幕へ-


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ