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BLUEMAP-青い世界の物語-  作者: 石榴石
~囚われの少女~『上』
2/30

序幕『光』

「運命」とは何か?

――それは、”出逢い”によってはじまり、動き出す。


一人の少年と少女が出逢うのは

「運命」の導きなのだろうか。


――ここから、動き始める物語。



挿絵(By みてみん)


「お姫様。お前をさらいに来た――」


 それは、夜の朝日、といえばいいだろうか。

 闇は、生まれて初めて『光』を浴びた。


 息もできない程の爆風が、少女の髪を彼方へと連れてゆく。

 その髪は、異様なくらいに長かった。

 眩い光と風を受け、薄桃色の髪は宙を泳ぐ。


 赤の瞳は瞬きを忘れ、足は力を失い、床に座り込んだまま動けなくなっていた。


 そもそも何が起こったのか、少女には見当もつかなかった。

起こっている事は一体何か、今のこの感情に名前があるなら、

教えてほしい――





 光というものは皆無――窓のない部屋。

 ここは、分厚く固い石壁に閉ざされた部屋だった。


 少女はこの、常夜の世界のなかで囚われるように、暮らしていた。

 この部屋の暗闇を、生きる世界の全てだと信じていたのだ。


 それは一瞬にして、爆音とともにくつがえる。


 まさに、青天の霹靂へきれき――それは少女にとって、夜に太陽の光が差し込んでくるかのような、予想もつかない出来事だった。



 少女の目の前に浮かぶのは、黒い人影。立ち込める煙の向こうに何者かがいる。

 得体の知れない感情が湧いてくる。――恐怖や絶望の類だろうか。


 突然の出来事に言葉が出るはずもない。


 分厚かった壁が一瞬で吹き飛び、少女の世界は反転した。


 何かが爆発した音に驚くのは、当然だ。驚くなというほうが無理な話である。



 打ち震える少女に、人影は手を差し伸べた。

「俺は、お前を解放するために来た」



 男の声とともに黒いマントの姿が見えると、起こっている事が何かなど、少女にとってはもうどうでもいいことだった。


 少女の瞳は、赤色の宝石のように光を湛えたまま、目の前の人物から逸らされることはない。


 これから起こる出来事に対する、期待と希望しか見えないような表情だ。



――この景色を、夢にまでみたのだから。



「この手を取るかどうか、お前が決めるんだ」


 少女に意思を問う。


「自由が欲しいか? それとも――」



 その問いに対する答えは、次の言葉を聞くまでもなく決まっているだろう。





――




 巡り合わせか、悲劇か。


 導かれた者たちの運命は、希望か絶望か。


 それを決めるのは、物語の結末次第。









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