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真理の探求者  作者: 大神
20/22

第十七話 模擬戦

「全く、相変わらずトンデモねえな…」


おっさんがもはや呆れる事にも慣れた、という様子でポツリと呟く。

視線の先にはリアの姿。現在俺達は俺の家のある森を歩いている。

勿論俺の家に向かっているのだ。

旅をする前に諸々の準備をしておこうという事になり、帰ってきたのだ。

森の外から最短距離なら30分ほどの距離しか離れていないが、

行きは悪路のせいで時間がかかった。

まともな道も無かったため、リアに頼んで道中の障害物を消してもらい、

そのあとから俺が錬金で整備しながら歩いている。

森は辺り一面静まり返っている。

そりゃまあ森の主とも言えるリアが通り道の木々やら虫やら動物を、

片っ端から闇で消し飛ばしていれば、普通は皆逃げ出すだろう。

元々危険な動物も居ないし、作業に集中出来る。


「ほんとうに、凄いですね。さすが、リアさんです」


相変わらずのゆったりとした口調でアリシアが感想を呟く。

レイアも呆れたようにため息をついていた。

特に俺達のように抜きん出た特殊能力が無いレイアからすれば、

ため息もつきたくなるんだろう。

いや、スピードはパーティーナンバー1だが、

直接戦闘以外ではあまり発揮する機会が無い。


「というか、私はユウの方が凄いと思うぞ」


そう思っていたら呆れたような表情のままレイアが言う。

確かにレイアの言う通り、

錬金…それも高レベルの錬金を連続で長時間使い続けるのはそれなりに大変だ。

結構な量の魔力が無いと続かないし、

それでも一定以上の制御技術と長時間続く集中力が要る。

レイアが高速戦闘と魔法剣に特化しているのは、

直接攻撃力を持つような魔法を長時間使い続けるのが苦手だかららしい。


とはいえやはり目の前で木々を片っ端から消しているリアの方が凄いと思う。

闇で包んだと思ったら消えている。

文字通り、リアの通ったあとにはチリ一つ残らない。


「この程度容易いものじゃ。闇は全属性中最高の破壊力を持っておるからの」


この様子を見ていればそれも納得出来る。

炎も水も土も風も飲み込まれてはどうしようもない。

対抗するには、同レベル(この場合上位精霊クラス)の光で闇を照らすか、

同じく同レベルの闇で侵食しないといけない。

リアは間違いなく世界最強の一角だろう。


「私も人間の中では強い方だと自負しているんだがな…」


少しトーンが落ち、明らかに暗くなったレイアの声。

まあレイアの気持ちも分からなく無いし、

実際レイアは人類最高クラスだろう。

しかし今回は相手が悪い。上位精霊に勝てる人間なんてほぼ居ないんだから。


「ユウさんは、その数少ないうちの、お一人、という事ですか?」


「いやいや、今の俺じゃ手も足も出ないって」


これは事実。今の俺じゃリアが本気になれば飲み込まれて終わる。

リアと同レベルの光の拒絶作用を発動するなんて出来ない。

まあ、そもそもリアが俺を攻撃するわけ無いんだけども。

そんなこんな会話しているうちに、家が見えてきた。




………………


…………


……




「ほー、こりゃまたすげえ家だな」


おっさんが家を見て感嘆の声を漏らす。

街でもこれほど大きい家は少なかったし、驚くのも無理は無い。

レイアやアリシアからすれば大した事は無いだろうが。


「いや、ただの一般人でこの大きさの家は大したものだろう」


というレイアのお墨付きを貰ったのでやはり結構な家らしい。

地下にも巨大な研究スペースがあると教えると、改めて感心していた。

アリシアは俺達のやりとりを聞いて庶民の暮らしを推し量っているようだ。


「ったく、この年でこんな家持ちとはなあ。羨ましいぞおい」


心底羨ましそうな表情で俺とリアをみやる。

俺は兎も角リアも…まあ、愛の巣と言えばそうかも知れんけど。

第一、おっさんだって本気出せば家の一つや二つ買えただろうに。

おっさんの実力なら難しくないはずだ。

というかあれだけの能力があって、

ギルドランクがDというのは色々とおかしい気がする。

本人曰くギルドランクを上げる事には余り興味無かったそうだ。


「ユウさん、地下の書庫に、ご一緒しても、よろしいですか?」


「ああ、構わないよ」


相変わらずのテンポで頼んできたアリシアと共に地下へと向かう。

精霊術系の本は殆ど無いが、精霊術以外の魔術に興味があるらしい。

魔術師の研究室というものを見てみたい、というのもあるんだそうだ。

とりあえず他の三人には部屋を見てきて貰う事に。

部屋は沢山あるので一人一部屋でいいだろう。

階段を上がってすぐの右側が俺の部屋。隣がリアの部屋。

向かいがおっさんの部屋で、その隣にレイア、アリシアと並んでいる。

まだ一部屋開いているが、掃除が面倒なのでそのまま倉庫に。


アルフとレルフは即席で小屋を作ってやった。

藁のベッドやトイレスペースもしっかり作られたちゃんとした小屋だ。

そこらの馬小屋と同じでは流石に悪い。

意思疎通が出来るためなんとなく悪い気がする。

本人達は平気そうにしていたが。

確かに自然の中と比べれば大違いだろうな。

空調管理等もしっかりしてあるし。魔法は本当に便利だ。


その後は自由行動という事にし、暫くここに留まる事になった。

今日は疲れたし、長旅になるから色々と準備もある。

旅に出る前に仕上げておきたい術も幾つかある。

何より本格的な旅に出れば、ふかふかのベッドで眠る機会は減る。

今のうちに出来るだけ準備は整えておきたい。

1ヶ月分ぐらいの食料は用意してあるので、ゆっくりしていても大丈夫だろう。


「さて、それじゃまずは転移術式のセットから始めるか」


アリシアと喋りながら術式のセットを始める。

リアが乱入してくるかと思ったがその様子は無かった。

信用されているんだろう。きっと。そう思いたい。



………………


…………


……



「そこだっ!」


低空を前方に跳躍し、手にした剣を真横に一閃。

気迫と共に放たれる高速の一撃。


「ぬうっ!」


しかしその一撃は斧によるガードで防がれる。

咄嗟に防いだにも関わらずしっかりと受け止められてしまった。

流石に大した怪力だ。

互いにニヤリ、と笑い合う。


「だがっ!」


バチッという軽い音と共に手にした剣が一瞬で鎌へと変わる。

一瞬で伸びる刃が巨体へと迫るが、寸でで後ろに跳ばれ、避けられる。

かなり驚いたようで、少し冷や汗が滲んでいるのが見える。

しかし距離を取られても追撃の手を緩めはしない。

再びバチバチっという音が響き、鎌は即座に弓に変わる。

土を矢へと変え、一瞬で放つ。


「はっ!」


相手は気合一閃その矢を左手の斧で叩き落とし、

距離を取るのは危険と判断したのか、

一気に距離を詰めて右手の斧を振るってくる。

力の乗った強力な一撃。

手にしている物を盾に作り変える事も出来るが、

間に合わないし防ぎきれるとも思えない。

一瞬の判断で、詠唱待機していた術を発動させる。


「『ラウンドシールド』!」


目の前に黒い魔力光からなる魔法の盾が現れ、

怪力によって放たれた斧を容易く受け止める。

何の変哲も無い、ただの黒い盾だがその防御力はかなりの物がある。

物理攻撃に対して強力な防御効果を持つシールドだ。


「はあっ!」


しかし更に左手の斧も振り下ろされ、衝撃に障壁が軋む。

幾ら何でも威力があり過ぎだろう、と今度はこちらに冷や汗が滲む。

このまま連打されればきついのは目に見えているので、

更に詠唱待機していた術を解放。

全方位から光の槍が迫る。

魔法防御力の低い相手だ。命中すればかなりのダメージになる筈だ。


「ちっ!おおおおおおおおっ!!」


しかしそれも雄叫びと共に連続で振るわれた二つの斧と、

負傷覚悟の後退で最小限のダメージに抑えられる。

流石といった所か。

だが、これでチェックメイトだ。


「『鏡映し』」


「なにっ!?」


目の前に居た俺の姿が掻き消え、巨体の背後に俺が現れる。

引き絞られた剣は一瞬で巨体を貫こうと襲い掛かる。

しかしその奇襲にも咄嗟に反応し、斧で防げた事は大した物だろう。

…それが本物ならば。


「チェックメイト。俺の勝ちだな」


受け止めたはずの剣は俺の姿ごと消え、

背後から首元に剣を突きつけられた事により、勝敗が決する。


「くあー、やっぱつええな、ユウ。探求者は伊達じゃねえか」


息つく暇もない攻防制し、どっと疲れが出る。

おっさんも楽しめたようで、何時も通りの豪快な笑みを浮かべている。

俺達の戦闘の余波で周囲がとんでもなくボロボロになっているが、

ここ数日は当たり前の光景なので気にしない。

ついでに先日披露した新型錬金術で修復する事で練習も兼ねている。


大体分かったと思うが、今俺が行っていたのは模擬戦。

勿論相手はバルドのおっさん。

折角ベテラン冒険者が居るので、指導してもらおうという話になったのだ。

戦技指導や改善点の指摘をしてもらい、模擬戦を行ってみた。

指導と指摘は他の三人にも手伝って貰っている。

この後はレイアと模擬戦を行い、その次にリアと行う。

アリシアはサポート中心になるので、模擬戦はしない。

俺の模擬戦相手の回復をする事で練習にしている。

俺は自力回復。これで回復系も鍛えられる。

ちなみに、アルフとレルフは日向ぼっこ中。

ついさっきまで戦闘訓練という名の姉妹喧嘩をしていた。


「戦術能力や流れを作る才能はあるのじゃ。あとは鍛え方次第じゃろう」


リアの言う通り才能だけはある。

あとはひたすら鍛えるだけ。

理解する才もあるから、

特別な指導が無くても自分で自分に合った形を見つけられる。

基本的な所だけ習って、あとは我流の方が伸びやすいだろう。


「パワー負けしてても手数と魔術でここまで戦えれば上出来だ」


自分の子供の成長を喜ぶかのようにバルドのおっさんが言うが、

おっさんに勝てたのはかなり自信になった。

なにせ物理攻撃力うちのメンバー一だ。

この攻撃力に耐えられる障壁と、

その攻撃を封じる連撃が得られればかなり強くなったと言えるだろう。

ちなみに現在勝率は7勝3敗。4連勝中だ。


「さて、次は私だな。私はそう簡単には負けないぞ?」


そう言って前に出たのはうちのナンバー2、レイア。

ナンバー1はリア。3がおっさんで4がアリシア。

俺はランクされてない。

どの道最終的には問答無用のナンバー1になるだろうという意見から。


そして、模擬戦が始まる。


………………


…………


……



「はあっ!」


くっ、速い!

気合と共に一足飛びに駆け、一気に間合いを詰めに掛かってくる。

ギリギリ認識出来るか出来ないかという一瞬で接近し、連撃を放って来た。

初っ端から風魔法による機動高速化を行っているようだ。


「ちっ、はあっ!せいっ!やあっ!」


舌打ちと共になんとか攻撃を捌く。

力同士のぶつけ合いならまだなんとか勝てるので、攻撃を弾いて凌ぐ。

攻撃速度や手数では勝ちようが無い。

咄嗟に剣を巨大なバスターソードに変化させ、体の前に突き立てる。

連撃が弾かれるが、その俺の動きを見て一瞬で背後に回り込み、切りかかってくる。

単に直線速度が速いだけでなく、小回りも利く。

殆ど速度を落とさずに複雑な機動が出来る。

これがレイアの高機動戦闘。

すでに10回目にも関わらず、この俺がまだ"慣れ"ない。

それほどの高速。


「そこだっ!」


攻撃に移る一瞬のラグで動きを見切り、懐へ飛び込む。

レイア相手に距離を取る事は不可能。

逆に距離を詰めて剣の内側に入り、

籠手を生成して剣を持った腕を受け止め、

そのまま腹に掌底を打ち込む。


「くっ!まだまだっ!」


しかしそれも身を捻ってかわされ、

そのまま回転を利用して真横に回り込んで斬りつけて来る。

しかしそれを予想していた俺は詠唱待機していたシールドを展開。

同じく待機させていた光の槍をレイアの前方から射出する。


「ちっ!不味い、なっ!」


防がれた事に舌打ちするレイアだが、顔には悔しさより歓喜が浮かんでいる。

どうもうちのパーティーは戦闘好きが多い気がするな…

無茶をするとも言う。ストッパーになるのも割と大変なんだが…

レイアは咄嗟に小型の即席シールドを展開し、後退。

俺は弾幕の残っている間に次の行動に移る。


「行けっ!」


地面をさらう様に手を振り、錬金によって大量の刀剣を生成。

雷の術式を利用してレールガンの要領で打ち出す。

高速で飛来する無数の刀剣。

受け切るにはレイアのシールドは脆い。

レイアが選んだのは、その須らくを斬り落とす事だった。


「はあああああああっ!」


気迫と共に剣を振るい、迫り来る刀剣を叩き落していく。

命中の直前に停止する模擬戦仕様とはいえ、

その速度、量には手加減は無い。

更に錬金量を増やし、全方位から刃のレールガンを飛ばす。


「ちっ…はあっ!せいっ!やあああああっ!」


一瞬の判断で弾道を見切り、その須らくをかわし、

かわし切れない物は片っ端から打ち落としていく。

トンでもない速度と技量だ。

あいつには世界の全てがスローモーションにでも見えているんだろうか。


「キーリーン、レイ、スペルメク、ィリア、ル、レ、ケイク…」


大型術式を展開して高速詠唱を行う。

それを聞いたレイアは苦い顔をし、かわす動きを前方に集中させる。

じりじりと迫ってくるが、それより早く詠唱が完了した。


「リ、『暁の挽歌(グレイアルビス)』!」


周囲に膨大な数の魔方陣が現れ、その全てはレイアに向いている。

そこから放たれるのは炎+土+雷の混合魔法。

魔方陣の前で一瞬魔力が煌き、

膨大な量の光線が押し寄せる。


「相変わらず派手な…くっ!あああああああああああああっ!」


冷や汗を溢れさせ、顔を苦渋に歪めるレイア。

シールドと魔法剣で一気に距離を詰めようとするも、

膨大な光線に飲み込まれる。

爆煙が晴れると、倒れ伏しているレイアの姿があった。

これで5勝5敗だ。

アリシアにレイアの回復を頼み、俺は自分の治療に専念した。



………………


…………


……



「全く、相変わらずトンでもない速さだな」


「ユウこそ。大した弾幕だ」


お互いの健闘をたたえ合う。

こういう空気も悪くないと思えるあたり、俺も十分毒されて来てるな…


兎も角。レイアは広域に攻撃する技や強力な防御技能を持たない。

そのためレイアを倒すにはまず高機動によって一気に詰められた距離を離し、

詠唱待機させていた魔法で弾幕を張り近付かせず、

大威力の魔法で一気に仕留める必要がある。

レイアの身動きを封じるほどの弾幕とパワーが手に入れば、

早々そこらの雑魚に負ける事は無いだろう。

弾幕はパワーだぜと誰かが言っていた気がするな。


「強力な防御で無効化するという選択肢もあるな」


レイアの言葉にふむふむと頷きながら頭の中でシミュレーションする。

あまり広くない場所や、限られた条件下では非常に有効だろう。

広域に強力な防御魔法を張れれば、仲間を守る事も出来る。

そこら辺はアリシアの管轄なので後で話し合ってみよう。


「さて、次はわらわじゃな」


嬉々として寄ってくるリア。リアに対して寄るなとは言えんし思わんが…

正直休ませて欲しいというか、

あの二人の後に連戦でリアの相手は正直勝てる気がしないんだが、しょうがない。

俺としても惚れた女より弱いというのは男としてどうかと思うので、

とりあえず勝率5割にはもって行きたい。


「それじゃ、始めるぞ」



………………


…………


……



「そらそら、どうしたユウ!わらわの傍に来んか!」


くっ、無茶を言う…

放たれる無数の黒球と矢。

先程俺がレイアに見せたように、弾幕を張られている。

ノータイムノーモーションで放たれる無数の黒球と、

破壊術式をかけられ、魔法によって纏めて数本ずつ放たれる矢。

俺は展開した魔法障壁で黒球を防ぎ、同じく弓で飛んで来る矢を打ち落とす。

光魔法による弾幕も張るが、それでも相殺しきれない。

そもそも魔力量と発動速度に雲泥の差があるため、連射性が違いすぎる。


「くっ、はあああああっ!」


気合で誤魔化すが流石に限度というものがある。

先ほどでさえ、まともな言葉を発している余裕すら無かったんだ。

飛んで来る矢や黒球には侵食の性質による破壊術式がかけられている。

あれがシールドに命中した瞬間、シールドが破られてまた張りなおす。

つまり全弾受けきるのは不可能なので、出来るだけ撃ち落す必要がある。


「そら、増やすぞ!」


リアがニヤリと笑って叫ぶと、

地面に存在する無数の影から無数の影の槍が伸びてくる。

俺の影は利用されないように闇属性の魔力を通してガードしているが、

それ以外の影、闇は全てリアの一部だ。

考えるのも嫌になる無数の影の槍が飛んでくる。

旧式錬金によって土を槍のように盛り上がらせ、迎え撃たせる。

光属性の付与によって、侵食能力に対抗する。

とはいえ侵食能力はかなり抑えられている。

かなり手加減されているにも関わらず、攻撃の糸口さえ掴めない。


「おおおおおおおおおおおっ!」


気合と共に魔力を放出。瞬間的に魔力放出限界ギリギリまで持っていく。

チャンスは一回。大魔力を注ぎ込んで光属性の一撃を至近距離でぶち込む。

これしかリアに勝つ方法は無い。今のところは。

かなり無茶をする事になるが、他の方法が無いので覚悟を決める。


「…メスケーピア、アウルレス、『光陣(ギルス)天津鎧(アルグレリア)』!」


長々とした詠唱がやっと終わり、光属性の強化魔法が発動する。

身体能力と攻防力を上昇させる万能な術だ。

その分消耗も激しいが。


「むっ!?」


迎撃を最低限に落とし、弾幕の雨の中を一瞬で間合いを詰める。

驚いたリアだが俺が何をしようとしているか気付いたのだろう。

余裕を消して全力(手加減はしているが)で迎え撃ってくる。

無論何発もの攻撃が直撃するが、

ギリギリ耐えられるタイミングを選んで仕掛けた。


「やるな、ユウ!」


止められないと悟ったのか咄嗟に影に飛び込んで距離を取ろうとするが、

全ての影に向けて光弾の術式が向けられているのを確認し、断念するリア。

しかし、唯一光弾が向けられていない影がある。

そう、俺の影だ。突貫中に自分の影に狙いを定めている余裕は無い。

突貫のためにガードは切ってある。

一瞬で俺の背後を取ったリアは、鎌によって斬りかかって来る。


「させるかっ!」


それを予測していた俺は柄に左腕をぶつけて押しとどめ、掌底を放つ。


「ちっ…何っ!?」


舌打ちし、咄嗟に後退しようとするリアだったが、身動きを取れない事に驚く。

一瞬の隙。しかしそれだけあれば十分だった。

俺の掌底はリアの腹に吸い込まれる。


「『光撃(ギルアス)崩山掌(アルブラッダ)!!!」


詠唱待機していた最後の術を発動。

残っていた魔力を全て注ぎ込んで放たれた渾身の一撃は、

リアの腹部をぶち抜いた。




………………


…………


……



「はぁ…」


落ち込む俺をリアが慰めてくれる。

いや、負けたわけじゃない。勝った。

いや、試合に勝って勝負に負けたというか。

つまりどういう事かと言うと…


「リアの腹ぶち抜いちまった…」


と、いう事である。

愛する女性の腹をぶち抜いてしまった。

罪悪感で死にたくなる。

この世の終わりのような世紀末的絶望を背負った俺を、

優しい少女は呆れ混じりに慰めてくれる。


「じゃから、わらわは不死なんじゃから気にせんでええと言うとろうに」


そりゃ慌てて回復かけたらあっさり塞がってたけどさ…

普通の人間なら死んでるぞあれは。

それを模擬戦でしかも不死とはいえ愛する女性にだな…


「それにしても、最後の束縛魔法は見事じゃったの。このわらわが見逃すとは」


本当に気にして無いんだなぁ…

とりあえず今後の目標はリアの弾幕を無理矢理じゃなく抜ける事かな。

とりあえずさっき言ったように5分には持ち込みたい。

そろそろ出発しようかと思ってたとこだし、暫くは無理かも知れないが。


………はぁ。




探求者は、鍛えあう。











PV30万、ユニーク5000、総合評価200突破!有難うございます!

まさかオリジナルでここまで行くとは…

もう片方は原作効果大きかったですから…


さて、今回はバトって貰いました。

メンバーの力関係をはっきりさせようと思いまして。

あとは単純にバトル書きたかったんです。


XXさん、寝落ちさん、感想有難うございます。

馬呼んでなんでアレなんでしょうw自分でもよくわかりませんw

あと、ユウは男女関わらず好かれたり信用されやすいです。

だってその方が書くの楽…げふんげふん、出会いSですからね。

まあ、波乱は起こしますよ。お楽しみに。


という訳で、少し長くなりましたが、また次回。さようなら~。

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