地理説明
ここでこの世界の地理について少し語っておこうと思う。
ユウが辿り着いたこの世界。
ガルディアと呼ばれる世界で、
陸と海の比率は地球と同じぐらいだが、
陸地の地形は随分と違う。
この世界の地図は大概同じものである。
理由としては、中心となる大陸があるからだろう。
ガルディア大陸。世界の名前と同じ名を冠する大陸は、
実に世界の、北極と南極を除く陸地の半分ほどを占めている。
大陸の地形は角が削られた四角のような形をしており、
巨大な山脈と河川によって大きく三つに分けられる。
大陸の北から中部を通り東南東へと続く山脈の、
左側には二つの大国、右側には一つの大国がある。
山脈の左側は、山脈中部から西南西へと流れる巨大な河、
ガルディア河によって南北に分けられている。
その北側、大陸の北西から中部、
西南西への三角地帯を占めるのが、ユウ達の居るアルク王国。
南一帯を占めているのが、アンバス王国。北東一帯を占めているのが、ゲルム帝国。
これら三つの国の領土は凡そ同等の広さで、
力を入れている産業は違うものの、全体の国力も拮抗している。
それゆえに以前は戦争を繰り返した事もあったが、
ここ数十年は小競り合いも無く平和そのものである。
戦争が起きない原因の一つに、十分な領地がある。
要は、人が居ないのにこれ以上領土広げても持て余すだけ、という訳だ。
それよりも相手の国よりいい国にして、国民を増やしたほうがよっぽどいい。
そういった事から、商業合戦や生活改善事業が盛んであったりする。
この大国三つを要する大陸の周囲にも、陸地は存在する。
この大陸の次に大きいのが、ガルディア大陸の南西に位置するオームスという大陸だ。
ガルディア大陸に対して弧を描くような三日月状の形をしている。
オームス大陸には前途の大国三つと同等の大きさ、国力を持つオームス王国と、
同盟国であり、オームスの半分ほどの国力のネイア共和国がある。
この二つは南半球の南方にありながら温暖な気候を生かし、
遊牧や特色溢れる食物の生産で栄えている。
そのオームスの反対側、ガルディア大陸の北東にある列島型の陸地、レヴィス列島。
列島と言ってもかなりの大きさがあり、その周囲にも大きい島がいくつも点在している。
これらを纏めてレヴィス諸島と呼び、
レヴィス諸島連合国という国家が統治している。国土国力自体はネイア共和国ほど。
北国であるため作物や遊牧では発展が望めない事から、
古くより魔法と機械技術の開発がされてきた技術国家である。
と言っても機械は蒸気機関が最近発明された程度で、
殆ど魔法に力が注ぎ込まれているらしいが。
その他、大陸を囲むように島国が点在しており、
その周囲を海が多い、北極と南極は陸地は少なく氷に閉ざされている。
北極には魔族の国があるらしいが、ブリザードによって閉ざされているため詳細は不明。
ちなみにこの世界の魔族とは、魔素によって独自の進化を遂げた生物を指す。
人間が進化の過程で枝分かれしたもの、動物が進化して魔族となったものなど多様である。
亜人との違いは純粋な進化によって進化したか、魔素によって変異を遂げたかである。
例としては、亜人はオークやハーピィなど。魔族はヴァンパイアやサキュバスなど。
魔族も世界中に存在するが、
北極のような場所で生きられるのは魔族ぐらいのものだ、と言われている。
これが、この世界の凡その地図である。
この世界では国という括りは少なく、かなり範囲は広い。
あちこちに様々な種族が存在するため、
種族ごとに国を作っていたら滅茶苦茶な国分けになり、
種族ごとに微妙な交流があちこちにあるため、国分けがしづらい。
そのため、山脈や河、海によって大まかに分けて国土とした、というのが背景にある。
国自体は大きく取り、細かい地域は大きな街の名前を取って、
その街の周辺を○○地方と呼ぶのが一般的である。
そして、ユウが最初に訪れる事になったアルク王国のクレイア地方。
大陸の西の端、アルク王国でも西方に位置する地方で、
北にある王都周辺の地方と、南にある国境周辺の地方を結ぶ地方として栄えた地方である。
その中心となる、流通都市クレイア。
その名の通り流通によって栄えた都市で、アルク王国でも五指に入る規模の都市である。
王都を中心とした国の中枢都市と、アンバスとの南西側の国境周辺の都市を結ぶ直線上に位置し、
アンバスとの国境から王都へと伸びる3本の巨大街道の西側の一つ、その中間地点である。
この街から更に西には港町が多く点在していることもあり、
この街には国内外問わず様々なものが集まっている。
この国の流通の中心を担っていると言っても過言では無いだろう。
街は凡そ円形で、街の中央を中心に東西南北に大きな街道が通っている。
街道沿いに露天商が立ち並び、街道沿いは殆どが商業区画になっている。
街の中央には巨大な噴水公園があり、街の住人の憩いの場となっている。
そして街の北東には行政区画が、北西には工場などの二次生産区画がある。
南西は教会や学校などが中心の生活区画があり、南東は駐留軍の施設などの軍事区画がある。
街の外壁を出て西側には田畑などの一次生産区画があり、
東側には軍の演習場などの広域軍事区画がある。
魔獣や盗賊などは大陸の中心である東側から来る事が多く、
東側に軍や政府の区画があるのは、威嚇の意味も含まれている。
田畑は海のある西側にあり、一次生産物は全て西側から来るようになっている。
陸路より海路の方が危険が少なく速い為、海側から輸送されて来るものも多い。
そのため国内外の生産物は西から、首都周辺からの旅人は北から、
首都以外の国内からは東から、南方のアンバスからの旅人などは南から来る。
露天や商店もそれらに対応した位置に出店されている。
ギルドや図書館などの公共施設は公園周辺の中心区に立ち並んでいる。
街を見渡せばあちらこちらに自然があり、
街の概観もファンタジーかつ綺麗な外観を有している。
こうして見ればこの世界の街が自然を大切にしており、
またここが紛れも無い異世界である事が理解出来る。
この街以外の街も、方位や周囲の状況によって各区画の位置の違いはあれど、
凡そこのような街の造りをしている。
様々な脅威が存在し、様々な人種が存在し、
人ですら無いものも人と共存し、あるいは敵対し。
魔法を元にした、科学とはまるで違う技術、文化。
しかし街には活気があり、この世界には変わらぬ命の"輝き"がある。
ここは魔法世界ガルディア。
"ヒト"が暮らす、素晴らしき異世界である。
と、言う訳で今回は地理の説明でした。
かなり大雑把ですが、細かい部分は省略、
今回紹介していない国もある…という事にしといて下さい。
今後の展開によっては国が増えたり減ったり、
領土変わったり戦争起こったりするかも知れません。
まああくまで世界観として何となく覚えて頂ければそれで。
では、また本編で。