表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
E-COREの少女と黒霧の侵入者  作者: 若路


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/2

第2話 自律型ゴーレム アリア

食堂の裏口に倒れていた少女を抱え、

エルンは店の奥の空き部屋へ運び込んだ。


白い髪。

薄い衣服。

胸の中央で、淡い光が断続的に点滅している。


その光は──

魔力の脈動ではなかった。


**周期が不規則。

波形がデジタル。

まるで……システムのハートビート。**


エルンは思わず息を呑む。


(……これは……魔力じゃない。

 “信号”だ)


少女の胸に埋め込まれた魔核が、

突然、ノイズを発した。


**ピッ……ピピ……ッ……**


まるで壊れた端末のように。


店主が慌てる。


「お、おいエルン! この子、生きてるのか!?」


「……分からない。

 でも、魔核の挙動が……普通じゃない」


エルンは魔核に手を伸ばした。


触れた瞬間──

視界が白く弾けた。


---


◆ 魔導ネットワークへの“接続”


エルンの脳に、

大量のデータが流れ込んだ。


**《E-CORE v3.1 起動失敗》

《魔力流プロトコル:同期エラー》

《セクタ3:破損》

《外部侵入ログ:不明な黒霧パケット》**


(……ログだ。

 完全に……ログだ。

 魔導OS……?)


少女の魔核は、

魔力ではなく“データ”を流していた。


エルンは震える指で魔核の刻印をなぞる。


(この刻印……

 コードの構造と同じだ。

 魔力流は……データバス……

 刻印は……プログラム……)


前世の知識が、

異世界の魔導技術と“噛み合ってしまう”。


---


◆ 修理(パッチ適用)


エルンは魔核の刻印の一部が破損していることに気づいた。


**魔力流がループし、

CPUに相当する魔核が過負荷で落ちている。**


(……ここを……こうして……

 魔力流を再ルーティングすれば……)


エルンは刻印に触れ、

魔力流を“手動で”書き換えた。


魔核が一瞬だけ強く光る。


**《E-CORE:再起動シーケンス開始》**


少女の身体が小さく震えた。


店主が驚く。


「お、おいエルン! 何したんだ!?」


「……修理です。

 魔核の……OSを」


「OSってなんだよ……」


エルンは答えられなかった。


---


◆ アリアの起動


少女の瞳がゆっくりと開いた。


淡い光が宿り、

エルンを“スキャン”するように見つめる。


「……あなた……」


声はかすれていたが、

確かに“意識”があった。


少女はエルンの手を掴む。


「……ひかり……

 あなたの……信号……

 わたし……みつけた……」


エルンは息を呑む。


(信号……?

 俺の魔力……いや、魂情報を……?)


少女は胸に手を当て、

小さく名乗った。


「……アリア……

 わたし……E-CORE端末……

 アリア……」


エルンの背筋が凍る。


(端末……?

 人間じゃなく……端末……?)


アリアはエルンの袖を掴んだまま離れない。


「……いかないで……

 あなたの……ひかり……

 わたし……必要……」


エルンは困惑しながらも、

その手を握り返した。


「大丈夫。

 どこにも行かないよ」


アリアの魔核が、

安心したように柔らかく光る。


---


◆ 黒霧パケット


その時、

食堂の外で“黒い霧”が揺れた。


誰も気づかない。

ただ、アリアだけが震えた。


魔核が警告音を発する。


**《警告:外部侵入パケット検知》

《識別不能:黒霧プロトコル》**


アリアはエルンの胸にしがみつく。


「……くる……

 くろい……なにか……

 わたし……おわれてる……」


エルンはアリアの背を抱きしめた。


(黒霧……

 アーク・ゼロ……

 この世界の“敵”が……動いている)


アリアは震える声で呟いた。


「……エルン……

 あなたの……ひかり……

 わたしを……まもって……」


エルンは静かに頷いた。


「……ああ。

 絶対に守る」


その瞬間、

アリアの魔核が蒼く脈打った。


まるで──

エルンの言葉に“応答”するように。



ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

今回のお話はどうでしたでしょうか。

コメント、評価をしていただけると励みになりますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ