表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奈落の底で拾った【略奪】スキルが、絶滅寸前の人類を救う切り札だった件  作者: 水原伊織


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/21

15.強制デバッグ――神格級(グレーター)をレアドロップに変える効率的蹂躙

『──警告:素材回収効率が理論値を逸脱。

 地獄のサーバー負荷、限界を突破。

 管理者権限による「強制排除デバッグ」、および高位存在の介入を開始します。』


虚空に響くシステムメッセージが赤黒く染まった瞬間、灰色の空がデジタルノイズのように激しく歪んだ。そこから、これまでの使徒とは次元が違う、暴力的なまでの質量を持った影が降り立つ。


「……羽虫共が。我が領域を掃除クリーニングしているつもりか」


現れたのは、使徒すらも捕食対象とする地獄の真なる住人。

全身を禍々しい生体装甲で覆い、背中に六本の漆黒の翼を生やした巨躯──地獄の管理者の一角、グレーターデーモンが虚空を踏みしめた。


彼が放つのは、触れるだけで魂を初期化フォーマットする、絶対的な「拒絶」の圧力だ。


「ユーシス……魔力が、止まらないの…っ!」


レイリアがユーシスの胸に顔を埋め、陶酔したような悲鳴を上げる。

地獄の濃密な魔力を【万象捕食】で吸い込み続けた結果、彼女の魔力回路は人類の器を完全に破壊し、再構成されていた。

彼女の背中からは、漆黒と純白が混ざり合う「女神の翼」が広がり、その肌は透き通るような神格の輝きを帯び始めている。


『個体名:レイリア。

 種族:【深淵の女神】へと自動昇格。

 ユーシスへの依存度、および独占欲がシステム測定不能カンストに到達しました。』


「……見て、ユーシス。私、もうあなたなしでは存在を維持できないわ。この地獄も、目の前の汚い化け物も……全部消して、私と二人だけの『無』にしましょう……?」


レイリアの瞳が、狂気と愛に濡れた紫色に発火する。

彼女が杖を軽く振るうだけで、グレーターデーモンが展開した「消滅結界」が、因果ごと凍りついて粉々に砕け散った。


「なっ……我が管理権限を、ただの『魔力』でねじ伏せただと!?」


グレーターデーモンが驚愕に目を見開く。だが、その驚きすらもユーシスにとっては「遅すぎる事象」に過ぎない。


「バグだと? 設定ミスだと? ……勝手な理屈だな。お前たちが送り込んだゴミを、俺が効率よく片付けてやっているだけだ」


ユーシスが【零式・極】を抜く。

進化した【根源抹消】の輝きが、漆黒の刃を白銀の断罪へと変色させる。


「驚くのはまだ早い。……デバッグに来たと言うなら、お前自身の『存在理由』も、デバッグしてやる」


ドォォォォォォンッ!!


ユーシスが地を蹴った。加速などという次元ではない。

「移動する」という過程そのものを抹消し、「敵の目の前に到達した」という結果だけを現実に固定する。


「貴様ぁッ! 『死』を司る我が肉体に触れるなど──」


「効率を上げよう。……神格級グレーターを狩れば、ドロップ品も期待できるだろうからな」


至高の悪魔が放つ「絶望の咆哮」を、ユーシスの刃が無造作に切り裂いた。

【根源抹消】がグレーターデーモンの存在基盤に触れた瞬間、その不死身の肉体が「最初から存在していなかった霧」へと反転していく。


『──個体名:グレーターデーモン、消滅。

 ドロップアイテム:【魔神の心核】、【深淵の断片】を入手。

 ボーナス経験値により、レイリアの「女神化」がさらに進行します。』


「ア、ガ……あ……我が、理が……喰らわれて……」


管理者の断末魔さえも、レイリアの展開する【深淵凍結】が瞬時に静寂へと変えた。

虚空に残ったのは、もはや敵の姿ではなく、ユーシスの魔剣へと吸い込まれていく膨大な「素材の光」だけだった。


「ふふ……ユーシス、すごいわ。あんなに強かった悪魔が、ただの『エサ』にしか見えない……」


神となったレイリアが、ユーシスの腕に熱っぽく縋り付く。

その独占欲に満ちた視線は、もはや地獄の敵ではなく、愛しい主のすべてを自分の色に染め上げる瞬間だけを求めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ