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月光の中で、私は揺れない命を見る
今回はルナ視点です。
夜。
ハルはすぐに眠る。
信じられないくらい無防備に。
普通の人間は、こんな森の中で眠れない。
私は彼の隣に座る。
月光を少しだけ落とす。
精霊がふわりと集まる。
この土地は異常だ。
多すぎる。
濃すぎる。
そして――
彼。
ハルの命の流れを、私は見る。
ヴァンパイアは、命の波を見る。
揺れる。
人間は特に揺れる。
短い寿命ほど、不安定。
でも彼は違う。
穏やかだ。
強いわけではない。
でも、揺れない。
まるで、長い時間を前提にしているみたいに。
「……変」
呟く。
本人は知らない。
精霊に好かれている理由も。
この土地が安定している理由も。
でも、分かる。
この場所は続く。
この村は残る。
そして彼は――
すぐには消えない。
少しだけ、安心する。
それが怖い。
ヴァンパイアは長命。
人間は消える。
それが当たり前。
でも彼は違う。
「ずるい」
眠る彼の髪に、そっと触れる。
温かい。
生きている。
月が少し明るくなる。
私は目を閉じる。
ここに、しばらくいてもいい。
そう思った。
ルナ視点回でした。
次は三人目の登場へ進みます。




