ドラゴン族との契約
ドラゴン族との“静かな協力”が結ばれる回です。
ここから、外の脅威と精霊の森とのバランスが描かれます。
「再び来たか」
レイナが低く言う。
空を見上げると、あの大きな影が再び現れる。
今回は、前回のように警戒する者はない。
ゼルヴァルトだ。
あの赤銅色のドラゴンが、空から静かに降り立った。
その存在感は、無意識に周囲を引き締める。
だが今回は違う。
敵意はない。
確認のために来た、というような静かな圧力だけ。
「また会うことになるとはな」
ゼルヴァルトは低い声で言う。
俺は中央に立ち、無言でその場に迎え入れる。
ゼルヴァルトが言葉を続ける。
「前回の話、正直に言おう。少し、予想外だった」
「どういう意味だ」
俺が静かに答える。
ゼルヴァルトは視線を一度、空に向ける。
「貴様が空を荒らさず、守りながら広げることに、最初は驚いた」
エリシアが目を細めて聞く。
「驚いた?」
ゼルヴァルトはうなずく。
「お前たち人間は、力を誇示したがる。広げることに、必ず争いを持ち込む。だが、貴様は違った」
「それが?」
「私は空を統べるもの。すべての空域に干渉し、変化を支配する。だが貴様は、その秩序に挑戦するのではなく、何もせずに守った」
その言葉の裏に、ゼルヴァルトの“本音”が見える。
「貴様には、我らドラゴンの領域に触れないということを認める。だが……」
ゼルヴァルトの目が鋭くなる。
「条件がある」
レイナが一歩前に出る。
「条件?」
ゼルヴァルトは俺をじっと見つめて言った。
「私は、貴様の領域が広がることに賛同しない。それが精霊の森にとって危険となる可能性がある」
「だが貴様は、それでも守るつもりだろう?」
俺は答える。
「守る」
ゼルヴァルトはゆっくりと一歩踏み出した。
「その決意を見届けに来た」
空が静かに、深く沈む。
そして、彼の体が光り始め、再びドラゴンの姿へ戻る。
「この先、外の脅威から森を守るのが我らの役目だ。だが貴様が求めるなら、我々は支援する」
その言葉に驚く暇もなく、ゼルヴァルトの大きな翼が広がり、静かに上昇していく。
空に吸い込まれるようにして、彼の姿が消えた。
その後、森には再び静寂が訪れる。
一瞬のことだった。
レイナが静かに言う。
「やっぱり、強いな」
ルナが微笑む。
「でも、敵ではない」
エリシアが森を見つめながら言う。
「均衡は保たれている」
俺は、空を見上げる。
ゼルヴァルトが再び来ることは、おそらくないだろう。
だが、心の中で一つの確信が芽生えていた。
ドラゴン族と精霊の森は、表面上の争いではなく、協力し合う関係を築きつつある。
それでも――
精霊の森は、揺れない。
ゼルヴァルトとの再会を通じて、ドラゴン族との関係が深まりました。
それでも、精霊の森は「揺れない」。
強者との関係構築が、物語をどう進めるのか。
皆さんなら、このまま友好的に進みますか?それとも何か危険が潜んでいると感じますか?
次回は、外部の脅威がまた一歩近づきます。
ブックマーク・評価・感想で応援いただけると嬉しいです。
これからも、静かに育てていきます。
月灯り庵




