表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生した俺は精霊に愛されすぎて、静かに村を育てます  作者: 月灯り庵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/37

名前をつけようと思った日

村の名前

夕方の光が、森をやわらかく包んでいた。


鍛冶場の骨組みは形になり、畑は広がり、外周の流れも安定している。


丸い机を囲む人数も、もう片手では足りない。


俺はその光景を見渡して、静かに口を開いた。


「……そろそろ、名前をつけないか」


みんなの視線が集まる。


ルナが少女形態のまま、少しだけ首を傾げる。


「急ね」


「でも自然だ」


俺は家を見る。


森に包まれた中心の建物。


精霊の小窓。


笑い声。


鍛冶の音。


畑を渡る風。


「もう“あの村”じゃ足りない」


レイナの耳がぴくりと動く。


「名前、いる」


短い肯定。


エリシアが静かに微笑む。


「どういう名を望みますか」


俺は少し考える。


最初にここへ来た日のことを思い出す。


何もなかった。


でも、精霊は多かった。


森は拒まなかった。


月はいつも見ていた。


丸い土精霊がぴょんと跳ねる。


芽吹き精霊がころころ転がる。


「この場所は、村っていうより――」


言葉を選ぶ。


「森そのものだ」


ルナの赤い瞳がやわらぐ。


「精霊が集まって、森が守って」


バルドが腕を組む。


「確かに、森の中の村だな」


俺は頷く。


「だから……精霊の森、でどうだ」


風が通る。


木々がざわめく。


一瞬だけ、精霊たちが光を強めた。


レイナが短く言う。


「いい」


エリシアが目を細める。


「森が名を受け入れています」


ルナが小さく笑う。


「あなたらしい」


バルドが豪快に笑う。


「覚えやすいし、格好いい!」


丸い土精霊が机の上でぴょんぴょん跳ねる。


芽吹き精霊が転がりながら光る。


満場一致だった。


俺はゆっくり息を吐く。


「今日からここは、精霊の森だ」


声に出すと、胸の奥にすっと収まる。


畑がある。


家がある。


役割がある。


仲間がいる。


そして、名前がある。


レイナが外周を見渡す。


ルナが月を見上げる。


エリシアが森に手を触れる。


バルドが柱を軽く叩く。


森は変わらず、やわらかい。


でも確かに、ここは特別だ。


精霊の森は――


ここから、本当に始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ