この村の、ちょっとした決まりごと
村のルール回です。
重くしないのがポイント。
「決まりを作ろう」
ルナが言ったのは、魚を焼いている最中だった。
「いきなりだな」
俺は串を回す。
「増えたから」
確かに、人数は増えた。
三人だったのが、今は十人以上。
「厳しいのは嫌」
レイナが言う。
「縛られるのは面倒」
エルフの一人が笑う。
「森も縛られない」
じゃあ、ゆるくいこう。
丸い土精霊がぴょんと跳ねる。
芽吹き精霊も転がる。
「一つ目」
俺が言う。
「争わない」
即決。
全員が頷く。
「二つ目」
ルナが続ける。
「森を傷つけない」
「三つ目」
レイナが言う。
「勝手に持っていかない」
分かりやすい。
「四つ目」
エリシアが静かに言う。
「困ったら話す」
それでいい。
法律でも規律でもない。
ただの約束。
丸い土精霊が机の上でぺちぺち叩く。
まるで賛成票だ。
芽吹き精霊が転がり、ルナの膝に乗る。
「簡単ね」
「簡単でいい」
俺は言う。
火の光が揺れる。
新しい家。
丸い机。
並ぶ影。
この村は、まだ小さい。
でも確実に形になっている。
「名前は?」
エルフの一人がぽつりと聞く。
全員が止まる。
まだ、決めていなかった。
ルナが俺を見る。
レイナも見る。
エリシアも静かに視線を向ける。
俺は少し考える。
畑。
精霊。
月。
森。
「……ゆっくり決めるか」
急がない。
それが、この村らしい。
丸い土精霊が、ぽよんと跳ねた。
芽吹き精霊がころころ転がる。
明るい夜だ。
この村は――
笑いながら、少しずつ大きくなっている。
次回はいよいよ「村の名前」決定回へ入れます。




