森を失った者たち
エルフ側視点回です。
村が“選ばれた地”である伏線を強めています。
古木が倒れたのは、三日前のことだった。
森の奥深く、魔力の流れが最も安定していた場所。
そこが、崩れた。
「均衡が壊れた」
エリシアは、倒れた幹に手を置きながらそう言った。
六人のエルフは静かに立っている。
森はまだ生きている。
だが、流れが歪んでいる。
「南へ行くべきか」
一人が言う。
「いや」
エリシアは首を振った。
「北東だ」
その方向から、異質な安定を感じる。
濃い。
しかし荒れていない。
強いが、暴れていない。
まるで――
誰かが中心に立っているかのような、静かな魔力。
森を抜ける。
川を越える。
そして見えた。
小さな畑。
歪な小屋。
精霊の群れ。
「……多すぎる」
若いエルフが息を呑む。
その中心に立つ、人間。
揺れない命。
長く、静かな波。
「人間?」
「だが、違う」
エリシアは確信する。
この地は偶然ではない。
選ばれている。
森に拒まれていない。
むしろ、歓迎されている。
「ここに住む」
彼女は決めた。
奪わない。
壊さない。
共に生きる。
それが森の民のやり方だ。
そして今日、境界線を越えた。
あの人間は、主ではないと言った。
だが。
中心だ。
この村は、広がる。
エリシアは空を見上げる。
月が昇る。
森は、再び息を整え始めていた。
ここから建築フェーズへ入れます。
村が本当に“村”になります。




